英国の与党・労働党のゴードン・ブラウン党首(56)は27日、エリザベス女王の任命を受けて第52代英首相に就任した。それに先立ち、3期10年にわたって労働党政権を率いたトニー・ブレア前首相(54)は同日、正式辞任した。就任後、組閣に着手するブラウン首相は全閣僚を28日に発表し、次期総選挙をにらんで新たな改革路線を強調するとみられる。
ブレア前首相は昨年9月、イラク戦争支持に対する世論の反発で労働党支持率が下落する中で辞任の意向を述べ、先月10日に退陣を表明した。ブラウン新首相はイラク問題で「国連が決めた国際的義務を順守する」と語る一方で、イラク駐留軍の早期縮小を求める米民主党の動きに同調する可能性がある。
ブラウン新政権の閣僚には、財務相にダーリング前貿易産業相が最有力視されている。このほか、ストロー元外相、ミリバンド前環境・食糧・農村相、ベン前国際開発相らの入閣が予想される。ブラウン首相は省庁を再編する意向があるほか、与党以外からも人材登用を検討し、新内閣の独自色を打ち出す考えだ。
一方、ブレア氏の去就をめぐっては、米国、欧州連合(EU)、国連、ロシアの4者が中東和平特使に就任するよう要請したと報じられている。英フィナンシャル・タイムズ紙などによると、ブレア氏の中東特使起用についてブラウン首相と英外務省は積極的に支持する見解ではないという。ブッシュ米大統領は、英大衆紙サンとの会見でブレア氏を「偉大な同盟者で、とても有能な人物だ」と絶賛し、親密な関係を改めて印象づけた。
ブラウン新政権発足の流れが決まってから、英国世論には労働党支持回復の兆しが明確になり、支持率調査で野党・保守党を上回る。このため、ブラウン首相は下院選挙を早ければ08年にも実施するとの憶測も流れている。保守党のフォックス下院議員(「影の内閣」の国防相)は26日、毎日新聞の取材に「労働党には十分な資金がないので、総選挙の早期実施は無理だ」と語り、2010年の任期満了に先立つ総選挙に反対する考えを強調した。
ブラウン新首相は27日、ダウニング街10番地の首相官邸にサラ夫人と移り、「変革の仕事を始める。教育・保健問題と政治の信頼回復に全力を尽くす」と語った。ブレア氏は同日、首相として最後の国会答弁で「イラク派遣部隊が危険に直面していることはすまなく思う」と述べた。
【ブラウン新首相の略歴】51年、英スコットランドのグラスゴー生まれ。エディンバラ大学で歴史学を専攻。大学講師、テレビ局勤務を経て、83年から労働党下院議員。当時のサッチャー保守党政権に対抗し「ニューレーバー(新しい労働党)」路線を確立させた功労者の一人といわれる。野党時代の労働党で影の内閣財務相などを歴任し、94年にブレア氏が労働党の新党首に就任した時には、ブラウン氏を将来の後継者とする密約があったとされる。97年のブレア労働党政権発足から10年間、財務相を務めた。財務相としての在任期間は近代史上最長。ブラウン氏は戦後13代目の首相で、労働党としては戦後5人目。
(毎日新聞)
…イギリスの新首相に、ポスト・ブレアの呼び声も高かったブラウン前財務大臣が就任しました。
イラク戦争への対応の批判が最大野党・保守党の巻き返しを招くものと見られていただけに、今後のブラウン新内閣の政権運営は厳しい現実があるのは間違い無いでしょう。
欧州の主要国では、ドイツの社民党シュレーダー政権から東ドイツ出身のメルケル連合政権への交代、スウェーデン社民党の下野、そしてフランソワ・ミッテラン政権下以来の社会党政権奪還を目指すも敗れてしまったロワイヤル女史の例等が最近続いておりそれだけに英国労働党こそが社民・中道左派政権の唯一の「砦」と言えるのではないでしょうか?
欧州社民の歴史は古く、共産主義・コミンフォルム、またはマルクス・レーニン主義より以前から存在していた確固たる政治思想の一つです。
社会主義インターナショナル(世界各国の社会民主主義及び民主社会主義を掲げる政党による国際組織。日本では社民党が加盟しています。)加盟政党が政権運営から離れつつあるのはいち「愛国的社民主義者(造語)」としては残念なことだけに、ニュー・レイバーリズムを更に発展させ得るであろうブラウン新首相には期待したいと思うのです。