「襲われた食卓−毒ギョーザ事件」(下)高まる内部犯行説 解明へ情報開示の壁 (2月15日付産経新聞)
15日、報道陣に公開した工場で持ち物を取り上げ専用服を着用の上での消毒作業。「生産管理は厳格で品質は保証する」と、早期に生産回復したい姿勢を日本にアピールするのが狙いだ 「工場の内部犯行」。日本の警察当局は、列島の食卓を襲った毒ギョーザ事件の構図をこう描く。密封状態の袋の内側からも有機リン系殺虫剤が検出されたためだ。
実行犯や「なぜ混入?」の動機は、中国側の捜査結果を待たなければならないが、中国通ジャーナリストの間では、冷凍ギョーザ製造元の天洋食品の待遇に不満を持った工場従業員の犯行説が有力視されている。
今年1月の中国の法改正が背景にあるとされる。勤続10年の従業員は再契約せずに長く勤務できることになり、中国全土で昨年、使用者側による「駆け込みリストラ」が頻発したという。
「上海では2000人解雇という例もあったはず。5、6件は従業員が雇用主を殺傷する事件が起きている」。ジャーナリストの富坂聡氏は、急成長を続ける大国が抱えている先鋭化した労使問題の実態を明かす。
天洋食品の中国人工場長は15日の会見で「ここ数年は労働争議は何ら発生していない」と語ったが、複数の中国通ジャーナリストの話では、同社工場では、昨春に40〜50代の従業員十数人が、昨年末にも四十数人が解雇された。その間も労使対立はくすぶってきた。高濃度のメタミドホスやジクロルボスが検出された商品の製造日は昨年6月と10月で、時期は合う。
中国人ジャーナリストの陳恵運氏は「不当解雇で裁判を起こしている従業員もいる」と明言した。
野菜の加工工場での針金混入、缶詰に手袋を入れる…。食品事情に詳しいジャーナリストの西法太郎氏によると、中国では、待遇への不満から従業員が異物を混入する事件は過去にもあった。
毒ギョーザの製造日6月3日、10月1日、同月20日や、微量ながら26袋からメタミドホスが検出された商品の製造日9月8日は、いずれも稼働人員が少ない中国の祝日や週末の休日だった。こうしたことも「内部犯行説」を後押しする“状況証拠”になっている。
ただ、中毒被害が出た商品輸入元の親会社JTによると、工場では4人1組で具をギョーザに包む、5人で検品、3人が袋詰め、2人が熱で袋閉じ…と、常に複数で作業している。監視する人も通常4人いる。
「工程上、単独行動は難しく、厳しいチエックが働いている」(JT)というが、捜査幹部は「完璧(かんぺき)なシステムなどあり得ない。どこかに混入できる抜け道があったはずだ」と指摘する。
「推測に過ぎない」。中国国家品質監督検査検疫総局の魏伝忠副総局長は、日本の警察当局の見方を一蹴する。「生産から輸出までの課程で人為的な破壊行為があった可能性は低い」と、故意の可能性まで否定してみせた。
ただ、こうした発言の1週間ほど前、魏氏は「中日関係の発展を望まない少数の分子が過激な手段に出たのかもしれない」と、中国当局者で初めて故意の犯行との見方を示していた。
「なぜ真逆に転じたのか」「どれほど正確な情報が出るのか」。日本の政府関係者からは気をもむ声が出始めている。
中国には情報開示での“前科”がある。
平成15年に新型肺炎(SARS)が猛威をふるった際、正確な患者数を隠していた。全国人民代表大会で胡錦濤国家副主席(当時)が国家主席に選出される一大イベントを控えていたのが、背景にあったとされる。
「今回は8月に国家の威信をかけた北京五輪を控えている」。政府関係者は5年前と状況は変わらないとみる。
中国側は、日中両国警察の共同調査を提案しているが、永田町や霞が関に独自の情報網を持つことで知られる独立総合研究所の青山繁晴氏は「中国のまともな情報は期待できない」とした上で、「関係悪化を気にしてか日本政府も具体的な要求を中国にしていないのではないか」と話す。
事件は、五輪を半年後に控えても、国際社会が懸念してきた「食への不安」が、中国には残されている可能性があることを改めて示唆。日本には「食の海外依存」のもろさを突きつけた。
全容解明は、襲われた食卓に、安全を取り戻す一歩となる。日本政府の毅然(きぜん)とした対応が求められている。
…事件の真相は未だ闇に包まれていますが、過去に労働争議によって異物混入というケースが実際に発生していたという情報には驚愕せざるを得ません。
ここ数年、経済成長著しい中国の企業においては、当然ながら合理化やそれに伴う職場環境での様々なトラブルもあまた発生しているはずでしょう。
党官僚が一党独裁のもとで権力を握っているという政治体制は建国以来何ら変わっていない中で、社会主義国(厳密には共産主義国)の営利追求が、ここに来て大きなひずみを産み出してきているいるように思えてなりません。
それにしても、従業員(被雇用者)側が、「食に携わる」という基本的モラルを持っていれば【異物混入】等という言語道断なあやまちを犯すはずはないのに。
労働組合が、くだんの天洋食品で真っ当に機能していたとは思えませんし、「労働者の為の国家」を目指すはずのマルクス・レーニン主義は、ここに来て無様な姿を表したとしか思えません。
毒の混入!?お門違いもはなはだしい!!