2015/5/8

クローズドタイプのラブフルート  ラブフルート

ここ数年、ラブフルートのオーダーは変化しています。年に数本しかなかった、オリジナルスケールのフルートを望む人が着実に増えています。

 さらにクローズドタイプのラブフルートの希望者も確実に増えています。これは古い時代のラブフルートのスタイルへの回
帰とも言えるでしょう。

 音量が乏しく、揺らぎの大きいラブフルートは、パフォーマンスの要素が前提の音楽の演奏には不向きであり、時流の変化とともに激減していましたが、白人たちがラブフルートの魅力に注目し始め、新たなスタンスで拡がり始めました。

 このとき、求められたのは、可能な限り音量が豊かであり、パフォーマンス性が高いことでした。音楽が人前で聞いてもらうものという前提で、ラブフルートが製作されてきました。

 こうした傾向はいまも継承されています。それはアメリカで製作されているラブフルートの構造の特徴を見ると良く分かります。強いブレスで吹く傾向が見られます。もちろん、製作者の個性がありますから、弱く柔らかな響きのラブフルートを好む方もおられます。

 とはいえ、クローズドスタイルのラブフルートとなると、かなり限られたものになります。吹いても全然目立たないし、ましてやステージには向かないですから、作っても売れない。必要だと感じる人は少ないので、採算性が期待できないでしょう。

 楽器の演奏が、ある種のストレス発散やパフォーマンスと結び付き、聞かせることが目的になり始めると当然音量が乏しくあまり響かない笛は居場所を無くし始めて当然でしょう。

 自己形成を基点に生きるという土台が稀薄なまま、自分を表現し、関係性を維持しようとする傾向が強い時代では、音楽の意味も時代性と結び付くわけです。

 別の表現をすれば、誰もが自分の価値観や認識を明確にし、提示することが求められますし、それが生きるスタンスになっているとも言えるでしょう。

 これはある意味、自己抑圧的な時代性の中で生きてきた人々にとっては、望ましい変化と思われてきたかもしれません。しかし、自己の基盤が脆弱なまま自己表現を試みると、人生が空洞化しやすいように感じます。

 自分の内実に伴う響きをじっくりと育む。小さな種火を大切に育み、必要な灯りと暖かさを保つ。やがて、その存在に気づいた人々が、いつとはなしに集い始め、心を寄せ始める。

 クローズドスタイルのラブフルートは、密やかな響きの中で深くて暖かな灯火のように、求める人々の足元を照らしてくれる。そんな響きを持っています。

 ともすれば、たくさんの知識や情報に埋もれがちな時代の中に、なぜ、敢えて微かな呼吸で響く木の笛が存在するのか...

 その深意に触れ、気付き、出会う人々との旅。許される限り楽しみ、心のままにもう少し歩いてみよう.....
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