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写本と修道士[
ブルーノ・フェドゥッティ]
ゲームデザイナーであるブルーノ・フェドゥッティが自身のホームページで個人的な
2008年ゲーム大賞を発表した。ノミネートされた12個のゲームの中にまったく見覚えのないゲームがあり、興味を抱いて調べてみたら個人レーベルのゲームらしい。内容もなかなか面白そうなので、
Dr. Finn's Card Companyを訪れて直接注文した。日本までの送料込みで$28。
中世の修道院で写本製作を巡って勢力争いをする修道士たちがテーマのカードゲーム。原題『Scripts and Scribes』は直訳すると「写本と筆写者」だろうが、「ひっしゃしゃ」は言いにくいし「筆写人」とか「写本職人」とかも違う感じがするので、ちょっと意訳した邦題にしてみた。【8/20追記】邦訳『薔薇の名前』準拠で「写本と写字生」でもいいかも。

VHSビデオサイズのプラスチックケースの中に、評価ボードと評価を示すサイコロが5個、87枚のカード、カードの内訳が書かれたレファレンス、ルール1部が入っている。カードには、評価を争う5つの分野「装飾家」「写字生」「原稿」「巻物」「備品」と、評価の数値を上下させる「司教」、競りに用いる「金貨」の7種類がある。
評価ボードの5分野にそれぞれ3を上にした評価サイコロを置き、プレイヤー人数に応じた枚数のカードを抜く。ゲームは「寄進」と「競り」の2ステージに分かれている。前半の寄進ステージでは、手番プレイヤーが参加人数+1枚のカードを1枚ずつ引いて、自分の手札にする(1枚だけ)・競り用山札に置く(1枚だけ)・公開(プレイヤー数−1枚まで)のいずれかを選ぶ。公開されたカードは残りのプレイヤーが順番に手札に入れる(『
破滅の13』と似たカードドラフト方式だ)。これをカードが尽きるまで繰り返したら、競りのステージに移行する。前半で競り用に残されたカードを1枚ずつ競っていく。「金貨」以外のカードは金貨カードの価値で競り、「金貨」カードは伏せたカードの枚数で競る。競りの山札が尽きたら決算である。5分野それぞれで対応するカードの価値の合計が高いプレイヤーが評価サイコロを獲得し、サイコロの目の合計が最も高いプレイヤーが勝利する。「司教」のカードは誰かが獲得した瞬間に使用され、評価サイコロの目を上下にずらすことができる。
なにはさておき、相方と2人で遊んでみた。「寄進」ステージでは『破滅の13』と同じ小ドラマ(相手に自分よりいいカードをあげてしもた)が展開するが、手札と競りに入れるカードは非公開なので、黙々とカードを分配するもよし、あえて一喜一憂するもまたよし。さくっと配り終えて「競り」ステージへ。ここで一気にゲームのトーンが変わる。1枚のカードを得ようとすると、自分の手札というリソースがざっくり減ってしまう。相手が狙っている分野を読みつつ、評価の変動を計算しつつ、目の前のカードをいくら出して手に入れるかを勘定せねばならない。競りが終盤に近づくにつれて、どんどん手札が縛られていく。これは『エルフの玉座』で旅の準備をしているときのカツカツ感にちょっと似ているかな。結果は11対2で敗北

。「写字生」が同点判定負けでなければ1点勝ってたのになあ。
ひとつひとつのシステムは何となく既視感があるのだが、組み合わせとバランス感覚が素晴らしく、実に悩ましいカード采配を要求される。テーマは何でも合いそうな感じだが、あえて修道院と写本を持ってきたところを個人的には大いに評価したい。後半の競りなんか陰湿な足の引っ張り合いっぽい雰囲気が出ていてよい。『薔薇の名前』ファンには特にお勧め。
写本と修道士(Scripts and Scribes)
スティーブ・フィン
Doctor Finn's Card Company
2〜4人、20分
