一一 ウロボロス
ウロボロス蓮の花より生れ出でて太古の天をめぐりわたれる
と神話を詠みつつ大空へ聲送るに
鵺や魑魅足掻き燃え居む域に搖せ願ふ一間もうべなふ夢や
胸捧げ曼美智慧消せぬ詩
うろほろすはすのはなよりあれいててたいこのそらをめくりわたれるとしんわをよみつつおほそらへこゑおくるにぬえやちみあかきもえゐむゐきにゆせねかふひとまもうへなふゆめやむねささけまんひちゑけせぬし
一二 あからさま
女醉ひ夷とあからさまにはめおこなふをいさむれば恨みおそへる
ぬき遊ぶ色に宴も聲むせぬ搖り搖る地割れ諸音消えん世
たぼすぼと胃の神酒括り寝間居よや八千風のべし傳手告げしめて
をんなゑひえひすとあからさまにはめおこなふをいさむれはうらみおそへるぬきあそふいろにうたけもこゑむせぬゆりゆるちわれもろねきえんよたほすほとゐのみわくくりねまゐよややちかせのへしつてつけしめて
一三 市女笠
市女笠にやつして參來ぬる姫を入れて牛車も搖らに契ればおおとよがり聲あげさ
せゐぬ
絶えず吹く笛の音も幌分け越ゆ瀬醉ひわたらん名御簾をほどろや
睦む音へそそり世波經んあの袍
いちめかさにやつしてまゐきぬるひめをいれてうしくるまもゆらにちきれはおおとよかりこゑあけさせゐぬたえすふくふえのねもほろわけこゆせゑひわたらんなみすをほとろやむつむねへそそりよなみへんあのはう
一四 無常
かつてまじらひし女みまかれるを聞きて
我や老い心氣遠にありぬるも恨みおもはず癒え映えむ夢
弱音吹く細瀬うつろに醉ひ居むや紫陽花酌めり胸の瀬へ拔け
漂ふ地ゆゑその術なさと
かつてましらひしをんなみまかれるをききてわれやおいこころけとほにありぬるもうらみおもはすいえはえむゆめよわねふくほそせうつろにゑひゐむやあちさゐくめりむねのせへぬけたたよふちゆゑそのすへなさと
一五 みこし
練り廻る神輿拝みて亡き人を想ふ
春告げてとよむ祭りのただなかに失せ得ぬ面わゆらら色得し
やうやくに胸こそ澄めれ院院へ繪馬ゆれ騒ぎ醉ひよろぼふぞ
淺茅の穗は明日伊勢路へ拔け
ねりめくるみこしをかみてなきひとをおもふはるつけてとよむまつりのたたなかにうせえぬおもわゆららいろえしやうやくにむねこそすめれゐんゐんへゑまゆれさわきゑひよろほふそあさちのほはあすいせちへぬけ
一六 たより
雁かへるいづれの里へことづてむ君のたよりを日朝待ち居ぬ
遠流せられし子思ひて歌まゐらせし母に
うち仰ぐ峰に雪分けなやむ世やそぞろ音萌えな芽ぬけ和す色
夢末おぼえ笑む頬拭く
かりかへるいつれのさとへことつてむきみのたよりをひあさまちゐぬをんるせられしこおもひてうたまゐらせしははにうちあふくみねにゆきわけなやむよやそそろねもえなめぬけわすいろゆめすゑおほえゑむほふく
一七 上達部
上達部醉ひのまぎれに辻行くむすめにたはれ衣へ手さしこみ胸乳揉ませらるを覺えず侘びて居ぬる
色香醉ふ癒えぬ空居に羽根の毛失せ騒ぎ艶削ぐ身を投げん船
ああ湯宿賣り大淀より
かんたちめゑひのまきれにつしゆくむすめにたはれころもへてさしこみむなちもませらるをおほえすわひてゐぬるいろかゑふいえぬそらゐにはねのけうせさわきつやそくみをなけんふねああゆやとうりおほよとより
一八 うぶやしなひ
産養ひにも參來ぬをうらみてをんな
みどりごの血より生き出であるさへも覺えかろめんあにつれづれげ
かへし
群生ひむ音ぞ行く末は幸得ぬと渡し音ゆゑぞ塞きわくる麿
世褒め井馳せ野札燒け
うふやしなひにもまゐこぬをうらみてをんなみとりこのちよりいきいてあるさへもおほえかろめんあにつれつれけかへしむらおひむねそゆくすゑはさちえぬとわたすねゆゑそせきわくるまろよほめゐはせのふたやけ
一九 やまふおや
ののしり顏掻き臥せる親を見舞ひ居てすれて不孝なる子なれば
世に見えぬ言葉種にもまどひゐし酬いぞ千重わたすおほろけき眼へ
常色を得ぬ世故恨む眼もあやせ漁りつくさん血ゆゑ割らん祖
ののしりかほかきふせるおやをみまひゐてすれてふけうなるこなれはよにみえぬことはたねにもまとひゐしむくいそちへわたすおほろけきめへつねいろをえぬよゆゑうらむめもあやせあさりつくさんちゆゑわらんそ
二〇 やもめ
子に先立たれしやもめなぐさめんとていつか空味わりなき和事に
おもはくの橋かけゐんを覺えず居て招ける夕べ閨ゆすらえぬ
うつろ添ふ色へうち醉ひ責むる身よ日の間浴む瀬を頬笑み寄りぬれ
こにさきたたれしやもめなくさめんとていつかそらあちわりなきわことにおもはくのはしかけゐんもおほえすゐてまねけるゆふへわやゆすらえぬうつろそふいろへうちゑひせむるみよひのまあむせをほゑみよりぬれ