4. 移行期・準備期のあり方
(1) 移行期のあり方
民営化の後、最終的な民営化を実現するまでの間を、移行期と位置付ける。移行期のあり方は、以下の通り。
(ア) 移行期における組織形態
・ 国は、日本郵政公社を廃止し、4事業会社と国が全額株式を保有する純粋持株会社を設立する。設立時期は2007年4月とする。情報システムの観点からそれが可能かどうかについては、専門家による検討の場を郵政民営化準備室に設置し、年内に結論を得る。窓口ネットワーク会社及び郵便事業会社の株式については、持株会社が全額保有するが、郵便貯金会社、郵便保険会社については、移行期間中に株式を売却し、民有民営を実現する。その際には、新会社全体の経営状況及び世界の金融情勢等の動向のレビューも行う。また、国は、移行期間中に持株会社の株式の売却を開始するが、発行済み株式総数の3分の1を超える株式は保有する。
・ 公社承継法人を設立する。公社承継法人は、郵便貯金、簡易保険の旧契約を引継ぎ履行することを業務とする。旧契約の管理・運用は郵便貯金会社と郵便保険会社に行わせる。
(イ) 経営の自由度
・ 窓口ネットワーク事業においては、試行期間を設けつつ、民間金融商品等の取り扱いを段階的に拡大し、地域の「ファミリーバンク」、「ワンストップ・コンビニエンス・オフィス」として地域密着型のサービスを提供する。
・ 郵便事業会社においては、国際的な物流市場をはじめとする新分野への進出を図る。
(ウ) 郵便貯金及び郵便保険事業の経営
・ 郵便貯金及び郵便保険事業は、当面、限度額を現行水準(1千万円)に維持する。その際、貯金及び保険は、預金者、被保険者ごとに新契約と旧契約とを合算して管理する。その上で、経営資源の強化等、最終的な民営化に向けた準備を進める。
・ 民間金融機関への影響、追加的な国民負担の回避、国債市場への影響を考慮した適切な資産運用を行うが、民有民営化の進展に対応し、厳密なALM(資産負債総合管理)の下で貸付等も段階的に拡大できるようにする。
・ 大量の国債を保有していることを踏まえ、市場関係者の予測可能性を高めるため、適切な配慮を行う。
(エ) イコールフッティングの確保
・ 新会社は、移行期当初から民間企業と同様の法的枠組みに定められた業務を行い、政府保証の廃止、納税義務、預金保険機構ないし生命保険契約者保護機構への加入等の義務を負う。
(オ) 移行期の終了
・ 移行期は遅くとも2017年3月末までに終了する。
・ 郵便貯金会社及び郵便保険会社は、遅くとも上記の期限までに最終的な枠組みに移行するものとする。そのため、移行期における両社のあり方については、銀行法、保険業法等の特例法を時限立法で制定し、対応することとする。
(2) 準備期のあり方
2007年4月の民営化までの時期は、準備期と位置付け、民営化に向けた準備を迅速に進める。
(ア) 経営委員会(仮称)を設置し、民営化後の経営や財務のあり方について検討する。
(イ) 円滑な分社化を図る観点から現在の勘定区分を見直し、郵便事業の超過債務を解消した上で、4機能別の勘定区分を行う。また、各機能が市場で自立するのに必要な自己資本の充実策については、詳細な制度設計を踏まえて検討する。
(ウ) 新旧契約の分離の準備を行う。
(エ) 国際物流事業への進出を可能とする。
(オ) 投信窓販の提供を可能とする。
(カ) その他の新規事業分野への進出を準備する。
(キ) 関連施設等
・ 郵便貯金関連施設事業、簡易保険加入者福祉施設事業に係る施設、その他の関連施設については、分社化後のあり方を検討する。
5. 雇用のあり方
(ア) 民営化の時点で現に郵政公社の職員である者は、新会社の設立とともに国家公務員の身分を離れ、新会社の職員となる。
(イ) 人材の確保や勤労意欲・経営努力を促進する措置の導入等、待遇のあり方について制度設計の中で工夫する。
(ウ) 職員のモラールと労使関係の安定に配慮する。
6. 推進体制の整備
(ア) 基本方針の取りまとめ後は、全閣僚で構成される郵政民営化推進本部(仮称)(本部長は内閣総理大臣)を設置し、民営化に向けた関連法案の提出及び成立までの準備、公社からの円滑な移行及び最終的な民営化実現への取り組みを進める。
(イ) 民営化後、郵政民営化推進本部の下に、有識者から成る監視組織を設置する。監視組織は、民営化後3年ごとに、国際的な金融市場の動向等を見極めながら民営化の進捗状況や経営形態のあり方をレビューする。また、許認可を含む経営上の重要事項について意見を述べる。監視組織の意見に基づき本部長は所要の措置をとるものとする。
7. 法案の提出等
・ 以上の基本方針に沿って、政府は早急に郵政民営化法案策定作業を開始する。また、法案化等のため、この基本方針に基づき、更に詳細な制度設計に取り組み、早急に結論を得る。なお、その過程で必要に応じ、経済財政諮問会議に報告を行うこととする。
・ 基本的な法案及び主要な関連法案は次期通常国会へ提出し、その確実な成立を図る。