2012/2/7  1:22

共和党大統領指名選挙 −第5戦ネバダ州−  


ヒスパニックが州人口の20%を占め、違法移民が全米で最も高いネバダ州での共和党大統領候補指名選挙(コーカス:党大会)は、ミット・ロムニーがフロリダに続き圧倒的な票を獲得し、8月の共和党全国大会への代表者獲得で他の3人の候補を大きく引き離した。

50% ミット・ロムニ−
21% ヌート・ギングリッチ
19% ロン・ポール
10% リック・サントーラム 

翌日の2月6日(日)、イリノイ州で行われたスーパー・ボールではジャイアンツが劇的な勝利をしたが、ミート・ザ・プレスのディビッド・グレゴリーは、「2008年の大統領選挙ではニューヨーク・ジャイアンツが勝ち民主党のオバマ大統領が勝利をした。2004年は、ニュー・イングランド・ペイトリオッツ(マサチューセッツ州)が勝利をし、共和党のブッシュ大統領が大統領選に勝利をした」とイリノイ州、マサチューセッツ州、ニューヨーク州の知事たちに話しかけていた。試合はジャイアンツが勝ったので、ディビッドの説が正しければ、今年は民主党のオバマ大統領の再選、ということになる。

2月5日(土)に行われた選挙に対して、4年前を少し下回る共和党支持者が投票を行った。敗戦を強いられたギングリッチ候補は選挙速報が出た直後、「私は大統領候補であり、これからも候補であり続ける」と(力強く)選挙戦をさらに戦い抜く決意を表明した。投票の2日前に、ドナルド・トランプ氏が急きょ「私は、ギングリッチを大統領候補として推薦する」、と彗星のごとくに現れて全米メディアを賑わしたが、残念ながら全米で有数の資産を誇るトランプ氏のにわか作戦も功を奏さなかったようだ。

このトランプ氏のギングリッチ支持については既に多くのメディアで批判をされている。トランプ氏は数年来ギングリッチ氏を批判し続けており、その姿が報道をされる始末。結局はにわかギングリッチ支持の表明は、失笑を買う形となったかのようである。トランプ氏としては、判官贔屓としてギングリッチ氏を支持することにより共和党の大統領選が引き続きアメリカ市民の政治的意識をお得意のショー仕立てにして活性化することをねらったものでありましょう。

さらにギングリッチの敗戦の記者会見はメディアの注目することとなった。「ロムニー候補は貧困層に対するセーフティ・ネットをスパイダー・ネットとしてしまっている。いったんそこに引っかかれば出ることは困難なネットだ。しかし私はトランポリンのネットとしてそこから上がってゆくためのものにしたい」と、ロムニーを牽制した。

この「トランポリン・ネット」に対して、リベラル派の報道番組キャスターとして著名なレイチェル・マドウは「トラペディスト(空中ブランコの演者)となるわけですね」と痛烈に批判をしている。

フロリダでの党員集会の直前、ロムニーは「私は最貧困層のことをそれほど考慮はしていない。理由はセーフティ・ネットがあるからだ」とネットワークテレビのインタビューで答えたことが、再三再四テレビニュースで報道をされ続けていることが、ギングリッチの敗戦の弁でのロムニー攻撃となったものと思われる。

本日7日(火)[アメリカ時間]、ネバダ州のお隣のコロラド州とミネソタ州の党員集会、ミズーリ州での党大会。その後は3週間の休みとなるが、その間、メリーランド州の党大会では2月4日から11日の1週間をかけての投票が行われている。

2月28日(火)、アリゾナとミシガンでの投票が行われ、3月6日の「スーパー・チューズデー」で事実上、共和党大統領候補が決定される(それ以前に3候補の撤退は十分にありうることだが・・・)

参考番組: Meet the Press (NBC), Today Show (CBS), Rachel Maddow (MSNBC), Nightline (ABC), Nightly News (NBC)



2012/2/5  5:17

倫理道徳のすすめ −根源的な問いかけから−  


倫理道徳というと、私も含めてほぼすべての方々におかれましてはウンザリというお気持ちになられるのではないでしょうか。しかし、現在、日本で最も求められているものが人倫と道徳ではないでしょうか。詳細は御専門の先生方にお任せすることと致しまして、ここでは一般の私どもでも十分に深く考えることができます根本の原理とその応用についてお話をさせて頂きたい。

至高の倫理・道徳は「汝、殺すなかれ」である。どのような社会、どのような時代にも共通したものでありましょう。この原理のもとで社会を円滑に機能させるために必要なもう一つの原理は「お互いが信じ合う」ということでありましょう。信じることを可能にするために、愛・真理・善などの価値観をいつの世にも人々は神話・絵画・物語・音楽のような「様式」として共有する喜びを学ぶわけであります。

この第一原理と第二原理の間に、すべての倫理・道徳の言説が行われながら社会秩序を示すことになるのではないでしょうか。ただし、ただし、第三原理として「疑うこと」は個人の倫理的自己防衛としてどうしても入れなくてはならないと思われます。「疑うこと」を知らないかのような「無垢な心」はそれだけで芸術のオブジェであることは間違いございませんが、個人主義の倫理・道徳におきましては「疑うこと」は人の行為としてお互いがある程度認め合いながら個人の福利・厚生を高める自由がどうしても必要なことなのであります。

根本原理へ自由を取り込むことは社会秩序のもとでの人間関係の活性化となるわけでありますが、ここに大きな問題に突き当たります。つまり、「疑うこと」を教育することは大変に難しいということであります。初等教育では実際、「違いを見つける」という教育が行われているようでありますが、それ以降の教育におきましては「違いを見つける」だけではもはや複雑な人間関係と社会組織のなかで自己の行動を決定するまでの十分な情報を手に入れることはむつかしいことでありましょう。

相手の心理・行動に対して「疑う」ということは、一見、社会秩序を破壊する行為であるかのように思われがちでありますが、自らを守るためには是が非でも教育されなければなりません。儒教的な教へに反するではないか、と御叱りを受けるかもしれませんが、儒教を教育の中にどれだけ取り入れているのかを逆に問いかけたい。孔子の示した社会秩序の回復と維持においても、自らの師と仰ぐ人を選ぶ自由を拘束してはいない。そこに自らの師を選択する際には「疑うこと」は子弟たるものに自由が与えられていると読み取りたいがいかがでありましょうか。

現代日本の倫理・道徳の復権はとりもなおさず「疑うこと」をどのように教育することができるにかにかかっているものと信じます。オレオレ詐欺に代表されます御高齢の方々から騙し取る悪辣卑劣な悪党どもに対しましても、日本の社会はあまりに無防備であるのではないでしょうか。「疑うこと」を教育されてこなかった御高齢の方々にとりまして、現代はまさに「信ずること」の空しさを心の奥に秘めつつ、「違法行為の跋扈」におののきながら「孤立化」に対する我慢のなかにのみ生きることを強いられているのでありましょうか・・・。

うまく疑いながら自己を守ろうとすることは、個人の行動決定のみならず、国際社会のなかにおきましても必要なことでありましょう。「国際化」という名のもとに「疑うこと」をあたかも忌避するかのような社会的な一元化こそが国を疲弊化させてゆくのではないでしょうか。

一元的な集権化のなかに「疑うこと」を取り込めない民族は、遠からず他民族のダイナミックな動きに幻惑されながら、価値観の揺らぎにまで影響を受けつつ、知らず知らずのうちに精神的閉塞感に内向きとなり、翻弄をされ、孤立化という滅びの門をたたきながらも責任の所在を明確にできないまま、静かに民族の後裔を絶ってしまうかのような道を選択してしまうのでありましょうか。

「うまく疑うこと」を子供たちから御高齢の方々まで教育を行いますような、ドラマ・NHKの番組・公民館などでの指導・教育現場での生徒や学生との討論・話し合いの場が早急に行われますことを強く、強く求めるものであります。

(注釈: 以上は筆者個人の考えですが、アメリカの大学におきまして知らされました「市民の不服従」というイェール大学心理学のスタンリー・ミルグラム教授によります理論に影響を受けておりますことを御了解ください。御参考のためにアメリカの子供たちのウェブ辞書に掲載をされている「市民的不服従(Civil Disobedience)」をリンク致します。)

2012/2/2  3:04

共和党指名候補選 −第4戦フロリダ州−  


自身が経営するベイン・キャピタルの投資会社がM&Aによる企業買収において効率の悪い工場を次から次へと閉鎖をしていったことから多くの失業者を生み出したという轟々たる批判をかわしながら、ミット・ロムニー氏はフロリダ州の党大会(プライマリー)で大勝利を収めた。

ロムニー47%、ギングリッチ32%、サントラム14%、ポール7%。これがフロリダ州における共和党大統領候補指名候補選の結果である。ロムニー46%とする報道もある。

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昨年8月のアイオワ・ストローポールにて早くも選挙戦撤退を打ち出した元ミネソタ州知事のティム・ポーレンティ氏の応援を受けながら、フロリダ州の自動車工場内で支持者に決意スピーチをするミット・ロムニー氏。

さて、ミット・ロムニーに対する保守派の人々の批判にもかかわらず、フロリダ州共和党大統領指名候補選においてロムニー氏は大勝利を収めた。

モーニング・ジョーのホストであるジョー・スカーバロゥ氏は、フロリダ州から下院議員として選出された経歴を持っているが、ロムニー氏について、「彼の問題はコミ―を知っていることだ」とリベラル派を代表すると一部でささやかれている説を強調している。

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ジョー・スカーボロゥ氏:『モーニング・ジョー』の司会者
平日早朝6時から9時まで、全米ネットワーク・テレビのMSNBCの人気番組

出口調査を見る限り、ロムニー氏の勝利は非常に手堅いものであるがわかる。NBCの朝の番組「モーニング・ショー(ジョーではない!)」では、先のサウス・カロライナ州でのギングリッチ氏の勝利に対して、女性票が大きくロムニー氏に傾いたことが示された、としていた。

( )はギングリッチ氏の得票割合、赤字はギングリッチが多数、青字は拮抗。数値の読み方は、たとえば、調査で男性と応えた投票者のうち41%がロムニー氏へ、36%がギングリッチ氏へ投票をしたことを示す。

男性 41%(36%)
女性 52%(28%)

白人     45%(32%)
ヒスパニック 54%(29%)
キューバ系  57%(31%)

18−29歳 41%(21%)
30−44歳 42%(26%)
45−64歳 44%(33%)
65歳以上  51%(34%)

福音主義者  38%(37%
福音主義以外 54%(27%)
  
ティーパーティ支持者 41%(37%
ティーパーティ中間派 57%(22%)
ティーパーティ反対派 57%(15%)

最大の政策課題がアボーション 25%(43%
最大の政策課題が政府財政問題 41%(34%)   
最大の政策課題が経済     52%(30%)

住居地域で差押が最大課題   43%(31%)
住居地位で差押は最大課題でない54%(31%)

候補者を真の保守主義と思う  11%(44%

候補者は正当な経歴を持つ   40%(45%

候補者選定がこの数日     42%(32%)
候補者選定がこの一か月以内  46%(36%)
候補者選定が一か月以上前   55%(26%)

アボーションを合法と思う   57%(25%)
アボーションを多くは合法   52%(28%)
アボーションを多くは非合法  44%(34%)
アボーションは非合法     33%(44%

候補者の意見に満足      51%(31%)
他の候補者の意見を求める   38%(37%

最近の討論会が最も重要    38%(40%
最近の討論会は幾つかの要因の一44%(32%)
最近の討論会は重要要因ではない45%(29%)

プロテスタント  42%(36%
カソリック    56%(30%)

ニューヨーク・タイムズ2月1日号より筆者訳。

以上をまとめると、ロムニーに対する票はかなり以前からおおよそ決まっていたと指摘することができる。フロリダ州におけるロムニー氏への共和党の支持者の投票は、テレビ討論やネガティブ広告にもかかわらず、ほぼ確実であったことが示されている。

ネガティブ広告については、表現の自由を最大限に重んじるアメリカにおいては、他候補のネガティブな側面を指摘するテレビ広告を行っても良いことになっている。今回、ギングリッチとロムニーの間で壮絶なネガティブ・アッド合戦が行われたが、その証と言うべきでありましょうか、ロムニー氏が勝利した際、慣例により相手側から電話で勝利を祝う電話が入ることが通例だが、ロムニー氏はNBCのモーニング・ショーにおいて、「これまではお互い電話をして勝利を讃えたが、今回ギングリッチ氏からは電話はなかった。電話番号がわからなかったのだろう」と余裕の説明を行っていた。

ギングリッチ氏への支持は、特定の問題意識を持つ人々がロムニー氏を上回っている程度であった。その中でもアボーションはその最も中心的な課題であり、非合法と考える人々はロムニー氏を上回ってギングリッチ氏を支持していることが示されている。

出口調査に対する信頼度については、世界で初めて行ったミトフスキー氏に師事をし、日本で初めて行った元NHK選挙放送主任の仁平氏とメールにて資料提供を受けた者と致しまして、現在では非常に精度が上がっていることだけを指摘しておきたい。

サントラム氏は保守として指名候補選挙をどのように行ってゆくか考えたい、と撤退と言う言葉は出さず、自らの保守の星としての位置を強調している。

ロン・ポール氏は得票数では最低だが、ロムニー氏がモルモン教であり、自らは中道派を任じているにもかかわらず、多くの人々がリベラル的であることが指摘されていることだ。

アメリカでは、初代ジョージ・ワシントンの大統領選以来、国家が党派によりわかれることを極端に避けてきた歴史がある。ロムニー氏がこの歴史的なアメリカの政党政治において、ケネディー家と言う民主党の牙城であったマサチューセッツ州において共和党知事として当選をしたことは記憶に新しい。

アメリカでは多くのクリスチャンがモルモン教をキリスト教徒は認めていない。一夫多妻制を認めているため連邦政府から迫害を受け、ロムニー氏の父は家族を連れてメキシコのモルモン居住区に移住をした経歴を持つ。ただし、ロムニー氏の父はミシガン州の知事、都市計画局長官、1968年大統領選挙候補であった。

2月・・・4日ネバダ、7日コロラド、28日アリゾナ、ミシガンと続いた後、3月6日のスーパー・チューズデーで、アラスカからヴァージニアまで11州の党員集会党大会に至る。

2012/1/29  3:00

日本の近代化の行き着く先は、いったいどこなのだろうか?  


幾度か「近代化とは何か」という論題のもとで記してまいりましたが、アジア諸国からの留学生や海外からの研究者と対話を重ねるにつれまして、さらに多くのことを気づかずにはおれません。

日本の近代化とは、欧米の社会制度と技術を学びながら、欧米諸国の植民地となることなく欧米諸国と対等の立場を獲得し、維持をする事、ということに尽きる。しかし、そのことが日本民族にとってどのような意味があるのかと言う点については、日本人にとって、人類とは何かを考えることと等しいかのように茫漠たる歴史と思潮の世界のなかで方向性を見失ってしまうかのようだ。

「日本の価値観」を抱くことができるような「欧米化」が求められるわけであるが、「日本の価値観」とは何かを論じる際に、日本の社会のベターメントを求める方向性が欠けているとすれば、長い目で見れば日本の価値観は相対的に弱体化してゆくことを止めることはできないのではないだろうか。

これに対して「欧米化」はかなり簡単に論じることができる。欧米の諸制度を理解し、それを日本で漸次行ってゆけば良いわけだ。いわゆる「猿まね」でも大方良いのである。

第二次世界大戦の敗戦国としての「日本の価値観」はともすると「欧米化」とりわけ「米国化」にその重心が置かれてきたが、その際「日本の価値観」を捨象することがいとも簡単に行われすぎたのではないだろうか。

「日本の価値観」を明治近代国家にのみ求める時代は終焉を迎えつつあるのではないだろうか。「日本の価値観」は連綿と続く「日本民族」のあり方を基盤として、より良い社会・より良い人間関係を求めることにその重心を置くべきであろう。

アジアの多くの国々が日本をある程度参考にしながら近代化を推し進めている現在、「日本の価値観」はベターメントをすべての人々によって求める規範と紐帯のなかで見え隠れしなければならない。

日本の近代化の本当の夜明けが訪れ、それが世界の非ヨーロッパ圏の約130か国の人々と共有されるものであると信じたい。そして、そのことが成就をするとき、おそらく日本はおのずから「世界政府」を提唱することにより非ヨーロッパ圏のすべての諸国を代表する民族として真の崇高な地位を国際社会のなかで築き、示し、分かち合うこととなるのではないでしょうか。

日本の近代化の行き着く先は、世界政府の樹立であることはほぼ間違いのないことと主張をしたい。

(注釈: 以上は筆者個人の考えですが、日本の世界連邦運動の理事長にインタビューに行ったことがございます。明治の元勲木戸孝允のお孫さんの方でございましたが、現在国会議員によります「世界連邦へ向けて」という決議が2006年に国会で行われたことを教えられましたことを付記させて頂きます。日本の議員の方々も日本の将来の方向性についてはおおよそ同じようなお考えの線上にあると思われますが、いかがでございましょうか)

2012/1/24  1:14

ニッカーボッカー −宗教的寛容性と民族の生き残りについて−  


ニッカーボッカーという語を御存じだろうか。現代の日本ではひざ下までのズボンとして作業服として知られているが、実はニューヨークがまだオランダの植民地だった1600年代半ばに、マンハッタンで流行ったズボンだ。英和辞書では、ニューヨークに移民をしたオランダ人の子孫という解説がなされているが、歴史的事実はこのことに付け加えなければならないことがある。ここではニッカーボッカーの本当に意味について、歴史家ヒュー・ブローガンの説を御紹介したい。

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17世紀後半、マンハッタンで見られたニッカボッカー

ニッカーボッカーを説明するためには、マンハッタンの歴史を知らなければなりません。少し長くなりますが、簡単にまとめておきます。

ニッカーボッカーというのはオランダ人のサー・ネームであり、マンハッタンでもかなり多くのニッカーボッカーさんがおられたことが推測されている。ネィティブ・アメリカンのレナぺ族たちの居住地であったマンハッタン島。ヨーロッパ人が初めてその存在を記したのは1609年、オランダ人に雇われたイギリス人のヘンリー・ハドソンがハドソン川を上って行った時であった。

マンハッタン島にヨーロッパ人が永住をするようになったのは、1624年、オランダ人皮商人たちによってであり、1625年より港の建設が始まった。この1625年がマンハッタンの始まりの年である。オランダ人たちはマンハッタンを「新しいアムステルダム(ニュー・アムステルダム)」と名付け、現在でもこの名の大通りがマンハッタンの東を走っており、私も数か月の間滞在をしたことがある(ニュー・アムステルダム通りは南に至るほどかなり荒廃をしたところもあるが、幸いにも北の聖ヨハネ大寺院あたりだった)。

オランダ西インド会社による入植は順調に進み、1647年、ピーター・スタイベサンドが総督として就任をし、彼のもとでニュー・アムステルダムは「市」に成長をした。しかし、1664年、マンハッタンに居住をし始めていたイギリス人がオランダ人に戦争をしかけ、奪ってしまった。後のジェームズ2世となるヨーク公の名にちなんで、「ニューヨーク」と名付けられた。かくして、38年間続いたオランダ人のマンハッタンは、イギリス人のマンハッタンとなり現在まで至っているわけである。

オランダ人が先に居住をしたマンハッタンにおいて、なぜイギリスンが多く居住をしたのでありましょうか?それは、オランダ人の宗教的な寛容性に尽きるのであります。オランダ人の宗教的寛容性は、我が国との関係に置きましても徳川幕府とキリスト教の布教を一切しないことを約束して通商が許されていたわけであります。マンハッタンにおきましても、オランダ人の宗教的寛容性を知悉しておりましたヨーロッパの人々は次々にマンハッタンに移住をしたのでありました。

イギリス人をはじめイベリア半島のユダヤ人も移住をしたのでありました。

たいへんに長い前置きとなってしまいました。さて、ニッカーボッカー。オランダ人は、移住をしてきたイギリス人と宗教的寛容性どころか結婚を進んで行ったのであります。ニッカーボッカーとはオランダ人のサー・ネームでありますが、マンハッタンにおいては新しく移住をしてきたイギリス人と混血をしたオランダ人、のちにはイギリス人との婚姻が進んだオランダ系の人々の呼称として使われるようになったわけであります。

ヨーロッパの小国オランダに日本は何を学ぶべきなのでございましょうか。蘭学事始めならぬニッカーボッカー事始め、ということが必要な時代になっているのでありましょうか。いえ、日本人が他民族の方々と混血をしてゆきますことが、日本民族の生き残りであるとまでは申し上げるつもりは毛頭ございません。

宗教的寛容性を示すのは、慎重に自らの領域を丁寧に維持に勤めながら行う必要があるのではないでしょうか。



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