みなさんは和田毅(福岡ソフトバンクホークス)というピッチャーをご存知ですか??
179センチ、74キロ。左投げ左打ち。一見して、細身な印象の左腕である。
彼を一躍、全国的に有名選手にしたのは、ひとつの奪三振記録だった。早稲田大学時代の四年間で、かの江川卓氏が保持していた東京6
大学リーグの通算奪三振記録443をやぶり、476という途方もない大記録を樹立したのだ。プロ入り後も奪三振のペースは衰えず、
2003年9・29,2004年8・06という非常に高い奪三振率を記録している。野球ファンの間では、すっかり和田イコール奪三
振というイメージが定着しているといっていい。
しかしながら、彼の球速は、たまに140キロをこえることはあっても、そのほとんどが130キロ台の後半にすぎない。野茂英雄や大
魔神佐々木のようなものすごいフォークボールがあるわけでもない。同い年のライバルである松坂大輔が150キロ台の豪速球で三振の
山を築いているのとは、あまりに対照的なピッチングスタイルなのである。
プロ入り1年目は14勝で新人王、2年目もアテネ五輪に参加したことで約1ヶ月間ペナントレースわ欠場しながら、10勝をあげた。
しかも2004年の被安打率2割2分8厘はパリーグの最小。つまり、リーグでもっとも打ちにくいピッチャーだったということだ。
「あの130キロ台のボールでなぜ」野球ファンなら誰しも、この疑問を胸に抱えているに違いない。それをいまから考えていくことに
しよう。
現在、和田が投げているストレート以外の球種は、スライダーとチェンジアップの2つと言っていいだろう。この2つの変化球は野茂や
佐々木におけるフォークボールのような分かっていても打てないウイニングショットではないことは明らかである。
実際、プロ入り後の和田の奪三振の内訳を見てみると、その半分以上がストレートによるものだ。特に目立つのはアウトコース高めのス
トレートで空振りを取ってのもので、しかも振り遅れての空振りが目につく。と、この傾向だけを見れば、メジャーリーグを代表する1
60キロ近い豪速球ピッチャーの奪三振パターンとまったく同一なのだが、ご存知のように和田のストレートは130キロ台。プロのピ
ッチャーとしては決して速くなく、むしろ遅い部類に入るといっていい。
この点こそが、和田のピッチングにおける最大のミステリーである。和田と対戦したバッターはこうのべている。バッターからすると、
実際の球速以上に感じる。ストレートだとわかっていても打てない。途中から、さらに伸びてくる感じ。と、述べている。
和田のストレートの正体を解明するには、まずピッチャーの投げるボールが、どのような物理的原則にもとずいて運動しているのかを確
認しておく必要がある。初速と終速という用語はご存知であろう。終速は初速よりおそくなる。プロの平均が10キロぐらいに対し、和
田は4キロぐらいだという。これが、実際の球速以上に感じるなぞである。初速と終速が少ないのは、球のきれがいいからである。それ
を証明する意味で、和田はよくホームランを打たれる。和田の球はとても軽いのである。イコール球のきれがいいのだ。では、なぜ和田
だけがこんなに切れのいい
ボールを投げれるのか?それは和田はとても指と手首が柔らかいのだ。柔らかいので最後までボールに力をいれることができる。
最終結論。最大の要因は、驚異的なストレートの切れにあり、その切れを生み出す要素として回転数の大きさが関わっていると結論ずけ
た。そしてこの驚異的な切れを誇るストレートに加え、投球腕の隠れ、リリースポイントが普通のピッチャーよりかなり前という2つの
要素が加わる。そしてさらに、スライダーとチェンジアップを交えた卓越した投球術が加わるのだから、厄介なピッチャーというよりな
いのである。

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