もう10日近くも前のことで恐縮ですが、ご一読いただけましたら幸いです。
新聞やテレビでも報道されましたが、35年前沖縄返還をめぐる日米政府密約を報道したことで国家公務員法違反に問われた元毎日新聞記者西山太吉さんが、米国の公文書により密約が裏付けられたとして国に対して慰謝料と謝罪を求めていた裁判の判決が3月27日に出ました。
ペガサス・ブログ版さんが各紙の記事をご紹介くださっています。
この裁判を2年間傍聴してこられたひらのゆきこさんが、判決が出たときの詳しい様子を書いてくださっています。新聞にはわずかしか出ていない西山さんの言葉もたくさんご報告くださっています。少しだけ転載させて頂きます。(ぜひ全文をごらんください。)ひらのさん、無断でごめんなさい。
(判決が出たときの様子を拝読して、イラク派兵差し止め訴訟の裁判のことを思い出しました。詳細はこちらです。
http://blue.ap.teacup.com/paletoutseul/180.html
http://blue.ap.teacup.com/paletoutseul/179.html)
「西山太吉国賠訴訟」判決
http://www.janjan.jp/government/0703/0703282519/1.php
(JANJAN)
以下転載
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撮影が終わり、テレビカメラが法廷を出て行くと、すぐに裁判が始まりました。加藤裁判長が「主文のみ朗読します」と言い、判決を読み上げました。
主文 原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
それだけ言うと、加藤裁判長は席を立ち、ほかの2名の裁判官とともに退廷しました。判決についての説明が一切ないので、なぜそのような判決を下すに至ったのか、傍聴人はまったく理解できませんでした。呆気にとられているうちに裁判は終わり、傍聴席には一瞬、重い沈黙が流れました。
判決を聞いて、最初に頭に浮かんだのは、「こんな裁判があるのだろうか」ということでした。いくらなんでも、9回も口頭弁論を行い、約2年間に渡って裁判をやってきたのに、裁判長が主文だけ読み上げて退廷する。その間、わずか5秒にも満たない。このような裁判が果たしてあるのだろうか。
なんとも名状しがたい思いで傍聴席に座っていると、法廷を立ち去る裁判官に対し、傍聴席から「なんなんだ!? これは!!」と抗議の声が上がりました。慌てて原告席を見ると、西山さんも藤森さんもすでにそこにいませんでした。法廷を出て行く西山さんの後ろ姿が目に入りました。表情は見えませんが、憮然としている様子が背中から伝わってくるような気がしました。傍聴人の人たちも互いに顔を見合わせながら、あまりに理不尽ともいえるような判決に、なんと表現していいのかわからないような表情に見えました。 (略)
次に、記者との質疑応答が行われました。
質問「今日の裁判についての感想を聞かせてください」
西山「一番グレードの低い裁判だった」
質問「裁判の目的は政府に密約を認めさせることか」
西山「もちろんそうだ。君らは密約と簡単に言うけどね、これは大変なことをやったんですよ。政治犯罪。それを許容している社会。先進国のジャンルに入らない。国のためでなく、一政権のための返還。南の楽園が戻ってくるんじゃないんです。アメリカ屈指の軍隊が沖縄にできる。どこにでも行ける基地を沖縄に作った。政権益のための返還であったことを、ようく考えてもらいたい。国会の承認案件である条約を偽造するという、グレードの高い犯罪。裁判官の手に負えない。私が発信し続けていかなければならない。今から始まる。5月に沖縄密約の本を出すので、裁判官はそれを読んで沖縄返還の実態を勉強しろ、と言いたい」
(略)
「壁が厚い。この裁判は前例のない裁判。政府高官の犯罪集団が現存している。目の前にいる。除斥期間と真実義務を最大限使ってきた。行政、国家権力が司法の分野まで入ってきているということだ。政治部記者だったので、権力中枢を知っているが、司法の世界はすさまじい。それを目の前にぶつけられた感じ。司法、立法、行政は独立しており、公平中立な裁判が行われるという概念があるが、実際は違う。
沖縄返還は南方の楽園が日本に戻るのではない。米国にとっての海外における重要な基地ができることを意味する。基地が主権下に入ってくることで、日米同盟が変わる。すさまじい代償がある。一過性のものでなく、返還された後も続く。グアム移転費を日本が負担する問題も、沖縄返還から始まった。一過性の問題だと思ったらとんでもない。30年間続いている。だから(裁判を)やった。
権力の操作を見せつけられた。1人2人が立ち向かっても通る相手じゃない。鉄壁。本当はやめたい。勝てる見込みがない。(権力は)追い詰められるとすさまじい。ストレートでくる。やらざるを得ない。密約を認めたら、内閣がへんになってしまう。その意味で、政治権力の真っ只中に位置している裁判。権力が目の前で動いている。
司法の独立なんてきれいごとだ、ということを改めて認識した。こんな裁判ない。想定された中の最低の判決。負けてもともと。裁判を通して発表していかなければ発信するところがない。やらざるを得ない。ガード固めと情報操作がものすごい。権力とメディアとの一体化。メディアがつぶれたら全部つぶれる。最後の防波堤がメディア。民衆は安全保障になんの関心もない。
日米軍事再編のロードマップを読むと、カネを何兆円も日本が出すことになっている。中近東相手に日米同盟の強化が進む。それが日米軍事再編の一番の眼目。そういう中での訴訟。相手のすごさ知っている。氷山の一角が今日の司法に出てきただけ。怖くなる心理状態になることもある。今のいろんな動きを見ていると。控訴審でも最高裁でも負ける。除斥期間をもってこられたら、何でも抹殺できる。反論できない。
グアム移転問題は沖縄返還の再現。米国の都合なのに、日本の負担軽減ということで、移転費を日本が負担する。一過性ではない。日米同盟が変質ししている。思いやり予算は沖縄返還交渉に入っていた。国民のためでなく、一政権のため。これ以上の犯罪はない。この認識でみなければならない。期待はできないが、やることに意義がある」
-------------転載ここまで----------------------------------
西山さんがこの裁判を起こそうと決意された経緯などについて、2005年9月末に記者会見で語っておられます。これも、ひらのさんが詳しくご報告くださっています。本当に大切なことばかりです。この記事もぜひあわせてごらんください。
すり替えられた「国家犯罪」、沖縄密約から33年目の証言
http://www.janjan.jp/media/0509/0509262987/1.php
西山さんが裁判を起こそうと決意されたのは、「嘘をつき続けている政府への怒りと、『この問題を放置していたらまた国の行方を左右する重要なことが国民に知らされないまま決められかねない』という強い危機感から」だそうです。
このお言葉は、石川さだのさんに重なります。戦時中、治安維持法により甲府市職員を解雇されたことについて、2005年、市に無効を認めさせ、名誉を回復するための裁判を起こす決意をされながら、裁判の直前に亡くなられた女性です。90歳でした。(
「ふたりのさっちゃん」に詳しく書きました。)
本来なら、のんびり余生を愉しみたいはずの人生の終わりになって、こういう苦しい闘いを始められる方々のことを思うとますます、本当に今が「境目」なのだとひしひしと感じられます。
教科書の書き換えをして過去の真実に目をふさぎ、「美しい国づくり」を国民運動にするための会議を設置し、今月中の集団自衛権研究有識者会議発足を予定し、改憲手続き法案を何が何でも急いで採決しようとしている政府を見ながら、毎日MLから頂く東京の学校の様子を記事にしていると、あさっての都知事選の重大さがいよいよ胸に迫ります。東京のこれからはもちろんのこと、私たちの国の今後を左右する大事な大事な選挙です。
東京にお住まいのみなさん、どうか投票所に出かけて意思表示をしてください。政治に失望してこれまで投票に行かれなかった方もいらっしゃるかも知れません。投票に行かないことで失望を示すのも一つの表現手段だと思います。けれど、今回だけは、どうか、あなたの大切な1票を子どもたちの未来のために生かしてください。今ならまだ間に合います。心よりお願い申し上げます。