花家圭太郎は、「暴れ影法師」「荒舞 花の小十郎始末」など、おおぼら吹きながら実行力もあり、藩主や幕府のお偉方ともツーカーな仲である戸沢小十郎を主人公にした痛快なシリーズの作者ですが、今回は戦国時代末期を舞台にした作品です。
婚礼の夜、花嫁に横恋慕した藩主の襲撃を受け、花嫁と共になんとか落ち延びた乾主水(いぬいもんど)ですが、結局花嫁を殺され、生死の境をさまよっているところを豊後の国主大友宗麟に救われます。宗麟は、絶望から一度は死を決意した主水に、花嫁にこの世の土産話を持って行けと諭し、生きる気持ちを起こさせるのでした。主従ではなく食客となった主水と宗麟の関係は、小十郎と土井利勝の関係を思わせて楽しゅうございます。
毛利や島津と言った戦国の雄に囲まれて四苦八苦している宗麟は、起死回生の策としてフランスに発注していた大砲の受け取りに、主水をインドのゴアに派遣しますが、ここでもう一人の主要人物カルロスと主水の邂逅があります。
スペインに併合されたポルトガルを守ろうと寡兵で善戦したカルロスは、無敵男爵の異名を取る快男児で、先んじた友の跡を追って自分も戦いの中で散ろうとしますが、救国の英雄を惜しむ声に説得され、リスボンに潜伏して巻き返しを図ります。しかしスペイン側にその存在を知られ賞金を掛けられ、再び逃亡することになったカルロスは、炸裂弾の大砲の製法を知るために、やはりゴアに赴くことになります。
二人の快男児がゴアで出会い、友情をはぐくみ、物語は大きく動き出したかに見えますが、終盤に向かって尻端折りをしたかのように急速に展開していってしまい、実はそれまでの二人の半生の方に重きを置いているのかとも思わせました。様々なエピソードがあるのですが、わりとすんなり段取りが付いてしまって、もう少しじっくり描いた方が物語に説得力があったのではないかと思います。それでもまぁ、標準以上の面白さではあります。
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群青遥かなり

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