渋谷を舞台に、やくざ、現金強奪犯、チーマーが三つ巴の戦いを繰り広げるハードサスペンスです。
非合法カジノの売り上げを盗んだ一味の一人が、気のゆるみから分け前をチーマーに盗まれます。チーマーを束ねるアキは、額の多さにまともな金ではないと考え、自分たちが傷を負わずに済む方法を模索しますが、強奪犯の一味はチーマーを追い、メンツを潰されたやくざは強奪犯を追うことになるのでした。
それぞれの背景が緻密に書き込まれていて読ませます。チーマーを束ね、素人の格闘イベントを興行することで大枚を得ているアキは、バブル崩壊のあおりを食った父親を見てこの世のシステムに懐疑を抱いており、自分の力で生き抜くことを考えていますし、アキの相棒で知能派のカオルも同様です(エリート官僚の親に反発している)。強奪犯の方は、職人気質の整備士桃井の来し方が綴られ、いかにして現在に至ったかを綿密に描いていました。
人工的な排熱に浮かされる都会でのクールな戦いを描いた好篇だと思います。チーマーが登場するサスペンスというと「池袋ウェストゲートパーク」が思い出されますが、ああいう陽気さ・正義感とは無縁な感じで、かえってリアリティが感じられました。

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