安倍晋三首相は12日、辞任する意向を固め、与党幹部に伝えた。首相は参院選惨敗後、内閣改造による政権立て直しを図っていたが、臨時国会でテロ対策特措法の延長問題の展望が開けないうえ、「政治とカネ」の問題をめぐり激しい攻勢にさらされることが確実なことなどから、政権の維持は困難と判断したとみられる。政権が昨年9月に発足して以来1年をたたずに辞任に追い込まれたことで、後継問題は混迷が予想される。
首相は12日、自民党の麻生太郎幹事長、大島理森国対委員長らに電話、「代表質問には答えられない」と辞任の意向を伝えた。麻生幹事長は首相の辞意について記者団に「ずっと前から(首相の辞意を)聞いていた。安倍首相は『自分では議会での求心力がない』と言っていた」と語った。また、自民党幹部によると、首相は「わたしは代表質問に出るわけにはいかない。健康上の理由だ」と伝えてきたという。首相は11日、「風邪」を理由に公務を途中で中断していた。10日に召集された臨時国会では首相の所信表明演説に対する与野党各会派による代表質問が12日に予定されていたが、急きょ、中止された。
首相は7月29日に投開票された参院選で年金問題などの影響で自民党が惨敗したにもかかわらず、続投を決意。8月27日に内閣改造を行い、政権の立て直しを図ったが、遠藤武彦前農相が補助金の不正受給問題で辞任に追い込まれ、大きくつまずいた。加えて、参院で与野党が逆転した今国会ではインド洋に海上自衛隊を派遣するテロ対策特措法の期限が11月1日に切れることに伴う延長問題で、民主党が反対姿勢を崩しておらず、法案成立が危ぶまれる事態に。政府・与党は新法制定で事態打開を目指したが、首相はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議のため訪れたシドニーで9日記者会見した際、給油活動継続について「職を賭す」と表明。活動継続できなかった場合は退陣する意向を示していた。首相の辞任をめぐっては、今週末発売の一部週刊誌が安倍首相に関連するスキャンダルを報じる予定だったとの情報もある。
首相の退陣表明を受けて自民党は後継総裁選びに着手する。麻生氏、福田康夫元官房長官らの名があがっている。
安倍首相は故安倍晋太郎元自民党幹事長の二男。祖父は故岸信介元首相。91年に晋太郎氏が死去したことから、2年後の93年、衆院旧山口1区から立候補し、初当選を果たした。当選5回。00年の第2次森内閣で官房副長官に起用され、北朝鮮に対する強硬姿勢で世論をつかみ、スポットライトを浴びた。03年、小泉政権下で党幹事長に抜てきされ、05年には第3次小泉内閣で官房長官に就任。06年9月、小泉純一郎前首相の後を受け、戦後生まれとしては初の首相に就任した。
(毎日新聞)
…まずは、いち国民としても、野党国民新党の末端の党員としても、安倍晋三内閣総理大臣閣下への感謝と労いの言葉をお掛けしたいと思います。
相次ぐ閣僚のスキャンダルと失言、更に世論の支持低下加速と参院選での自民党の惨敗・与野党逆転。この逆風の矢面に従来の派閥力学からはまさに「想定外」の安倍晋三氏が選ばれることになった功罪はあまりにも大き過ぎるものがありました。
客観的に見れば「派閥連合体」の自由民主党としての限界がここに来て噴出してしまったと思うのはうがち過ぎでしょうか?
閣僚経験はほとんど皆無と言っても良い状況下で「戦後レジーム」の脱却を訴え、前小泉政権下での格差是正を担うべく、「再チャレンジ」のスローガンの下で自身の専門分野である福祉・年金政策の改革案を示すも、有権者の理解が得られなかったことは残念な結果であったと言わざるを得ません。
少子高齢化、消えた年金問題、社会保険庁の改革、人生のセーフティネット足り得る社会保障の財源確保…いずれも歴代の内閣ではあまり議題にのぼらなかったファクトですが、安倍政権になって良い意味では国民的関心が深まったことにより、「超福祉国家」(大きな政府)に対する『個人と民間と地方の裁量』が重要視される日本の姿を描き出そうと提唱したことは率直に評価されるべきでしょう。
しかしながら、安倍首相が国民的人気を集めたきっかけとも言える、北朝鮮拉致問題への毅然とした対応・すなわち「主張する外交」が成し得られていたかどうかははなはだ疑問ではあります。
今なお北朝鮮金正日一派は、我が国を始めとする外国人を不当に拉致誘拐して監禁状態においています。これこそ現在進行形の卑劣なテロでなくて何でしょうか?
人権、生存権を脅かす金正日共産主義一派に対峙し得るという期待は拉致被害者のご家族や支援者、また与野党問わず超党派の拉致議連等にも潜在的なものが高かったはずです。この安倍首相辞任のニュースを聞いた金正日一味に「してやったり」と思わせてはならないのです。
安倍首相の後任者の内閣総理大臣に強大なリーダーシップを発揮してもらう為には、我が国が現在置かれている状況下を的確に認識し、危機感を持った上で国民が一致団結して拉致問題解決・拉致被害者奪還を訴えかけ続けて行かなくてはなりません。