一一 かひしめ
をやむなく攻め守り爭ふ世の色うつろひ得ぬや 野長枝添へ置け
拔き打ちに株買ひ占めてあぐる聲小氣味よしとはつゆおもはねど
青年ら撓まれずゐて搖る日本見据ゑゐむ地へ我なほざりげ
をやむなくせめまもりあらそふよのいろうつろひえぬやのをさえたそへおけぬきうちにかふかひしめてあく
るこゑこきみよしとはつゆおもはねとせいねんらたわまれすゐてゆるにほんみすゑゐむちへわれなほさりけ
一二 あらぬくすり
あらぬ藥に嵌り有爲の色香や消え果つる故頼む親を寝せん頬
紅葉へと誘へる聲もそらに聞け音沙汰無くて居し娘なれ
い寝侘びてつれ舞ふ世々をうち消せぬ縁侘び見頃夕星あがめ
あらぬくすりにはまりうゐのいろかやきえはつるゆゑたのむおやをねせんほもみちへとさそへるこゑもそら
にきけおとさたなくてゐしむすめなれいねわひてつれまふよよをうちけせぬえんわひみころゆふほしあかめ
一三 おくのまつしま
かもめらの追ふにゆだねて寄る船ゆ沖の松島見えもこそ來れ
細道をたづぬる若きら聲無心げに一夜宿を圍炉裏へ呼び賣り
忘れ得ぬ憂さ果て色と來あはせん娘なほ醉ひ情け藍瀬へ
かもめらのおふにゆたねてよるふねゆおくのまつしまみえもこそくれほそみちをたつぬるわかきらこゑむし
んけにいちややとをゐろりへよひうりわすれえぬうさはていろときあはせんむすめなほゑひなさけあゐせへ
一四 狂王 ルートヴィヒ二世 (1845〜1886)
泡雪果て得ぬ地へ無爲盛りおほはせ、船路室去り醉ふ縁折らん炉
幽せられたまへる王や溺れゐぬ侍醫の額に殘す爪痕
黄金なす夢にそそげる富世々を描き告げ居て峰間さやぐ雲
あわゆきはてえぬちへむゐもりおほはせふなちむろさりゑふえんをらんろいうせられたまへるわうやおほれ
ゐぬしいのひたひにのこすつめあとこかねなすゆめにそそけるとみよよをゑかきつけゐてみねまさやくくも
一五 いひよりし
するどくも迫れる我にたぢろぐ君言ひ寄りしはじめにもさまでは
男臍噛み色のかへす歌
夢占ぞ覺えぬ常路降り居飽き悩む空分け愛醉ふ艶夢
相灼け經居て縫ふ瀬のなさん音よ
するとくもせまれるわれにたちろくきみいひよりしはしめにもさまてはをとこほそかみいろのかへすうた
ゆめうらそおほえぬつねちおりゐあきなやむそらわけゑふえんむつゆあひやけへゐてぬふせのなさんねよ
一六 ニライカナイ
遠つ世のニライカナイゆ降り居しと聞得大君やたまふ神歌
凪げる聲島根這ふ日に搖れる業諸々湧ける井へ冴え映れ
彩繪透く先世へ汲む念ぞ伴れて縫ひ寄り野を愛で果てぬ青空路
とほつよのにらいかないゆおりゐしときこえおほきみやたまふかみうたなけるこゑしまねはふひにゆれるあ
やもろもろ分けるゐへさえうつれあやゑすくせんせへくむねんそつれてぬひよりのをめてはてぬあをそらち
一七 ちのかて
地の糧をつなぎおかんとさすらへるに垂れ込めて倦ましむる色
悶えあへなく潰え海山紅葉分け居む繪日々小屋根をそぞろ醉ふ目
鬼寄せし檪葉搖せん痕膝行り忘れ音貫けり朴の夕原
ちのかてをつなきおかんとさすらへるよにたれこめてうましむるいろもたえあへなくついえうみやまもみち
わけゐむゑひひこやねをそそろゑふめおによせしくぬきはゆせんあとゐさりわすれねぬけりほほのゆふはら
一八 まちぶせ
明日や音絶えをさへづり憂けく醒めむ夜夜を襲ひ搖らせつ煙らする和や
待ち伏せし君ふり解き去なんとし公園の濡れ落葉にまろび
飽かれ色見るゆゑになほたへかねて湧井の傍も越え居て揉めぬ
あすやねたえをさへつりうけくさめむよよをおそひゆらせつけむらするわやまちふせしきみふりほときいな
んとしこうゑんのぬれおちはにまろひあかれいろみるゆゑになほたへかねてわくゐのそはもこえゐてもめぬ
一九 チチカカ
チチカカの湖に浮巣を築きて住む民等は多く陸へと去りぬ
太藺もて綯へる島根に學舎も建つれ誇れる聲消さぬ日よ
泡瀬永遠搖し色映えゐん お空瞳寄せ揃ふ和の音や蒼む芽
ちちかかのうみにうきすをつきてすむたみらはおほくりくへとさりぬふとゐもてなへるしまねにまなひや
もたつれほこれるこゑけさぬひよあわせえいゑんゆしいろはえゐんおそらめよせそろふわのねやあをむめ
二〇 もみぢ
秋いや暮れて便りもたらされぬまま大楠の紅葉しるきを
うねり經し業の跡問ふ日々澄む眼越え寝ん空居うつろふ顔よ
世話萎えぬ道に描ける花の果て摘む色八重に夢搖せん井ぞ
瀬を袖削げ
あきいやくれてたよりもたらされぬままおほくすのもみちしるきをうねりへしわさのあととふひひすむめこ
えゐんそらゐうつろふかほよせわなえぬみちにゑかけるはなのつむいろやへにゆめゆせぬゑんせをそてそけ