「憲法改正とサンフランシスコ講和条約「朝日ニュースター」パックイン・ジャーナルより(2)」
憲法9条・平和
愛川氏: 樋口さん、砦ですよ。
樋口氏: 私共が大学のときに学んだ基本的な知識からいうと、国際条約というものは憲法よりも上位概念であると。
田岡氏: もちろん!
愛川氏: しかし良かったですねぇ、アメリカだけじゃなくて。他所の国がいろいろ言ってくれれば…
それから前にも田岡さんから何度か聞いたけど、憲法改正案のなかの軍法会議復活っていうのはね、そういうことは世界では今は止めてきてるんだと。つまり軍人が軍人を裁いたら、甘いに決まってると。
田岡氏: 止めたのはドイツとベルギーぐらいですかねぇ。
愛川氏: アメリカは残ってる。
田岡氏: もちろん。だから常に責任を取らないわけですよ。あの「えひめ丸」の件だって、ぶつけたって起訴にもしないとかね。
愛川氏: この話はあちこちでしないといけませんね。自民党案のなかで一番すごいのは軍法会議だよと。
田岡氏: 下級者には厳しいけど、上級者はだいたい起訴せずですよ。
愛川氏: しかし、ずいぶんと怖ろしい国に向かった歩き始めてるっていうことだけは、確かなんで。しっかりと見たり聞いたりしておきましょう。
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以上です。 [文責: 平和子]
2005年10月の同番組で、田岡氏が軍法会議について説明なさいましたので、そのやりとりを貼り付けます。
田岡氏: 七十六条の三ね、この前出た草案にもあったんです。その前の要綱にもあったんだけど。軍法会議というのは、先ず一般の人は知らないから騒がないんで。軍法会議というのはね、先ず軍人の犯罪、それからまた共犯の民間人も含めるけど。判事は軍人がなるわけで。法務将校も入るけど、一般の将校たちも数人入ってこう、合議制みたいになって、それで軍人に関する裁判を全部やっちゃうと。だから一種の治外法権になるわけ。
田畑氏: 軍事に関する裁判って、何なの?
田岡氏: だから軍人の犯罪。
升味氏: 沖縄でアメリカ兵が沖縄の人を襲ったり何かした時にやるのは、軍事裁判ですよね。だからこれですよね。
田岡氏: あれはねぇ、まだちゃんとやってるんです。何故かっていうと、ああいう下の者の非行ね、こういうのはまだ裁ける訳ですよ、上の将校たちが。ところが問題なのはね、将校が何かした時。
升味氏: ああ、クーデター未遂とか。
田岡氏: そう、戦前の場合、クーデター未遂。一番ひどいのはね、河本大作っていう関東軍の参謀の大佐が、張作霖の列車を爆破させた。天皇陛下も怒って「何とかしろ」というんで、田中義一総理大臣は元陸軍大将だから、軍法会議で厳重に処罰しますと約束する訳です。ところが東条とかその一派が反対して揉み消しに動いて、結局あれ、起訴も何もできずで、単に退役させただけなんです。そういう事するから結局、勝手にみんなが、何をやっても罰されないと。
愛川氏: 平たく言えば、同業者が裁くっていうことですよね。医者を医者が裁けば、医者に甘いに決まってるでしょ。マスコミで働いてる人は、やっぱり自分たちに甘いでしょ。つまりそういう裁判を軍人にだけやらせるっていうのはね、軍事法廷って、昔ありましたからね。
田岡氏: 軍法会議。それが甘くて、例えば犬養を殺したね、現役の海軍将校たちがね、官邸へ押しかけて総理大臣を射殺して、それでも内輪では「助けろ助けろ」の議論でね、海軍の法務官は一応死刑を休憩するわけ。それを「けしからん!」と言って、海軍の法務局長が辞表を出さざるを得ないような状態で。結局あれは懲役、ああ禁固15年になったけど、実際は4年くらいで釈放。だから総理大臣を殺して、4年で釈放とかね。
その後も、ついついクーデターの企てがバレる訳。で、憲兵隊が拘束したりするんだけど、それも恥だからというんで起訴せずに、せいぜい何処かに散らばしてしまう程度で。
で、226が起きたと。この時はさすがに、「あんまり今まで揉み消し過ぎたから、こうなったんじゃないか!」と、急に舵を切ってダーッと死刑にすると。それでもね、上が、将官たちが煽動してるようなのは全然起訴せずに・・・、起訴しても無罪。あと、民間人の方は死刑。
愛川氏: 戦前以上にこれは危ないゾって仰ってる。で、皆さんも、この軍法会議復活というのは不思議でしょうがないと。
田畑氏: いま自衛隊で、薬で捕まってるような人達がいるけど、これを軍の中で裁くことになると、外に出て来ないかもしれないね。
田岡氏: 憲兵隊が捕まえてね、中での裁判にすると。で、マズイからね、こういうのは恥だから誤魔化しちゃうと。一つはね、これ、前の軍法会議と違うのはね、最終審を最高裁にすると書いてある。そうするとね、重罰をくらったから困ると言って被告側が控訴し上告することはいい。しかし問題はね、処罰しないことにあるんで。甘い甘いでね。
アメリカの軍法会議でもそうでね、ほとんどが不起訴なんです。例えば「えひめ丸事件」、日本の船を沈めたあれも不起訴だしね。こんなものをなぜ不起訴にするんだというものも、せいぜい退職とかで誤魔化す。
升味氏: でも、これを作った人が考えてるのは、例えば何処かに国連の何かに従って出て行って、現場で色いろ紛争が起こった時にっていうことじゃないの?
田岡氏: その場合でもね、軍法会議は、昔は意味があったんですよ。つまりね、海外で悪い事した場合に、本国に送還することは不可能に近かった。ところが今はね、悪い事した奴は、刑務隊がおるわけだから、それが手錠をかけて飛行機に乗せてパッと送還して、日本で検事が起訴して普通の判事が有罪判決くらわすことは簡単なんで。だから過去の遺物だと思うんですよ。
そもそも何でそれが始まったかというと、昔は領主が裁判権を持っておって、で、領主が自分の家臣・領民を率いて戦場に行くわけだから、当然領主裁判権が戦場まで移動すると。で、それがその後ずっと最近まで残ってたのは、交通・通信の不便さから残ったわけで、現在だったらとっくに、それがないと処罰できないっていうことないですよ。若干の自衛隊法の手直しで。
横尾氏: 田岡さん、これ自民党の案で当然自民党のブレインが考えてるわけだけど・・・
田岡氏: いや、ブレインとかそれ・・・、何でそうなのか、事務所に電話した訳ですよ、最初の案はもっと酷くてね、「原則非公開」と書いてあったんで。「戦前でも公開じゃないか。なぜ非公開なんだ」と訊いたらね、「いや、ドイツは非公開にしてますから」って言うんで。「バカか!」と。ドイツはね、軍法会議ないんですよ。その程度!
一同: 唖然・・・
愛川氏: 情けないね・・・
田岡氏: ベルギーも止めたんでね。だから、その程度の知識でね・・・。他所の国の軍隊には軍法会議があると。軍隊には軍法会議があるものであると。で、自衛隊が軍隊でないという今までの主張の根拠が、軍法会議がないから軍隊でないという変な理屈だったんで。今度は軍隊を作るから、軍法会議がいると。
一同: 呆れかえる (-_-;)
愛川氏: 僕ね、もう一つ恐いと思うのは、現行憲法ではね、国会議員の3分の2以上の賛成がいるんですよ。これが過半数になっちゃうんで。過半数は、一票のちがいで改憲できるんですよ。ということは、アメリカなんか年中憲法が修正されて変わってる国ですね。それになった場合には、今はこうだけど、次になったら変わってるっていうことがあるんですよ。だから僕は、憲法をいじられるっていうのは物凄く恐いと思うんですね。これも皆さん意外と言わないんですよね。過半数というのは、たかが一票ですよ。3分の2となると、ちょっと時間がかかる。
田岡氏: それからね、国民投票するといってもね、戦時になんかなりかけたら、国民のほうが興奮しちゃってね、だいたい犬養を殺した時でもね、犬養の遺族のほうが肩身の狭い思いをしたんですもん。国民はなんか海軍の将校たちが英雄的な行動をしたというようになる訳でね。
愛川氏: そうだよ。だから田岡さん、世論調査というものは恐いんですよ。
田岡氏: それより、民主主義というものはね、平和を保つ手立てには何もならないよと、実は。今までを見てみても、イギリスの民主主義の最盛期の19世紀末とかね・・・
愛川氏: 解かりました。憲法については、この番組ではこれからもやりたいと思います。

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