気がつくと狂ったようにリピートしていた

説明は今さらいらないでしょう、先日(ようやく)出たWizzardのファーストアルバムリマスターです。個人的にはWizzardはセカンドの(Introducing) Eddy And The Falconsが大好きなので、このファーストにはそれほど思い入れがあったわけではありません。それを踏まえて以下を読んで頂ければ。
Buy From Amazon:Wizzard Brew (CD)
このブログを定期的に読んで下さっている方には説明不要でしょうけれども、最近のRoyは仕事をしません。最近、というより、ここ20年あまりの仕事量はかなり寂しいものです。それは1970年前後のワーカホリックとも言える彼の活躍を考えれば信じられないような変貌ぶりですし、ひょっとして双極性気分障害でも持っているのではないかと感じることもあります。それで、これまたRob Caigerが散々ぼやいていることであり、我々もつくづく残念に思っていることには、過去の仕事をまとめて再評価を世に問うという作業に興味をあまり持たない、ことによると否定的な気持ちすら持っているのではないかという点です。レコード会社が計画を立て、それでRoyに面談をしようとしたところで止まってしまった企画はいくつもあるようですし、「ライナーさえ書けば」完成するプロダクトが宙ぶらりんになっているというケースもあった筈です。それだけに留まらず、ほとんどのサウンドが用意でき、最後にRoyの承認を取るだけというところで彼がストップをかけることもあるようで、今年一年をとってみても、Jet時代の作品を集めたコンピレーションLook Thru The Eyes Of Roy Woodが曲目まで決まりながら発売中止(実際には延期だけではないかという気もしています)になったのも、Royの意向が反映されているのでしょう。
そしてこのWizzard Brew。何年前でしたっけ、既にCDでは一度発売されていて、今回が2回目のCD化ですが、もちろんPeter Mewがリマスターしていて、音質的には大幅に改善された「決定版」になる筈の商品です。仮のトラックリストは既にHMVで公開されており、最初は2枚組みになるはずでした。その内容はかなりアトラクティブなものに見えました。しかし、「Royがそれを望まなかった」ために2枚組みは1枚ものに減らされてしまったようです。ボーナス曲は基本的に同時期のシングルトラックで、過去に何度かリリースされている曲が大部分です。私を含め、出ればなんでも買うよというダボハゼみたいなファンはともかく、これが2回目のCD化であると思えば、少しでもアトラクティブな内容にしておいた方が、セールス的にも有利に思えるんですけれど。どうせボーナストラックといっても、出し惜しみしたから有効利用できるわけでもないでしょうし。

のっけから否定的なことばかり書いて恐縮です。ここからまともにレビューしましょう。ジャケットはHarvest/EMIのUKバージョンで、ブックレット中央にUnited ArtistsのUSジャケットが入っています。だから、やる気さえあればブックレットを折り返してUAバージョンを表に持ってくることができます。ブックレットは表紙裏表紙込みで20ページと充分なボリュームがあり、フルクレジット、レアフォト、そして8ページにわたるライナーがついています。ライナーを誰が書いたのかはCDだけではクレジットがありません。FTMでオーダーするとポストカードがついてきたので、画像をお見せします。また、先着者にはバッジがついてきました。両者の高解像度画像はそのうち別ブログの限定記事に上げておきます。

パーソネルは以下の通り。細かい楽器のクレジットも書いてありますが、ここではおおまかに。Roy Wood (vo, g, ...), Rick Price (b), Bill Hunt (p, horn, etc), Hugh 'H' McDowell (cello), Nick Pentelow (sax), Mike Burney (sax), Keith Smart (d), Charlie Grima (d, perc)。アルバムトラックのライターは全てRoyで、ボーナス曲はメンバーの曲が混じっています。プロデュースはRoy。ストリングスアレンジもRoy、ブラスアレンジはRoyとBill。エンジニアはPeter OliffとAlan Parsons。
背景を知りたい人っていますかね? 皆さんご存知だと思うので簡単にすませますが、1971年にELOのファーストが発表されましたが、RoyとJeffの間では既に軋轢がありました。このライナーに書いてあることからすれば、Royはブラスをもっと導入したかったがJeffはそれを望まなかった、楽曲的にはJeffが重点だったのに、世間はRoyがELOのリーダーだと見なしていた、などがあったようです。結局、イタリアツアー中にRoyは脱退。一緒にBill Hunt、Hugh McDowellとサウンドエンジニアのTrevor Smithを引き抜きました。さらにMove時代の盟友であるRick PriceのバンドMongrelと合体することでWizzardが結成されました。サックスがふたり、ドラムがふたりという特異なメンバー構成ですが、さらにチェロもふたり揃える構想があったようです。1972年末にファーストシングルBall Park Incident (c/w Carlsberg Special)を発表、そして5月に発売されたのがこのアルバムです。Move時代はポップなシングルを連発していたRoyですし、Wizzardとしてもシングルはポップでコマーシャルであったのに対し、アルバムは非常に実験色の濃い内容になっています。
私はRoyの本領はロッカーだと考えており、彼がサックスを導入するのもそれは歓迎するものの、最も聴きたいのはロッキングサックスであり、ジャズ調が強いものはちょっと・・・というスタンスです。しかも買った順番がEddy And The Falconsが先だったので、EATFは好きだけれどWizzard Brewはもひとつというように感じていました。ところが今回のリマスター、なんだか非常に中毒性の高い内容に思えてなりません。ここ1週間くらい、カーCDプレイヤーにはBrewが入ったままです。
ライナーにも書いてあるように、楽曲の内容は極めてバラエティに富んだものです。正統派ロッカーであるT1, T4はともかく、T2はサックスバトルが印象的で13分(ライブでは45分続いたとも言います)にわたるジャズ調ソング、T3はマーチ。T5は50年代風のドゥーワップ。T6はRoyお得意の壮大なバラードソングです。それこそ、1曲でアルバムがカテゴライズされることを拒否しているような内容です。
リマスターといっても、もともとこの頃のRoyはぐちゃっと固まったような音作りをしていましたから、それを抜けのよい広がりのある音にしてしまうのは、本来の形ではないのかも知れません。Royの意向を汲んでいるのかどうか、楽器の分離は確かによくなっていますが、大事な楽器は概ねセンターチャンネルからまとめて聞こえ、おかずが両サイドから聞こえてくる傾向があります(しかし、このおかずがまた面白いのです)。またT3なんかでは音にノイズが乗っかっているのですが、これは意図的なものなのでしょう(?)。
サックスが特徴的なアルバムとは言え、今回発見したのはチェロ、そして木管楽器(クレジット上はバスーンとリコーダーだけなんですが、クラリネットとかオーボエは使っていないのでしょうか)の味わい。チェロをいかにロックソングに取り入れるかという点では、RoyとJeffではアプローチが違うのは当然として(Louis Clarkが来てからはもちろんさらに違う)、Royはよりメロディに絡めていく傾向があるようで、HughとしてはELOよりもWizzardの方が楽しかったんじゃないかなという気もします。チェロにしても木管にしても、この曲だったらここでこう入れるというベストピースを選んでいるように感じ、その当てはめ方がエキサイティングでした。とりわけT6なんかがいいですね。
一番好きな曲は、これは昔と変わらずBuffalo Station(メドレーの前半)。こういう曲ばかりのアルバムも作ってほしかったものです。
ボーナス曲は見たことのある名前ばかりですが、気になる点も。Angel Fingersのイントロって、カウントなんて入っていましたか? それから、You Got The Jump On Me。これはRick Priceの曲ですが、Royがヘビーメタルをやったらこうなるんだろうという曲でしょうね。この曲は私の中では再評価です。
1. You Can Dance Your Rock'n' Roll
2. Meet Me At The Jailhouse
3. Jolly Cup Of Tea
4. Buffalo Station / Get On Down To Memphis
5. Gotta Crush (About You)
6. Wear A Fast Gun
Bonus Tracks
7. Ball Park Incident
8. The Carlsberg Special (Piano Demolished Phone 021 373 4472)
9. See My Baby Jive
10. Bend Over Beethoven
11. Angel Fingers (A Teen Ballad)
12. You Got The Jump On Me
13. Rob Roy's Nightmare (A Bit More H.A.)
14. I Wish It Could Be Christmas Everyday

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