自民党新総裁に福田氏 麻生氏197票、善戦
2007年09月23日20時43分
安倍首相の辞意表明に伴う自民党総裁選は23日の両院議員総会で投票が行われ、1人1票の国会議員票(387票)と都道府県連代表(各3人)の票(141票)のうち、福田康夫氏(71)が330票、麻生太郎氏(67)が197票を獲得した。無効票が1票あった。福田氏は、有効投票527票の過半数(264票)を60票余り上回り、新総裁に選ばれた。
福田氏の総裁任期は、安倍氏の残り期間の09年9月末まで。福田氏は故福田赳夫元首相の長男で、憲政史上初めて親子2代での首相となる。
朝日新聞が全国の取材網を通じて調べたところ、各都道府県連が党員・党友による予備選などをもとに事前に決めた代表の票の配分は、福田氏が76票、麻生氏が65票。都道府県連代表が配分通りに投票し、無効票が議員票だったとすれば、議員票の内訳は福田氏が254票、麻生氏が132票の計算になる。
福田氏の議員票は、支持を表明した8派閥の計302人を50人近く下回ったことになる。一方、麻生氏の議員票は、朝日新聞の取材に対し、事前に支持を明言していた議員数を80人近く上回った。投票態度を明らかにしていなかった議員の大半が、最終的に麻生氏に投票したものとみられる。
朝日新聞の取材では、都道府県連では群馬、埼玉、長野、広島、鹿児島など26道府県で福田氏が勝ち、東京、神奈川、千葉、福岡、大分など21都府県を麻生氏が制した。党員・党友による投票を行った35都道府県では、麻生氏の得票は計約25万3000票で、福田氏の計約25万票をわずかに上回った。
(朝日新聞)
社説:自民党新役員 「派閥政治」に戻るのですか
福田康夫総裁の下での新しい自民党役員が決まった。幹事長には伊吹文明文部科学相、政調会長には谷垣禎一元財務相が起用され、二階俊博総務会長は再任された。
また三役と同格の選対委員長ポストが設けられ、古賀誠元幹事長が就任した。政権をかけての戦いとなる次期衆院選を強く意識したものだろう。
24日夕、安倍晋三首相が入院中の病院で会見し、国民の前に姿を現した。首相は所信表明演説後の突然の辞任表明について「最悪のタイミングで国政に支障をきたした。国民に迷惑をかけ深くおわびする」と謝罪した。首相は声も小さく表情にも精彩がなかった。
福田総裁をはじめ新役員はこの首相の姿をどう受け止めただろうか。参院選で惨敗したにもかかわらず首相は続投し、突然の辞任表明で国民の政治不信を増幅した。この事態を招いた責任は首相のみならず自民党にある。国民は同党の政権担当能力に大いに疑問を持ったであろう。
自民党執行部は改めて厳しい反省の上に立って、党の再生に取り組まなければならない。
新四役はすべて派閥の長であり、総裁選で福田総裁を支持した面々である。その点では福田総裁が総裁選以来の派閥重視の姿勢を人事でも踏襲したことから、論功行賞人事だと指摘されても仕方がないだろう。
小泉純一郎前首相や安倍首相が、派閥にとらわれず若手起用などの抜てき人事をしたのとは対照的である。
パフォーマンスを嫌う福田総裁だが、党内バランスを重視し手堅いベテランを起用した布陣は「古い自民党の復活」と批判されても仕方がない。
伊吹幹事長は派閥重視の姿勢について質問されると、派閥のメンバー数で計算したら総裁選で麻生太郎前幹事長はあれほど得票しなかった、とかつての派閥とは違うことを強調した。
確かに小泉時代に派閥至上主義は崩れ、派閥領袖にメンバーが全面的に従う時代ではなくなった。それにもかかわらず、今回の総裁選のように派閥単位で支持を集め、派閥の長を中心に人事を固めていかざるを得ないのはどうしてなのか。
結局、派閥に代わる自民党の新たな運営システムが見つかっていないためだろう。党内の人材教育は派閥が担っていた部分もあり、派閥の力の衰えとともに同党の人材不足を指摘する声もある。
参院選後の首相続投に関しても「異議あり」の声は大きくならず、党内の自浄作用は機能しなかった。衆院への小選挙区制と政党助成金制度の導入で選挙での公認権を持つ執行部の力が強まり、自由闊達(かったつ)な論議をする空気が薄れたのも一因だろう。
新総裁が誕生しても自民党の危機的状況は変わっていない。福田総裁は就任会見で、政府も自民党も「生まれ変わらないといけない」と述べた。その姿を早く国民に示すべきだ。
毎日新聞 2007年9月25日 東京朝刊
守りの布陣、13閣僚再任 福田新内閣
2007年9月26日 00時27分
福田康夫首相(71)は25日夜、新内閣を発足させた。官房長官に町村信孝外相(62)、後任の外相に高村正彦防衛相(65)を横滑りさせ、新防衛相には石破茂元防衛庁長官(50)を起用した。自民党幹事長に就いた伊吹文明文部科学相の後任は渡海紀三朗党政調会長代理(59)を初入閣させた。
臨時国会開会中のため閣僚交代を4ポストにとどめ、舛添要一厚生労働相(58)、額賀福志郎財務相(63)、公明党の冬柴鉄三国土交通相(71)ら残る13閣僚を再任する「緊急避難」的な守りの布陣となった。
13閣僚を再任したのは、起用閣僚の政治資金状況を事前に調べる「身体検査」に十分な時間が取れなかったとの事情もある。与党内では臨時国会閉会後に大幅改造に踏み切るとの見方も強い。
再任閣僚には自民党総裁選で善戦した麻生太郎前幹事長を支援した鳩山邦夫法相(59)、甘利明経済産業相(58)が含まれ、党内融和を図る狙いもうかがえる。ただ麻生氏は入閣要請の固辞を貫き、挙党態勢の確立に影を落とした。
臨時国会では海上自衛隊の給油継続のための新法案成立が最大の課題。首相は民主党との話し合いに力点を置く「協調路線」で政権運営を軌道に乗せたい考えだが、継続に反対する民主党などは与野党逆転状況の参院を主戦場に攻勢を強める構えで、前途多難なスタートになる。
新内閣は26日午前の皇居での首相任命式、閣僚認証式を経て正式に発足し、直後の初閣議で首相は内閣の基本方針を示す。政府、与党は国会日程について、10月1日に首相が所信表明演説した上で、3―5日に衆参本会議での各党代表質問を、9日から衆院予算委員会質疑を行う方向で野党側と調整する。
(共同)
…突然の安倍前首相の辞意表明を受けて行われた自民党総裁選。麻生太郎前幹事長の予想以上の善戦が唯一の「サプライズ」といった所でしょうか?
従来の自民党派閥均衡組閣の向きが各方面から批判を浴びている様ですが、元々保守党の党組織には日本独特の「人寄り型」が色濃く出ているのが最大の特色と言えるかも知れません。
かの田中角栄氏が絶大なる権威を誇った旧新潟3区の後援会組織『越山会』の例を出すまでもなく、党内イデオロギーによるグループ構成の旧日本社会党(あるいは現在の民主党)とは一線を画したこの政党構造こそが、自由民主党の一党優位性を維持して来た最大の要因であることは間違いないでしょう。
派閥連合体の特性には、その時々の政治情勢や社会情勢、または民意といったものを汲んだ上での一種の『擬似政権交代』を可能とする土壌が生まれることになります。
「自民党・振り子の原理」等とも言われている総裁交代時の現象ですが、今回の小泉・安倍ラインからの福田康夫新総裁への流れはまさにピッタリと当てはまります。
官邸主導の「脱・派閥」の行き詰まり、閉塞感の打破として、むしろ旧来の自民党の体制に回帰する手法を自民党議員、あるいは党員・党友が望んだ面が総裁選の結果に表れているのでしょう。(しかしながら、麻生派以外にも相当数の議員票が「造反」の事実を語ってはいるのですが。)
小泉政権で推し進められた構造改革の代表格・すなわち郵政民営化が迫っています。
格差是正、地方分権の行く末はまだ不透明ですし、何より安倍前政権の強硬な対北朝鮮政策、拉致問題への毅然とした取り組みが今後転換(悪い意味で)された場合を危惧する声は大きいものがあります。
1977年、横田めぐみさん拉致事件当時の日本国内閣総理大臣の職にあった人物は誰であろう福田赳夫自民党総裁。現首相の実の父親でした。
前任者の掲げた「美しい国」を恐らくは党是として政権与党自民党と連立与党公明党は支持したはずです。30年以上に渡りテロが現在進行形で継続している、またそれを事実上許してしまっているという現状は以上極まりないことです。
福田首相の主張する「拉致問題の解決」=「拉致被害者の現状回復」が第一でなくてはなりません。国家・国益を見据えた外交は、声を挙げる国民の存在なくしてはあり得ません。
そう遠くない解散総選挙の重要課題に「拉致被害者奪還プログラム」を掲げられ得る世論の形成が求められます。
