経済の最大原則として、「お金はある部分を動き回っているだけ」という盲点があります。余りにも当たり前過ぎて、誰もこの事実に気付いていないのが現状なのです。
それを忘れてしまうからこそ、インフレーションやデフレーションによる経済危機が我が国を未曾有の構造不況に陥らせていたのではないでしょうか?
私は経済学の専門家でも何でもありませんので、あくまでも身の丈にあった発言しか出来ませんが、恐らく大部分の国民もそうでしょう。
身近な例で考えてみれば、家計という経済の最小単位において、赤字を減らそうと思えばまず着手せねばならないのが「無駄遣いを無くす(減らす)」ということに尽きます。
ミクロからマクロへ。
これは、国家財政においても同じことです。
1960年代に当時の池田勇人内閣が打ち出した『所得倍増計画』は見事実現するに至りました。これは、「収入を増やす」という観点に力を入れることで景気の回復を計ったものです。しかしプラス成長にはある一定地点で限界が生じてしまいます。
現在、2007年の我が国が『所得倍増』等と言っても当時とでは状況(若者の雇用情勢や国際間における貿易特需等)が違い過ぎますから、それは夢物語です。
そうなれば、当然「無駄遣いを無くす(減らす)」という選択肢が採られることになるでしょう。
2007年6月24日付けの民主党機関紙『プレス民主』(号外)では、参院選対策としての政策10本柱を特集していますが、その中では政府与党の「増税・負担増」を厳しく批判すると共に、「国民の利益」に眼目を置いて提案を述べています。
@年金を守る
においては、今世間の関心が最も高い社会保険庁の年金記録漏れ問題を踏まえて、記録の改善や照合、保険料納付データの確認体制、社会保険庁の組織体質の抜本的改革(国税庁との統合)、年金保険料の給付以外の使途を認めず、基礎(最低保障)部分の財源を全額税により安定した制度とすることを訴えています。
A雇用を守り、格差と戦う
では、最低賃金の引き上げ、就労支援手当て、税制見直しなど。
B政治・行政の改革徹底
C子育て・教育を社会全体で支える
…これは、大変に興味深いのですが、「教育に対する公財政支出は先進国中最低水準であり、5割増を目標に引き上げていきます。」とのことです。
この後もD「医師不足の解消」E「農林業の自立支援と食の安全」
そして、Fでは「地域のことは地域で決められるようにする」
G「日本経済の基盤である中小企業を元気にする」
H「環境政策で世界をリードする」
I「主体的な外交を実現する」…とこの様に続きます。
野党第一党から、「政権準備政党」へと脱却する為には、より多くの国民世論の支持を得る必要があります。いずれも従来の自公連立政権において噴出した問題点や欠陥(システム的なもの)を見直す事が窺えるのですが、民主党案には今回も、そして今までも大きなウィークポイントが燻り続けています。
それは、「財源を明確に記載していない」という点です。
民主党のマニフェストはなるほど、良い事尽くめです。「高速道路の無料化」ウェルカム!でしょう。しかしながら、その為の具体的なプログラムプランというものが全く見えて来ないのです。また、道路公団やいわゆる旧来の「道路族」議員の処遇も結局分からずじまいでした。
無駄遣いと無くす=これは日本が霞ヶ関を中央とするある意味で「中央集権」国家であれば大変意義深い提案なのですが、民主党案をよく読むと「?」疑問点が少なからず山積しているのです。
C「子育て・教育を社会全体で支える」
これを実現する、すなわち公財政支出引き上げを実行する為の布石の一つが、Fの項目なのではないでしょうか?
F「地域のことは地域で決められるようにする」
●国と地方の役割分担を根本から改め、地域でできる仕事はすべて地域に任せます。
…何と事実上の「連邦制」への呼び掛けです。確かに、Cで引き合いに出されている
「先進国」にはアメリカ合衆国やドイツ連邦共和国等の連邦国家が含まれているので整合性はあります。連邦国家が根付いている国には、基本的に財源の自主性や政策立案及び施行がかなりスムーズであるという利点があります。
従って、日本ではお馴染みの「陳情」というものが存在しなくなります。
但し、それによって我が国がドラスティックな変革を迎えた場合は、地域間対立やリーダーシップ不在の地方自治体の危機といった「もう一つの格差社会」が生まれる危険性も孕んでいるのです。
Iの「主体的な外交」が、日本国から地域移譲してしまい、幾つかの貿易港のみに偏る可能性もあり得るということです。
民主党の目指すべきビジョンが、まだまだはっきりしない内は国民も納得出来ませんし、これでは安心出来ません。
第一、日本では「道州制」がまだ議論されている渦中にあり、説明不足は却って混乱を招きかねないと思うのです。
「官僚に権力が集中している今の状況を打開したい」これは、私が民主党員時代(民有合併以前の旧民主党時代)から、党内の議員の方々がよく発言しておられました。
「税制改革」と「年金保障」「賃金引き上げ」はセットで考えなければなりません。
そんな現状で民主党内では、消費税のアップに「反対」か「賛成」かで未だ意見の一致をみていないのが現状なのです。
参院選公約(マニフェスト)がこういった批判に応えているものであることを願うばかりです。