"Kokusai Highway Patrolman M28 357Magnum"
大ヒット作のMGCハイパト41は何度も取り上げていますが、
今回はそのコピーモデルである国際産業のハイパトを取り上げてみます。
MGCハイパトが『ハイウェイパトロールマン41マグナム』という
架空のモデルだった事は昭和47年(1972年)の発売時はあまり知られていなかったと思います。
当時のカタログ等を見ても、架空である事に気づくのは難しいです。
近年、設計者タニコバさんのインタビュー等によって
『S&W M27 357マグナム3.5インチをモチーフにしてハイパトを作った』
『41マグナムにしたのはプラガンは軽いのでカートを大きくして重さを稼いだ』
『3.5インチにしたのは格好良かったから』
『ハイウェイパトロールマンって名前は関係ないけどつけてみた』
このような事が明かされています。そのデザインとネーミングのセンスはさすがです。
もしこれらのひとつでも変わっていたら…?
大ヒット作にはならなかったかもしれません。
MGCハイパトは発売から40年近く経った今でもその魅力は衰える事はありません。
そしてそれに便乗して登場したのが国際のハイパトでした。

左が国際。右がMGCです。
モデルガン好きでなければ違いは分からないのでは?ってほどよく似てます。
その名も『ハイウェイパトロールマンM28 357マグナム』
つまりMGCの完全なコピー品にも関わらず、名前だけ実在の銃にしてしまったのです。
357マグナムといいつつ口径はMGCとほとんど変わりません。
これと似たような事はマルゴーもやっており、MGC44マグナムのコピー品をMGCが呼称として使用していない『M29』として発売したりしていました。
MGCは輸出を意識して実銃のメーカー名やモデル名の使用を避ける事が多かったのでそこを突いたコピーメーカーの名(迷)アイディアとも言えるわけですが…。
そして激怒したのがMGCです。ビジェールには強い抗議を掲載したほどです。
『もともとモデルガンだって実銃のコピーじゃないか。コピーされて文句を言う筋合いはない』
という意見も当時はあったのだそうです。
まぁ私が勝手に思うには…MGCが作っていたのは『モデルガン』であり、実銃の『コピー』ではなかったのだと思います。
例えば田宮のプラモデルに対して『コピーだ!けしからん!』と言う人はあまりいないです。
神保勉氏の自伝『MGCを作った男』ではMGCのモデルガンは実銃より小さく作る事に拘りがあったそうで、弾も出なければ機構も違うし、確かに実銃のコピーという感じはしません。(贔屓目かもですが)
モデルガン開発は実銃と異なるゆえの相当な『産みの苦しみ』があり、タニコバさんを始め、いろんな人が苦労して完成させた努力の結晶だと思いますし、それを簡単にコピーされてしまえば怒るのは当然だと思います。
それでもMGCの『猛省をうながしたい』という警告のみでコピー品が堂々と売られ続けていたというのもすごい話です。現代なら訴訟や回収といった騒ぎに発展していたのでしょうか…。
さて、国際ハイパトについて掘り下げてみます。
国際ハイパトの詳しい発売時期は不明ですが、当時のカタログを見ると金属ガバメントとかが載っているので昭和52年(1977年)の規制前である事がわかります。
そして国際ハイパトが登場したような記憶がある『大都会 闘いの日々』(通称パート1)が昭和51年(1976年)放送だそうですから、登場時期はそれより前という事になります。定価は4800円でカート6発付きです。MGCハイパト(最初期)は本体3800円、カート12発700円で4500円ですからコピー品の国際の方が高い事になります。
国際ハイパト初期型はなんと貫通シリンダーなのです。
この当時はプラスチック製のモデルガンには銃刀法規制が適用されず、何でもありだったようです。
何せ安全対策にこだわっていたMGCでも初代プラガバ(GM2)には金属Fピンで分解可能なセンターブリーチを採用していたくらいです。
貫通シリンダーと言ってもカートリッジは後撃針(いわゆるピカドン式)ではなく、一般的な前撃針方式です。
なので前撃針はフォーシングコーン内にある金属ピンです。
カートリッジはシリンダーの長さいっぱいまで伸ばしてあり、発火時には先端がシリンダーから突出して発火するという方式です。
古くはCMCダイアモンドバックやピーメに採用され、マルイのプラモデル(M29、ブラックホーク)もこの方式です。(マルイのは1ピースのカートが丸ごと前進する仕組み)
銃身は基部あたりで完全閉塞されていて、銃腔の下部にピンホール状の小さな孔があり、かろうじて発火ガスが少々だけ前に抜けるようになっています。
このように安全対策が施されていましたが、それでもさすがに貫通シリンダーは…という感じだったのでしょうか、
この方式はすぐに一般的なシリンダー前撃針に変更されたみたいです。

左が初期型、右が後期型です。


フォーシングコーンのようす。


シリンダー、バレルのようす。
この変更と同時期にグリップは茶色から黒になり、バレル刻印には白く塗装されるようになりました。また、フロントサイトもオレンジ色に着色されています。
この白刻印は遠くからも目立ちます。定価も5100円にアップされました。
『8時だョ!全員集合』で国際ハイパトベースの電着と思われるステージガンが登場した事がありました。
この時、引きの映像でも白刻印を確認する事ができました。
そして最終的には定価は5800円までアップしたところで生産中止となりました。
今回のために写真を撮ろうと久々に取り出してみたらクラックが…
修正したいところですが、刻印もあるので難しそうです。
これはこの頃の国際プラガンの特徴というか泣き所です。
ピーメもブラックホークもクラックが入っているのをよく見ます。
バレルに入っている補強の為の金属パーツが入っているわけですが、金属とプラでは温度による収縮では違うためでしょうか。
ある日ピキっと来るのです。
でもMGCの方がクラックの発生頻度が低い気がします。
MGCでクラックが入るのは発火によってインサートに錆が発生し、錆とともに膨張したインサートによってクラックが入る感じです。
おそらく国際とMGCのABS樹脂とは成分が違うのでしょう。
国際の方が弱いというか粘りがない感じがしますね。
昔のGun誌のレポートで『成型不良の多かったバレルは鉄パイプで補強した。業界の自主規制でパイプ状のワンピース金属部品は使用を禁止していたが当時の国際は組合に未加入だったので使うことができた。』
というような事が記されていたと思います。
MGCの完全コピーに近い国際ハイパトですが、コピーできていない点もあります。
それはハンマーとトリガーのスタッドピンです。
MGCはスタッドピンが長く、サイドプレート側の凹み穴によってガッチリと支える構造のため、安定したアクションです。
国際はスタッドピンが短いため、内部のメカが動かすたびにグニャッと傾いてしまうようで、不安定なのです。
なので国際はアクションには向きません。
全員集合のステージガンが電着と思われるのも妙に納得です。
ちなみにMGCはオイル侵食によってスタッドピンが外れてしまうトラブルが結構あるのですが、サイドプレートで挟み込んで固定するために組み立ててしまえば問題なくアクションできるというタフさを持っています。
こんな感じでコピー品である国際ハイパトは残念な部分が多いのですが、リアルタイムで新品のMGCハイパトを買えなかった私にとっては『夢のコピー』だった事は間違いありません。
既に国際ニューM28が発売されていた頃には旧製品として特価2900円でしばらく併売されていました。
コピー品ゆえのメリット?としてMGCグリップとの互換性があり、黒いグリップもすぐに『本物』と交換可能なのです。
白い刻印はマジックで黒く塗りつぶして『MGC風』として楽しんでいました。
目黒のコクサイ、渋谷と吉祥寺のYMCで買った記憶があるので、最低でも3丁は買って遊んだと記憶しています。
当時は『太陽にほえろ!』でも一部のスチール写真などに国際ハイパトが使われていたりしていたので、それを発見するのも楽しかったです。
国際はニューM29あたりから耐久性がグンと上がって、M19やM36では『発火するならコクサイ』みたいな感じになりました。
そしてM19以降はバレルの金属補強をやめ、M10では金属シャーシを分割にするなど安全性も向上しています。
おそらく二流のコピーメーカーから抜け出すための企業努力がかなりあったのではないかと思います。
その原点は初期製品ハイパトの経験や反省が基になっていることでしょう。
現在、世界に誇る日本車も最初は外国車のコピーから始まったように国際もMGCハイパトのコピーから始まって『リボルバーのコクサイ』になったのかもしれません…。

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