一 おとづれ
昔男忍び通ひける女へ、
あやにくの空色さへぐけふゆゑに參り得ぬ吾なほうらみずよ
應ふる歌
天地もつまぬ目据ゑて色和せん君思はん音搖り居て根切れ
大宿路 榮えぞさせ
むかしをとこしのひかよひけるをむなへあやにくのそらいろさへくけふゆゑにまゐりえぬわれなほうらみすよこたふるうたあめつちもつまぬめすゑていろわせんきみおもはんねゆりゐてねきれおほやとちはえそさせ
二 ほれぐすり
惚れ藥買へとて迫る商人を皆追ひやり繪扇に書ける歌
心根の千枝にさしぐむ芽もそぞろ濡れ居ん今を忘らえで居よ
笑む花の破らぬ定め根も落ちつ露結はせ經ん五百世分け見し日
ほれくすりかへとてせまるあきうとをみなおひやりゑあふきにかけるうたこころねのちえにさしくむめもそそろぬれゐんいまをわすらえてゐよゑむはなのやふらぬさためねもおちつつゆゆはせへんいほよわけみしひ
三 世の常
娘子は小袖簪購ふ代にむさき仕丁に肌ゆるすとや
と嘆き詠めるを笑み招く身の常吾も侘びつ老いゐぬ
舞ひ和えで植ゑ得ぬ空や有爲路折り愛塞く野良へ今日なほおもへ
塵搖れん勢田
むすめこはこそてかんさしかふしろにむさきよほろにはたゆるすとやとなけきよめるをゑみまねくみのつねわれもわひつおいゐぬまひあへてうゑえぬそらやうゐちをりあいせくのらへけふなほおもへちりゆれんせた
四 かぜのたより
朝宵にゆかしみ眺めし娘賣僧に賣られて孕みたりと聞けば
そぞろ憂き夜寒おほへる閨分けつ聲居てつのる我越え得ぬ瀬
落ち居寝ぬ雲も醉ふ間を色仇せん行方遠野や汝火を振り
あさよひにゆかしみなかめしむすめまいすにうられてはらみたりときけはそそろうきよさむおほへるねやわけつこゑゐてつのるわれこええぬせおちゐねぬくももゑふまをいろあたせんゆくへとほのやなんちひをふり
五 美人局
男小娘とわりなき契りして醉ひ醒めみれば美人局にあひ
念念に呪ふ色香をおぼえかぬる吾ゆゑ迷ふ癒えぬ道空や
明日瀬浮く獸迷はむ大空居ゆくへやけだし憂さ經て鳴る井
をとここむすめとわりなきちきりしてゑひさめみれはつつもたせにあぬねんねんにのろふいろかをおほえかぬるわれゆゑまよふいえぬみちそらやあすせうくけものまよはむおほそらゐゆくへやけたしうさへてなるゐ
六 眼離れ
眼離れ久しきに家内蜘蛛の集けばをんな
よよと泣くばかり君來ぬ侘び住居夕星そぞろ頬照らし居て
と愛負へる縁にをのこ
癒え堪へむ閨落ち身も失せ倦む氣ゆゑ稀ら侘ぶる炉蟻寝させ笑め
めかれひさしきにやぬちくものすたけはをんなよよとなくはかりきみこぬわひすまゐゆふつつそそろほほてらしゐてとあいおへるえんにをのこいえたへむねやおちみもうせうむけゆゑまれらわふるろありねさせゑめ
七 しのびかたらひ
人の妻とかたらひて連れ寄る家内に
君やわれ寝ごろいざなふ長谷の神そぞろこゑよせむつぶたぬしも
をんな
映え冴えて抉りおぼらす百合)置く邊うまずめゆるぎ分けゐむ愛を
有卦居む寝間も死地に帆合へ
ひとのめとかたらひてつれよるやぬちにきみやわれねころいさなふはせのかみそそろこゑよせむつふたぬしもをんなはえさえてゑくりおほらすゆりおくへうますめゆるきわけゐむあいをうけゐんねまもしちにほあへ
八 あけとり
股撫で胸ゆらし脣喫はせあふに詠める歌
しぬのめのひとつ衾をひき被きまながりをれは明け鶏屋根に
うち騒ぐ聲ゆおほよそ見え冴えぬ院院御むろ渡れる色や
美空邊聲ほけて伊勢へ
ももなてむねゆらしくちすはせあふによめるうたしぬのめのひとつふすまをひきかつきまなかりをれはあけとりやねにうちさわくこゑゆおほよそみえさえぬゐんゐんおむろわたれるいろやみそらへこゑほけていせへ
九 眉目よきと
眉目よきとまぐはひ得ぬるしづくをばされかうべにぬり願へるや何
と異端邪教の書開きてをんな洞寝頃さそふ落ち露逸れ
双頬笑む夢醉のあまり夢分け居て和す聲絶えよ瀬瀬愛も堕ち
みめよきとまくはひえぬるしつくをはされかうへにぬりねかへるやなにといたんしやけうのふみひらきてをんなほらねころさそふおちつゆそれもろほゑむむすゐのあまりゆめわけゐてわすこゑたえよせせあいもおち
一〇 おんなやみ
東宮妃がおんなやみおこたらせたまはねば
世々つらね經ぬる行方もいかにせん据ゑ得ぬ文色燃え忘れ居む
有爲路を後ろ輪投げ
煙りあふ遠路に頬笑め差し照る日搖り舞ふ袖やそをときさぐれ
ひつぎのみこのめかおんなやみおこたらせたまはねはよよつらねへぬるゆくへもいかにせんすゑえぬあいろもえわすれゐむうゐちをうしろわなけけむりあふとほちにほゑめさしてるひゆりまふそてやそをときさくれ