「Red Cliff Part I(レッドクリフPart I)」
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京劇の映画化とでも捉えればいいのだろうか
2008年の米中日台韓合作映画で、主演はトニー・レオンと金城武。三国志演義最大の山場とも言える赤壁の戦いを前後編2作の映画にまとめ上げたスペクタクル大作の前編です。
話題になっていたのは知っていましたが、これまで諸般の事情で見ることができず、DVDが出るまで待つしかないかと思っていたのです。それが、今週末まで京都で1館だけやっているということがわかったので、長男を連れて見てきました。がらがらかと思いきや、小さめのスクリーンだったとはいえほぼ満員の入りでした。
ストーリーです。後漢末期、朝廷を我がものの如く操っている姦雄曹操は、残る敵対勢力を一掃するため、80万とも言われる大兵力を動員し、荊州の劉備、江東の孫権を征討する途につきます。圧倒的な戦力差に本拠の新野を追われた劉備は、王室の末裔であるという名分をかけて、簒奪者曹操に絶望的な戦いを挑もうとします。そのためには同じく曹操の標的となっている孫権と同盟を結ぶしかなく、劉備の軍師である諸葛亮(金城)は盟約を勝ち取るべく孫権のもとに向かいます。一方、孫権の片腕である大都督周瑜(レオン)もまた自らの信念のもと、国を守るための準備を着々と進めていました・・・
まあいろんな大人の事情はあるでしょうから、妙に女性キャラクターがでしゃばってくるとか、意味不明の琴の演奏シーンとか、中村獅童(孫権はされないのに、なぜか一発変換by ATOK)が出てくるとか、その辺は許すことにしましょう。張飛は大体イメージ通りですが、関羽は迫力不足だし、趙雲も凛々しさに欠けますが、これは各国における人気だとかキャスティングのバランスとかもあるのでしょう。諸葛亮を金城武が演じるというのも「いいのか?」という不安がありましたが、まあ無難だったのではないでしょうか。わりにイメージ通りだったと思います。軍船のシーンなどはあからさまなCGでしたが、これも昨今の流れからすればしょうがないのでしょう。
ただ問題は、この映画の売り物であるだろう戦闘シーンであり、確かに中国映画らしく膨大なエキストラの投入は迫力があります。しかし、ここの戦闘はとても舞台的で、現実感がありません。三国志の物語は演劇として中国人の人気を集めてきたという背景があるでしょうし、京劇の舞台なんかだと型にはまった立ち回り、しかも騎馬ではなくて地面に足をついての剣戟が中心だっただろうと思います。そのためか、三国志演義を代表する名だたる英雄が、自ら武器を取って延々と戦い続けます。しかも、名馬赤兎にうちまたがる筈の関羽がほとんど全編下馬しての戦い。しかも彼の代名詞でもある青龍偃月刀を放り投げて素手で闘う有り様。英雄は敵の名将相手に武勇をふるうべきであって、長々と足軽相手に戦い続けるものじゃないと思うのですが。周瑜も一軍の将であるのだから、全体が見渡される場所で采配をふるい続けるのが当然であろうに、兵を率いて殴り込みに行き、やはり馬を奪われて徒での戦いを強いられる羽目に。おまけに矢にあたって怪我。あんたらアホでしょう?
ただ、劉孫連合軍のアホさに輪をかけてひどいのが曹操軍であって、諸葛亮が仕掛けた八卦の陣にかかったのはしょうがないとして、壁を作っている歩兵に攻めかからずにうろうろと走り回るだけ。最初は騎兵だけがつかまっていたのに、いつの間にやら歩兵まで捕らわれているし、指揮官先頭で突撃して後詰めを残しておかないから計略から回復できずに壊滅。昔、大学の先輩が「銀河英雄伝説」のアニメを評した、「IQ90とIQ70の戦い」が再現されたわけです。
そもそも、この後半の陸上戦が撮影された理由としては、基本的に水軍の戦いであった赤壁で関羽や張飛の見せ場を作らなければならないということ、それから映画を前後編にしたので前編の最後にスペクタクルを持ってこなければならなかったことがあるんじゃないかと思いました。最近は知りませんが、昔のロボットアニメなんかだと、AパートとBパート(CMを挟んだ前と後の部分)それぞれにロボットが活躍する場面を入れなければならないという縛りがあったそうですし、それと同じような不自然な展開になったのでしょう。でも、わざわざ前後編にせず、もう少し尺が長くなったとしても1本の映画にしたならば、こういう不自然な陸戦シーンを作らなくてもよかったでしょうに。
その他突っ込みどころとしては、劉備軍が戦闘しているところから30メートルも離れていない場所をのろのろと移動していく平民たち。曹操の主攻撃路を陸と見て罠を張ったはいいにせよ、水上の備えを誰に任せているのかわからない諸葛亮と周瑜。一大事にもかかわらず虎狩りに出かけ、孫権が虎に襲われそうになっているのをあえて黙って見ている呉の家臣。いくら余裕をかましているとはいえ、野営地でサッカーに興じている曹操軍。
私のテンションは最初の30分ほどを頂点に下がってきて、最後は早く終わってくれないかという思いでいっぱいでした。後編も同じような感じなのかなあ。とても不安。スケールが大きいのは評価しますが、それ以上は困難。☆☆*。あ、ネタ映画として作られたとするなら☆☆☆*あげてもいい。

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