前田哲男さんの講演会に出かけました。新聞にもネットにも宣伝がなく、街でもポスターを見なかったので、どれくらい集まるのだろうと心配していましたが、出かけてみたら、会場があまり静かで閑散とした雰囲気なので、最初は悲しくなってしまいました。
大きなホールにぱらぱらと座っているだけですから、数としては、半分くらい埋まったということなのでしょうか。正確にはわかりませんが、隣の人と話すこともできないし(知らない人のそばにわざわざ座るのもヘンですよね)、ほとんどご年配の方々で、いわゆる「若者」という方たちはほんとに数人しか見えませんでした。私と同年代と思われる方々も少なくて、これは本当に真剣に仲間をふやさないと9条は守れないんじゃないかとショックでしたが、前田さんのお話はとても勉強になり、これからまだやれることがたくさんあることを教えてくださって、帰ってくるときには、すっかり元気になりました。
講演のタイトルは「憲法9条と日本の安全保障─『改憲と再編』米軍再編問題を中心に」で、内容は、先日の米軍再編に関する中間報告と自民党改憲草案との関連性、それぞれの問題点、今後の見通し、運動の方向性などです。1時間お聞きして、質疑応答で30分また別の色々なお話が聞けて、とても有意義でした。ちょうど良い時期に専門家の方の分析が伺えてラッキーでした。
レジュメを頂いたので、それを見ながら、内容を書きます。
まず、改憲案についてですが、軍事裁判所の新設やサンデープロジェクトで問題になったことなど、もうすでに知っていたこと以外に恐ろしいと思ったのは、この改憲案が通った場合、『徴用』が簡単にできるという指摘です。
『徴用』というのは、戦場に兵士として駆り出される(徴兵)わけではなく、戦争のために(あるいは国のために)必要な仕事を強制的にさせられることだそうです。コンピューター関連の仕事をしている人や、大型トラックの運転手さんなどは、『徴用』される可能性が高いそうですが、この改憲案では、それが容易にできるのだそうです。今の法律でも『有事』の際には可能ですが、それは、あくまでも『有事』の際に限られています。でも、憲法は平時の法律ですから、いつでも徴用ができることを意味するのだそうです。『徴兵』に関しては、この改憲案が通ったからすぐ可能になるというものではないそうですが、徴用は、改憲成立と同時に、ごく容易に可能になるそうです。とても恐ろしいことです。
米軍再編の中間報告等について、レジュメを写します。(全文は外務省か防衛庁のHPか、日経新聞の10月30日付けに出ているそうです。)
<米軍再編・中間報告>(10月29日)─”全土基地化”、”日米連合軍化”が進行している!
1.神奈川県・横須賀基地が『原子力空母の母港』になる。海自・自衛艦隊司令部と連携強化。
2.神奈川県・キャンプ座間に『陸軍第1軍団司令部』が移駐してくる。陸自・中央即応集団司令部新設。
3.東京都・横田基地に空自・航空総隊司令部が移駐し、日米の共同統合運用調整所が設置される。
4.沖縄県・名護市沖のさんご礁に「海兵隊航空基地」が建設される。
5.鹿児島県・鹿屋、宮崎県・新田原、福岡県・築城の自衛隊飛行場が「米空軍飛行訓練基地」になる。
<米軍・自衛隊の一体化>─”日米連合軍化”で崩される憲法9条
1.米海軍と海上自衛隊の一体化→横須賀基地
「原子力空母は、海上自衛隊と一体となって共通の戦略目標の中核を形成する」(米声明)
2.米空軍と航空自衛隊の一体化→横田基地
「航空自衛隊・航空総体司令部を移駐させ、共同統合運用調整所を設置する」(政府合意)
3.米陸軍と陸上自衛隊の一体化→座間基地
「陸上自衛隊・中央即応集団司令部」を移駐させ、共同対テロ司令部を設置する」(政府合意)
<”米軍再編”によって明らかにされた”憲法破壊の先取り実態”>
1.再編により、日米安保条約は憲法9条に優越する法的効果を発揮することになる。
2.日米の軍事一体化は、自衛隊の違憲性(専守防衛・海外派兵禁止)を完全に無効化する。
3.その結果、自衛隊は米政権の単独行動・先制攻撃戦略に忠実なアメリカの従属国となる。
私は今まで、政府をはじめとして、改憲を望む国内の勢力に反対して、あるいはそういう声と闘って、憲法をまもらなくてはという点だけを考えていましたが、今日わかったことは、改憲は米政府との約束をどうしても守らなくてはならないという政府の強迫観念として、上から「降ってくる」ということです。
今「中間報告」である再編が、3月には決まるのだそうで、政府は3月までにどうしても関係自治体にむりやり言うことを聞かせなくてはなりません。それで、3月に本決まりになった場合には、この再編自体が、9条があっては絶対に不可能な内容なので、必然的に改憲が必要になるのだそうです。ですから、最悪の場合、首相の任期が切れる来年の9月までに何らかの動きがある可能性も否定できないのだそうです。
たとえば、横田基地にできる日米の「共同統合運用調整所」というものも、9条がなければ、「共同司令部」と呼ぶべきものなのだそうです。実質は、こう呼ばれる内容のものを作るのですが、今は9条があるためにこう呼ぶことができず、わけのわからない長い名前をつけているので、本音を言えば、早く9条をなくしてすっきりさせたいということなのだそうです。
改憲は「アメリカ合衆国・日本州」、「アメリカ軍・自衛隊」になることだとレジュメの最後にあります。
ですから、改憲を阻止するには、何よりも、3月までに再編案を受け入れないことが大切だということです。
今反対している各自治体が、政府のどんな甘い言葉にもだまされず、反対の意志を半年間貫いて持続することがどうしても必要なのだそうです。最後まで、地元が反対を続ければ、いくら政府が合意しても、再編案は宙に浮く形になります。9条をまもるには、どうしてもこれが不可欠ですが、政府はあの手この手で『心変わり』を迫るはずなので、この半年間の持続が相当に難しいだろうということも事実です。ですから、地元の方たちにがんばっていただきたいというのはもちろんですが、私のように基地のない地域に住む者が、この反対運動について広く知らせて、運動に連帯して全国的にバックアップすることが必要です。もしも3月までに、どの自治体もくじけずに反対の意志をつらぬくことができれば、改憲阻止にも光がさして来るとおっしゃっていました。
私はこういう角度から護憲について考えたことがなかったので、今日学んだことは、とても有意義でした。これから自分がしなければならないことがわかりました。もっと9条の会の宣伝(ネットで)をしたいとか、仲間がほしいとか、色々思ってもいますが、とにかく必要なことを少しずつやっていきたいと思います。
最後に前田さんは、ドイツのヴァイツゼッカー元大統領の言葉を教えてくださいました。(発表された機会をメモしなかったので忘れてしまいましたが、今年の言葉だそうです。)
「ドイツは、歴史上初めて、隣国がすべて友人であるという状態を迎えた。では、何のために軍隊が必要なのだろうか?軍隊は、ますます時代遅れになりつつある。」
それから、1999年のハーグ平和市民会議で採択された「公正な世界秩序のための10の基本原則」の第1条を教えてくださいました。
http://homepage3.nifty.com/wfmj/hap/
各国議会は、日本国憲法第9条のような、政府が戦争をすることを禁止する決議を採択すべきである。
「『こんなに世界に認められている9条を、それでも変えるのか、政府よ!』と私たちは声を上げましょう!」
とお話を終わられました。とっても元気が出ました。
帰りに前田さんの本と、『憲法を変えて戦争へ行こうという世の中にしないための18人の発言』を買ってきました。たくさんの方が買ってました。ロビーは始まったときよりにぎやかで、それも嬉しかったです。来年はこの会場がいっぱいになるように、自分にできることを少しずつ続けていきます!