しばらく更新が遅れてしまいましたが、
今日ご紹介する本は、
イマニュエル・ウォーラーステイン(山下範久訳)
『新しい学――21世紀の脱=社会科学』藤原書店、2001年。
原著は、 Immanuel Wallerstein,
The End of the World as We Know It:Social Science for the Twenty-First Century,University of Minnesota Press,1999.
です。
ウォーラーステインといえば、「近代世界システム論」で有名ですが、
この本では、さらに発展した理論を提唱しています。
その理論的支柱は、
自然科学-社会科学-人文科学の再編成、あるいは再統合です。
つまり、従来の思考を超え、もはや社会科学ではない、
「新しい学」ということなのです。
僕がこの本に着目したのは、問題意識を同じにしているからであり、
やはり、近代科学の限界が露呈されている現在だからこそ、
新しい理論の必要性を感じているからです。
近代世界システム論は、国際社会学だけでなく様々な学問分野に影響を与えました。
それは「世界」をシステムとしてとらえるときに、
国家を枠組みとしてとらえることはできず、
「世界」を単位にする以外にない、ということです。
つまり、国は単独で存在しているのではなく、諸国家との関係で成立しているのであり、
また、国自体も国という枠で捉えることはできないために、
認識を改める必要があったのです。
本書では世界システム論をさらに発展し、社会科学以外の学問分野を取り込み、
社会科学を脱構築する試みとなっています。
この理論は、「近代化」の過程において、
いかに人間の認識は誤っていたか、
そして、現在の環境問題などが、
近代科学の手法である二元論(観察する主体と客体は明確に分離しているという考え方)、要素還元論(観察対象を各要素に分解して全体を理解する方法)が、もはや通用しないことを示している、
いや、そもそも誤っていたことを示していることになります。
そうすると、ウォーラーステインの新たな世界システム論とは、
地球システム論になっていくのではないかと考えます。
ウォーラーステインの「近代世界システム論」は、
資本主義からの視点が強すぎるという批判と、
近代以前から世界システムが成立していたとする批判もあります。
そのため、ウォーラーステインは、度々、理論をヴァージョンアップしてきたのであり、
今回の「新しい学」は、「近代」や「科学」そのものの認識や、
その中にある権力作用を批判的に検証する理論であり、
その啓蒙の書となる一冊です。

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