年末年始にかけて、いくつかのメディアで、日本政府が財政的破綻状態に陥り、国債が紙切れと化すといった報道を目にした。
外資系のアナリストやら、金融ジャーナリストやらが警句を口にしていたようだが、如何なものかと思う。
まず、日本が少子高齢化を迎えて、年々経済規模が縮小していくことは既定の事実だ。また膨大な国債、地方債といった政府債務も増える一方なのも事実だ。消費税をちょこっと増税した程度では賄えない。
しかし、なにより政府の借金は、日本国内の金融機関からのものが大半で、国外債務ではない。貸し手である金融機関にとっては、日本政府への貸付債権であり、その安定性は確固たるものだ。
巨額な対外債務が支払えずに債務不履行に陥ったアルゼンチンや北朝鮮とは、ここが根本的に異なる。もし、仮に日本の金融機関が国債の投売りでもするか、債務の早期返済でも求めれば、日本政府は事実上破綻するかもしれないが、日本の金融機関も共倒れとなる。そんな馬鹿な事態は考えにくい。
第一、このリーマンショック以降、不況の底から抜けさせない世界経済にあって、日本の円とスイスのフランは数少ない安定した通貨である。これは市場が評価しての結果であり、恣意的な評価ではないことを思えば、まだまだ日本は安定しているといえる。
だが、世の中に絶対はない。絶対に値崩れしない商品はないし、壊れないものもない。国家は絶対に倒れない、なんて言う人がいたら、その人は歴史に無知だとしか言いようが無い。
私が考える日本政府の財政における最大の弱点は、アメリカ国債にある。大量に保有するがゆえに、その利子収入は膨大であり、これが巨額な外貨準備高を支えている。
だが、肝心のアメリカの財政状態はどうなのか。アメリカ政府も税収以上の歳出を賄うため、毎年巨額の国債を発行しており、これがドル安の大きな要因になっている。いったい、アメリカ政府は本当にこの巨額な債務を返済できるのか。
もし万が一、アメリカ政府がデフォルト(債務不履行)を宣言したらどうなるのか。想像するだに恐ろしいが、間違いなく世界経済破滅であり、必然日本政府も追随する可能性はきわめて高い。
こうなると国債は紙切れであり、通貨とりわけ紙幣も只の紙切れと化す。金などの貴金属だけが信用され、物物交換経済が復活することさえ考えられる。
21世紀は、水、食糧、石油といった資源が重要性を増す時代であることを思えば、まったく在り得ないとは言い切れない。
ただ、アメリカが覇権国家であり続ける限り、デフォルトはまずしない。やるとしたら、大幅な通貨切り下げ(デノミネーション)だと思う。その前提としてスーパーインフレーションを引き起こして、通貨価値を大幅に下げ、債務の返済負担を軽くすることではないか?
アメリカのドル通貨は、事実上世界の大半で使用されることを思えば、世界経済の大混乱は避けられないと思う。当然に日本もこの動きに追随しての通貨切り下げに応じざる得ない。日銀が頑なに固守してきたデフレ政策は破綻し、強制的なインフレーションが日本を襲う。
嫌な予想だが、アメリカはともかくも日本政府は、この膨大な借金(国債、地方債)を返済するには貨幣価値の大幅な切り下げ以外に手はないと思う。
大規模なインフレーションが起きるのは、経済が拡大傾向にある時が普通だが、国家が破綻した時にも発生する。歴史の教科書をひもとけば、第一次世界大戦の敗北後のドイツでは、マルク紙幣の札束をボストンバックに積み込んで、食料品を買いに行くドイツ庶民の写真が載っていた。
同じことが、日本に起きないという保証はない。現在1000万円の預金があれば、当面の暮らしに不都合はないが、もしスーパーインフレーションが起きれば、かつてのドイツと同じ光景が繰り返されるかもしれない。
今すぐ、国債が紙切れと化し、スーパーインフレーションが起きるとは思わないが、世の中に絶対はない以上、ある程度のリスクヘッジは必要かもしれない。
まァ、こんな事態が発生したのなら、それは世界的な災厄であることも間違いないので、一個人の微々たる努力なんて無に等しいかもしれませんがね。
だから私としては空が落ちてくることを心配してビクビク暮らすより、今を十分満喫したいと思います。

3