七一 寄インコ戀
孤りなる部屋にインコと語り居て覺えずゐしよ肩に觸る手も
君今もうせぬ戀慕をまぎらさむ罪無の聲ぞ八重沸くうつろ
泡食む音己ひろげ夜空笑め羽根得し夢を千千叫ぶ沼褪せず逝く
ひとりなるへやにいんことかたりゐておほえすゐしよかたにふるてもきみいまもうせぬれんほをまきらさむつみなのこゑそやへわくうつろあわはむねおのれひろけよそらゑめはねえしゆめをちちさけふぬあせすゆく
七二 襷 箱根驛傳
若者ら襷とり馳せゆくなへに氷雨は雪に降りつのるかな
我もいらぬ音をううと大聲あげゐる室で醉ひ舞ふげ覺えむ口ぞ
都出で山を目指しつ絶えず濡れ寄せゐん峰路揃へん脚よ
わかものらたすきとりはせゆくなへにひさめはゆきにふりつのるかなわれもいらぬねをううとおほこゑあけゐるむろてゑひまふけおほえむくちそみやこいてやまをめさしつたえすぬれよせゐんみねちそろへんあしよ
七三 貞操 ガルシア マルケス「予告された殺人の記録」
兄二人刃ひそめ聲わななき待ちゐて空曲明けむ音群れ追へ
新床ゆ突き返されしいもうとの操けがせる者を待つ路地
朧失せ縁見ぬ主立て抉り寄する刃よ骨竦め搖らえゐん腑や
あにふたりやいはひそめこゑわななきまちゐてそらわあけむれおへむねにひとこゆつきかへされしいもうとのみさをけかせるものをまつろちおほろうせえんみぬぬしたてゑくりよするはよほねすくめゆらえゐんふや
七四 大草原
手廻しのオルガン彈きも訪ね來ぬ大草原の小さな家へ
くづれ歪める帽は脂染みゐて子供ら恐れ氣に寄り得ぬ頬澄めりや
惡路罠笑み越えむ音を迷ふ位置世話歩む瀬等末揃ふ戸を
てまはしのおるかんひきもたつねきぬたいさうけんのちひさないへへくつれゆかめるほうはやにしみゐてこともらおそれけによりえぬほすめりやあくろなほゑみこえむねをまよふゐちせわあゆむせらすゑそろふとを
七五 ゴルゴタ遺文
手濯ひて己が責を解き放ちたれども悔いの酢疼く臨終よ
ゴルゴタ遺文にそぞろ思ひよせゐぬる夢間植ゑむ穗峰分け見和えぬ
八重血潮貫き刺す槍を提げ陳ねむかふ西故罠得ん理路へ
てあらひておのれかせめをときはなちたれともくいのすうつくいまはよこるこたのゐふんにそそろおもひよせゐぬるゆめまうゑむほみねわけみあえぬやへちしほぬきさすやりをさけつらねむかふにしゆゑわなえんりろへ
七六 寒いよよ
日はややに延ばえんとして寒いよよ凍てしむ地越え我ら觸れむ音
君に傳ふるネタおくり見舞ひうごめき描く路地をほろり目拔けつ行け
朝裳和す末失せぬ目も空居搖せなほそなへ舞へ井音漁る野
ひはややにのはえんとしてかんいよよいてしむちこえわれらふれむねきみにつたふるねたをおくりみまひうこめきゑかくろちほろりめぬけつゆけあさもわすすゑうせぬめもそらゐゆせなほそなへまへゐおとあさるの
七七 稚兒の笑み
稚兒の笑み罪なきさまに諦めて代もとらずにかへし來るもの
渡る世へ魔がさす日々を隣り合ふ聲寄せ拔けぬ縁分け降り居つ
病む頬癒え眠れば立ち居搖れ注ぐ色 親を馳せ追ふ運や埋めて
ちこのゑみつみなきさまにあきらめてしろもとらすにかへしくるものわたすよへまかさすひひをとなりあふこゑよせぬけぬえんわけおりゐつやむほほいえねむれはたちゐゆれそそくいろおやをはせおふうんやうめて
七八 聖骸布
血液の遺傳子採りて聖骸布こころみんとや奇し裳を撰り
宴近づく街にあらぬ噂搖れゐぬ
怖み伏す世を退き慣れね大空ゆ眞似笑む室へ運命和せる繪
新喪屋なほ干る泡へ嵌め
けつえきのゐてんしとりてせいかいふこころみんとやくすしもをよりうたけちかつくまちにあらぬうはさゆれゐぬおそみふすよをきえなれねおほそらゆまねえゑむむろへさためわせるゑにひもやなほひるあわへはめ
七九 さすらひ
さすらひの或る日冬あたたかくして氷見る間に溶け去りにけれ
客死の前夜詠まれゐぬを
末おほふ空ゆゑ水泡うつろへど縁得て常路有爲そろへ和せ
芽揉む地は喪屋貫き籠めむ音よ老花を射き
さすらひのあるひふゆあたたかくしてこほりみるまにとけさりにけれかくしのせんやよまれゐぬをすゑおほふそらゆゑみなわうつろへとえんえてつねちうゐそろへわせめもむさちはもやぬきこめむねおいはなをいき
八〇 「ご懐妊」
ご懐妊の報せ得る日故悩み薄れ氣に笑まふ我らゐん地負へ
建付けのあやし世ざまをかはせとぞみごもりおはす妃めでたく
世色添ふうねりを縫ひつ諸芽なほ貫かむ地ゆるべ藍嶺程得ね
こくわいにんのしらせえるひゆゑなやみうすれけにゑまふわれらゐんちおへたてつけのあやしよさまをかはせとそみこもりおはすきさきめてたくよいろそふうねりをぬひつもろめなほぬかむちゆるへあゐねほとえね