六一 冬至
大雪の便り到れる冬至空なほ腿長に臥す君見ん
戀人や精力熾んに添へ脣合はす睦ませゐる繪夢を經ぬ
明けむ目の寺居映え冴えゐてし寝間うつろ拔け侘ぶ落ち醉ふ我を
おほゆきのたよりいたれるとうしそらなほももなかにこやすきみみんこひひとやせいりよくさかんにくちそへあはすそらへむつませゐるねゆめをへぬあけんめのてらゐはえさえゐてしねまうつろぬけわふおちゑふわれを
六二 歸り路
酒醒めて歩めば似非女佛も魅入らす夢魔おらびし鉾分け居き
老い暮れる街の女が聲寄する歸り路なれど孤り寝むも憂き
惡縁をたぬしむ津故呪ふ部屋そぞろ匂はせゐて歌見ぬ和
さけさめてあゆめはえせによふつもみいらすむまおらひしほこわけゐきおいくれるまちのをんなかこゑよするかへりちなれとやむひとりねもうきあくえんをたぬしむつゆゑのろふへやそそろにほはせゐてうたみぬわや
六三 みづくき
薄れ目揉むゆゑぞ虚音生む人を分け千千搖れ換へて愛屠り螻蛄揉め
みづくきをあやしきさまにくづさせて紅捺しゐぬる便りなやます
かんばせのほのおとろふる悶え見ぬ音色醉はなん凍え侘びゐよ
うすれめもむゆゑそそらねうむひとをわけちちゆれかへてあいほふりけらもめみつくきのあやしきさまにくつさせてへにおしゐぬるたよりなやますかんはせのほのおとろふるもたえみぬねいろゑはなんここえわひゐよ
六四 寄大雪戀
大雪の募れる戀に術ぞなく埋もれぞゐぬる思ひが岳は
前後ろ道鎖ざす位置を褪せ色連ね空醉ふ神酒を競り止めよ
あきらめん谷や抉れて分けゆかん橇越え得ぬ世舞ふ峰鎖ざして
おほゆきのつのれるこひにすへそなくうもれそゐぬるおもひかたけはまへうしろみちとさすゐちをあせいろつらねむなゑふみわをせりやめよあきらめんたにやゑくりてわけゆかんこええぬよひまふみねとさして
六五 銀杏落葉
朝朝に銀杏落葉をこきつめて理なき便りそこへ入れやる
慣れぬる繪も年々遠く報ゆらむ間鵜殿を夢見の炉混ぜ消し居よ
今日見えつ返す轍や非違燃えぬ醉ひし揃はず大浦風に
あさあさにいてふおちはをこきつめとわりなきたよりそこへいれやるなれぬるゑもねんねんとほくむくゆらむまうとのをゆめみのろませけしゐよけふみえつかへすわたちやひゐもえぬゑひしそろはすおほうらかせに
六六 涙嚢
圍炉裏に年更け包む心地は淺瀬割れ据ゑぬ音の氣澄め 追はん末居め
愛受けし思ひ出の間をながらへて涙嚢もやうやく寒き
たそがれによそほひゆらせ寄る眉根理得ぬ縁とにほへる道を
としふけゐろりつつむここちはあさせわれすゑぬねのきもめおはんすゑゐめあいうけしおもひてのまをなからへてなみたふくろもやうやくさむきたそかれによそほひゆらせよるまゆねわりえぬえんとにほへるみちを
六七 地球へと
地球へと愛を送れる年の端にゆゆしきかげり身を去らずあり
世話燒いて常醉はせむ日謎めく眼も笑むや 底迷へぬ天魔なほ祕めぬ田
幼女らの殺されゐたる藪中に鼠告げ侘び燃え滅ぶ恩
ちきうへとあいをおくれるとしのはにゆゆしきかけりみをさらすありせわやいてつねゑはせむひなそめくめもゑむやそこまよへぬてんまなひめぬたえうちよらのころされゐぬるやふなかにねすみつけわひもえほろふおん
六八 ありのまま
季節過ぎて朧身へ憂くお骨燒く道失せぬ和染めん故燃やさん無
朝宵に鳥等聲かはしたむろゐる池邊へ寄すれ絶え得ぬ常路
ありのままてふものいひを罠になし言葉ぞ歪められゐる今日をば
きせつすきておほろみへうくおほねやくみちうせぬわそめんゆゑもやさんむあさよひにとりらこゑかはしたむろゐるいけへへよすれたええぬつねちありのままてふものいひをわなになしことはそゆかめられゐるけふをは
六九 似非年の瀬
朝宵に分けて心掏られなほ理路食む目かく搖り帆搖らげ智慧打ため
樅の木に踵を次いで松飾る似非年の瀬を吹雪く島曲よ
群れ畏る魑魅も堪へゐぬ癒えぬ音へ彩植ゑ祖ぞ華とゐん年
あさよひにわけてこころすられなほりろはむめかくゆりほゆらけちゑうためもみのきにきひすをついてまつかさるえせとしのせをふふくしまわよむれおそるちみもたへゐぬいえぬねよあやうゑおやそはなとゐんねん
七〇 あかるみへ
今日なほ括れぬ夜空故に燒け失せし土地を蒸せ笑まん目路や憂さ干し
明るみへ率ゐて越えむ明日おもふ夢わづかにて値ごろ迷へる
勞はりの色見む空を渡す鳥音鳴きつのればおもひ冴えゐぬ
けふなほくくれぬよそらゆゑにやけうせしとちとをむせゑまんめちやうさほしあかるみへひきゐてこえんあすおもふゆめわつかにてねころまよへるいたはりのいろみむそらをわたすとりねなきつのれはおもひさえゐぬ