
2008年から2009年へ、年をまたぐ形での香港旅行を終えて――
懐かしい我が家のある北海道に、宙マンファミリーが帰ってきた。

ちょうど今、新千歳空港の滑走路に、彼らの乗った旅客機が着陸。
降り立った宙マンファミリーは、今年も相変わらずの賑やかさである。
ビーコン「いや〜、やっぱ北海道は冷えるっスね〜!」
ピグモン「しばれるね〜、なの〜♪」
落合さん「あらあらピグモンちゃん、さっそく北海道弁ですわね?」
宙マン「はっはっはっはっ」
ピグモン「ね〜ね〜宙マン、早くおうちに帰るの〜」
宙マン「うん、もちろん。……でもその前に、ご近所さんやお知り合いさんたちに
年始のご挨拶とお土産を配り終えてしまわないとね」
と言うわけで、さっそくご町内を回っての年始挨拶に出かけた宙マンファミリー。
ペド・優美のメイド喫茶や熊澤さん宅など、親しい知人たちのもとを巡って
何番目かにやってきたのは……。
落合さん「ごめん下さいませ、6丁目の宙マン宅・一同でございます」
ピグモン「みくるんちゃん、ながもんちゃん、こんにちはなの〜」
いつもならここで、お馴染みのコロポックル姉妹が顔を出すところだが……
今日に限っては、待てど暮らせど一向に返事がない。

ビーコン「……おりょりょ、何か空振りみたいっスねぇ?」
落合さん「ええ、お留守のようですわ」
宙マン「そういう事なら仕方ないね、また日を改めて……」
ファミリーが次の訪問先に向かおうとした、ちょうどその時!
「宙マンさん、宙マンさ〜んっ!」
宙マン「やぁ、これはこれは、四丁目の宇佐美さん!」
落合さん「ちょうど今、お宅へのご挨拶に伺おうとしていたところでしたのよ」
ビーコン「でも……新年あけまして、って感じじゃなさそうっスね〜」
宙マン「何か、お困りごとでもありましたか」
宇佐美さん「ああっ、宙マンさん、よくぞ聞いて下さいました!
実は……昨日から、うちの娘の姿が見えないんです!」
ピグモン「えっ、うさ子ちゃんがなの!?」

宙マンの住むご町内にて電気店を営み、確かな修理の腕前と気さくな人柄から
町内会での信頼も厚い、四丁目の宇佐美さん……
その彼には一人娘がいて、ピグモンにとってもよき遊び友達だったりしたのだが。
落合さん「何か、お心当たりはございませんの?」
ビーコン「警察にはちゃんと届け出たっスか?」
宇佐美さん「もちろんですよ、でも、何が何やらお手上げの状態で……。
そこで、不思議な事件の解決や怪獣退治で評判の宙マンさんに
ひとつお知恵拝借、ってわけなんです」
宙マン「なるほど……いや、宇佐美さん、よく知らせて下さいました。
私に何が出来るかは判りませんが、ひとつ動いてみましょう!」
宇佐美さん「ああ、助かりますっ!」
というわけで帰国早々、町内の事件に首を突っ込むこととなった宙マン。
各方面から話を聞いてみると……宇佐美さんの一人娘ばかりではなく、
千歳市内において同年代の少女たちばかりが次々と行方をくらませる事件が起こって
道警千歳署の頭を悩ませているのだ、という。

ビーコン「……とにかく行方不明になってるのは、それこそご近所でも評判の
カワイコちゃんばかり、ってことっスよ。
こりゃもしかしたら、みくるんちゃんとながもんちゃんの二人も
同じ事件に巻き込まれてたセンが濃厚って感じっス〜」
落合さん「なぁるほど、ビーコンさんにしては悪くない推理ですわねえ」
宙マン「とにかく、行方不明になってる子たちの安否も心配だし……
これ以上、同じような被害がでないように手を打つ必要もあるよ。
今夜にでも早速、緊急の町内役員会を開いた方がよさそうだね」
にわかに、緊張の高まってきた「宙マンハウス」。
さて、その夜……。

既にベッドの中で寝息を立てていたピグモンの目が――
不意に、カッと見開かれた。
一方こちら、明日の料理のための「仕込み」を済ませて、そろそろ自分も
床に就こうか、という落合さん。
落合さん「♪赤いマフラー 緑の仮面 光り輝く 変身ベルト
世界の平和 守るため 許しはしないぞ ヘルショッカ〜〜♪♪
……っと、あらあらピグモンちゃん、おトイレですの?」

……が、その呼びかけをあっさりと無視してその場を通り過ぎ、あろうことか
ふらふら屋敷の外へと出て行ってしまうピグモン。
落合さん「……ちょっ、ピグモンちゃん! どうしたんですの!? ピグモンちゃんってば!」
ピグモン「あ〜う〜……あ〜、う〜……」

さながら夢遊病者のごとく、あるいは何かに引き寄せられるかのように……
ふらふらとした足取りで、どこかを目指して冬の夜道を歩いていくピグモン。
そして、その後をこっそりつけていくのはビーコンと落合さんだ。
ビーコン「う〜、なんでまたオイラなんかにお呼びがかかるんスかぁ?
言っとくっスけどオイラ、肝心なトコじゃ役に立たないっスよ〜」
落合さん「仕方ないでしょ、お殿様が町内役員会でいらっしゃらないんですもの!
……大丈夫、アナタだってとっさの盾代わりくらいにはなりますっ!」
ビーコン「ひ〜ん、またそういう扱いっスかぁ〜?……
……っとと、ピグモンのやつ、あの屋敷に入ってくみたいっスよ!」

吸い寄せられるようにピグモンが入っていたのは、千歳市内の街外れにひっそりと建つ
一軒のなんとも不気味な洋館の中。
追って、落合さんたちも中に入ってみると……そこには!
落合さん「あらあらまぁまぁ……これはっ!?」

暗闇の中、ロウソクの灯りに照らし出されて……
ピグモンはじめ、行方不明になった女の子たちの姿が浮かび上がっている。
落合さん「……まぁ、宇佐美様のところのお嬢様!」
ビーコン「みくるんちゃんとながもんちゃんもいるっスよ!」
落合さん「皆さん、こんなところで一体何をなさってるんです!
……親御さんたちが心配してますわ、さ、今すぐ帰りましょう!」

促す声にもまったく反応せず、その場に立ち尽くす女の子たち。
落合さん「皆さん、どうなさったんですの!?……皆さんってば!」
ビーコン「無駄っス落合さん、みんな催眠状態にされてるっスよ!」
落合さん「催眠……って!(汗)」
「キキキキキキ……誰だ、我が食事の時間を妨げる無粋者は!」

その声に振り返った、落合さんたちの前に現れたのは――
コウモリのように天井から逆さにぶら下がった、何とも不気味な宇宙魔人。
「キキキキ……我は怪獣軍団の一員、カーミラ星の吸血ドラキュラス!」
ビーコン「ど、どひ〜っ!」
落合さん「出ましたわね、真犯人……あなたの仕業だったんですのね!?」
ドラキュラス「キキキキ、その通り!
この娘たちの生き血は、我にとっての大切な食糧というわけさ」
ドラキュラス「何しろこの正月休みと来たら、実家のカーミラ星で毎日毎日
おせち料理ばかり食わされて、いい加減うんざりしてたからな――
ここらで大好物の生き血を吸って、心身ともにリフレッシュ! というわけさ」
ビーコン「なるほど、それで女の子たちばかりを催眠音波で集めて……!」
落合さん「でも――ひとつ、解せませんわねぇ。
可愛い女の子の生き血が狙いということでしたら、そもそもどうして
この落合が全くのノーマークなんでしょう?」
ドラキュラス「えぇい、アホかっ!!」
ドラキュラス「いいか! 我の食事は、ただ単に空腹を満たすだけの機械的なものではないっ。
いうなれば美学だ、処女雪を踏みしめる快感だ――
だからこそ、年端もいかない娘だけを厳選しておるのではないかっ。
お前みたいな大年増などお呼びじゃないわ、牙が汚れるッ!」
……ぶ ち っ !
落合さん「うがーっ、この腐れコウモリ! 殺スッ!!」
ビーコン「どうどう、落合さん、気持ちは分かる! 気持ちは分かるっス!(汗)」
ドラキュラス「キキキキ、死ぬのはお前たちの方だ。食事の邪魔は高くつくと知れ!」
落合さんたちめがけて襲いかかろうとするドラキュラス。
と、その時!
「待てっ、そうはさせないぞ!」

颯爽と駆けつけてきたのは、もちろんこの男。
洋館の扉を勢いよく蹴破って、悪事の現場に宙マン到着だ!
落合さん「お殿様!」
ビーコン「アニキぃ〜、いいところへ来てくれたっス!」
宙マン「メール連絡を受けて、早めに役員会を切り上げてきたんだよ。……
吸血宇宙星人ドラキュラス、お前の悪事もここまでだ!」

出た、宙マンのサンブライト・スパーク!
真昼のようなその輝きに、思わず目がくらむドラキュラス。
ドラキュラス「キ、キキキキぃ……っ!」
バランスを崩して天井から転落し、のたうち回るドラキュラス。
その拍子に燭台が倒れ、ロウソクの火が周囲に燃え移って……
みるみるうちに、屋敷が炎に包まれていく。
宙マン「ようし、みんなを連れて脱出だ!」
落合さん「心得ましたわ!」
ビーコン「どひ〜っ、それそれ、急げや急げっス〜」

大爆発!!
吸血ドラキュラスの野望も、あえなく潰え去った……かと、思いきや!?
ドラキュラス「キキキキ……許さん、許さんぞぉ、宙マン〜!」

燃え落ち、崩壊していく洋館の中から……
怒り狂い、巨大化したドラキュラスがその姿を現した!
落合さん「どうしましょう、お殿様!?」
宙マン「なんの、ならばこちらも! 宙マン・ファイト・ゴー!!」

怒りに燃えて、颯爽と巨大化する我らのヒーロー。
さぁ行け宙マン、吸血ドラキュラスをやっつけろ!
ドラキュラス「キキキキ……この無礼者、我がきっちり躾けてやる!」
宙マン「行くぞ、ドラキュラス!」
夜の千歳市を舞台に、正義と悪が激突!

真っ向から組み打ち、パンチを炸裂させる宙マン。
格闘戦では不利と見たドラキュラス、バッと飛び退って距離をとり――
ドラキュラス「くらえ、ドラキュラス鬼火撃ち!」

口から火の球を連射して攻撃するドラキュラス。
宙マンがよろめいた隙を逃さず、更に!
ドラキュラス「見よ、これがコウモリ地獄飛行だ〜!」

小回りのきく飛行能力にものをいわせて宙マンを翻弄し、鋭い足の爪を一閃させて
宙マンのボディを鋭く切り裂くドラキュラス!
ダメージを受け、ドーッと倒れる宙マン。
ドラキュラス「キキキキ、宙マンよ……新年早々、命を落とすとは気の毒にな!」
宙マン「なんの、まだまだ――宙マン・ヘッドビーム!」

額からの光線が、ドラキュラスを狙い撃ち!
たまらずたじろぐドラキュラスへ、更に宙マンのキックが炸裂する。
宙マン「とどめだ! 宙マン・エクシードフラッシュ!!」
ドラキュラス「き、キキキキキィィ……っ!!」
やったぞ宙マン、大勝利!
宙マンの活躍により、吸血星人ドラキュラスの陰謀は打ち砕かれた。
でもって、暗黒星雲に逃げ帰ったそのドラキュラスは……。
ドラキュラス「キキキィッ……申し訳ございません魔王様、またしても失敗でございます!
どうか、どうかお許しをぉぉ〜」
イフ「えぇい、バカモン!!……と、本当なら言いたいところだが……
めでたい新年早々だ、野暮なことは言うまい。
旨い物を腹いっぱい食べて、存分に明日の鋭気を養うがよいぞ!」
サンドロス「おせち料理、いっぱいあるから遠慮せず食べるドロス〜♪」
ドラキュラス「うげげっ! お、おせち……で、ございますか……?(汗)」
サンドロス「あらまぁ、ドラキュラスちゃんはおせち嫌いドロスの?
せっかくアタクシが、心をこめて作ったのに……
おろろろ、ひどいドロス〜(涙)」
イフ「ええい、ドラキュラス、貴様っ!
我が妻の手料理、まさか食べられないとは申すまいな……!?」
ドラキュラス「い、いえいえ、滅相もございません、光栄に思っておりますともっ!
いや〜、美味しそうなおせちだ、嬉しいなぁ〜!(泣)……」
かくして、その翌朝。
宙マンの活躍によって難を逃れた女の子たちが、揃って恩人のもとを訪れていた。
ながもん「(ボソッと)宙マン、ゆうべは……ありがとう」
みくるん「遅くなりましたけど、あけましておめでとうございます!
今年もどうぞ、よろしくお願いしますね。
……あ、それはそうと香港旅行のおみやげ話、聞かせて下さいよ〜」
宙マン「はっはっはっはっ……ああ、勿論!
おみやげ話も、みんなへのお土産も、い〜っぱいあるからね〜」
宙マンの言葉に、わっと沸く女の子たち。
ピグモン「はうはう〜、だから宙マン大好きなの〜♪」

ビーコン「けーっ! なんなんスかねぇ、羨ましいやら妬ましいやら……。
どうしてどうして、アニキばかりがああもモテるんスかねぇ!?」
落合さん「くすくすっ、小さな子でも見るべき所はちゃんと見てる、って事ですわ――
ひとえに日頃の行いの差、というものですわね♪」
ビーコン「ケーッ、得意げに何言っちゃってるスかぁ、このオネーチャンはっ!
そういう落合さんこそ、ドラキュラスに見向きもされない大年増……」
げ し っ !
落合さん「またその言葉を口にしたら……とどめ刺しますわよ!?(怒)」
ビーコン「ハンニャラ、ヒ〜っ……」
次から次へ現れる、怪獣相手に大活躍。
我らの宙マンは、今年も千歳の人気者!

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