鉄板焼の店潜入レポート@〜西麻布 「Ahill」〜
ダラスの大里さん(下記写真・・あ、ちょっと老けた。。)に報告する日本の鉄板焼業界最前線レポートです。
今回は西麻布の「Ahill」という「フレンチ鉄板焼」の店です。以前に皆で行った「Kim&Chee」の対面に実はある、カウンター10席とテーブル2卓くらいの小さな佇まい。ガラス戸を開けると目の前に良く磨かれた鉄板とカウンター内にはアイランド式のキッチンが備えてあり、常に手元が見える状態。見るとソースパンがかなり備えてあり、鉄板なのに?という感じである。
アミューズに朝採り竹の子のボイルを口にし、ビールで食欲が湧いたところに2箇所でぷっくりと大きな牡蠣・帆立がバターの上にそっと敷かれる。牡蠣・帆立は焼きすぎず、綺麗な焦げ目がついたところフランベされ、春菊・ミニアスパラのバターソテーがそばで焼かれ、二枚の大きな皿の上に敷かれる。その上に牡蠣・帆立をそれぞれに乗せられ、それぞれ小鍋で作られたタブナードソースとレモンバターソースが美しくかけられる。ぷっくりとした素材の味がたまらない、いきなり食欲をそそる。
<海鮮-帆立貝柱のソテータブナードソース、牡蠣のソテーレモンバターソース>

参った、と思ったのもつかの間、次の品物が出てくる。シェフ曰く「プリン体たっぷりの料理です」とのこと。やはり、これだ。大ぶりのフォアグラが3枚、そして白子がまたさらに惜しげもなく綺麗に鉄板に並べられていく。香ばしい香りと、今度は鉄板の上から絡められるソース〜フォアグラにはトリュフソースのような風味、そして白子にはケッパービネガーのソース。もう唾液が止まらない。この2皿も次のお皿にとりわけられ、一緒に来たもう一人の小林さんと「どっちを食べる?」と一瞬のうちに会議。私は白子に手を伸ばした。噛んだそばから白子の中身がプチっとした食感とともに口の中で溶け始め、すっと引いた後に酸味が残る。旨い。この表現しか見当たらない。小林さんと(紛らわしい)皿を交換し、フォアグラへ。実は何度も食べたことはないが、これほど上品な鉄板焼を誰が想像しただろうか。口の中にプリン体と幸せが満ちる。思えばビールも飲んでいたのでプリン体三重奏。体には悪いがたまには。。と自分を納得させつつワインを頼んでしまった。
<メイン:鱈の白子のケッパービネガーソース、フォアグラのトリュフソース>
※フォアグラは心の余裕がなく取れませんでした。
もうひとつのメインは2人とも同じ皿。10cmX10cmX20cmはあろうかという国産牛の固まりを、切らずにそのまま鉄板で優しく焼き付けていく。面1つ1つを丁寧に焼き上げ、十分に肉汁を閉じ込めつつ、固くはしない。ゆっくり焼き上げ一回り小さくなった肉にナイフがすべるように入っていく。牛のたたきを作っているような感じだ。周りは香ばしく焼きあがり、中はほんのりとピンクの色が残り、いかにも柔らかそうだ。カットされた肉は白菜のソテー・長芋のソテー(!)の上に綺麗に
並べられ、伏見の甘唐辛子を乗せ、フォンと玉葱のソースがかけられる。「ご飯持ってきて!」といわんばかり、いやいやとんでもなく上品だけどそのくらい美味しい肉とソースだった。
<但馬牛のソテー 甘唐辛子と長芋ソテー添え シャリアピンソース>
最後の締めはデザートもあったがご飯もの。画像が残念ながらぶれたが、「焼きカレー」なるものが登場。鉄板の上で焼き飯が作られ、その上に葱・そしてカレーが混ぜ込まれる。いわゆるドライカレーならぬ「鉄板焼きカレー」。カレーが鉄板に触れたところとそうでないところがあり、香ばしさはもう絶妙。
<香ばしい「焼きカレー」
<潜入を終えて>
・小さな店であるがお客さんからの距離が非常にさりげない。手元が見えて、なおかつお腹が空く演出。
・皿に一品毎きちんと盛ってソースも別に作られ供される。このひと手間が日本人的には嬉しい。
・鉄板は「大きなフライパン」という見方で実に自由に仕事をしている。途中で本当にフランス料理に来ている気分になった。
・飲み物は安く、接客も非常に良い。でも、ただの鉄板焼屋には絶対に一線を画す店。
・2人で来て、同じモノではなく、違うものを頼んで楽しめるのもいい。
・天麩羅のコースを食べているがごとく、次が楽しみになる食べ方。間を見て焼いてくれるのもこのサイズだから、という感じです。
次回は「神楽坂」を訪問予定。

0