算数で要求される知識は
驚くほど少ないので、背景にある概念を掴んでしまえば後は頭を絞って考えることが出来るかどうかの勝負になります。
逆に言うと、塾の課題で一杯一杯になっている場合、本質が全くつかめていない可能性は高いです。
手っ取り早く元になる考え方(テクニックではない)の部分を抑えてしまうことが出来れば、学生と一緒に問題に取り組む、あるいは指導することが可能なわけです。
僕のような人間を雇う前に出来ることはやってしまって、「これは無理・・・」という算段になって初めて、利用していただければと思います。
「わくわく算数100題」でもしょっちゅう出てくる、数列の話を一通りまとめておきます。
@数列とは?
読んで字のごとく、数が並んでいる列のことです。ただ、数学で言うところの数列というのはそれなりの規則性があって、個々の数字には関係性が見られます。
A等差数列とは?
等差数列というのは、数列にある前後の数字の差が一定であるような数列を指します。例えば、
T:2,4,6,8,,,,
という数列は初項(一番初めの項をこう呼ぶ)2、公差(差の値)2の等差数列です。
同様にして、
U:1,4,7,10,,,,
という数列は初項1,交差3の数列です。
そして数列には一般的に以下の関係式が成立します。
(一般項)=(初項)+(N-1)*(交差)
Tならば、 2+(N-1)*2=2N ,
Uならば、 1+(N-1)*3=3N-2
(注: *は掛け算を表しています)
となります。
A階差数列
階差数列というのは、
元の数列(一般項をa[k](a=1,2,3,,,,n)とおく):
a[1],a[2],a[3],,,,,,a[n]
という数列があった時に、各項の差を取った数列を定義したもので、
階差数列(一般項をb[k](b=1,2,3,,,,n)とおく):
b[1]=a[2]-a[1] , b[2]=a[3]-a[2] , b[3]=a[4]-a[3] ,,,,, b[n-1]=a[n]-a[n-1]
である、
b[1],b[2],b[3],,,,,b[n-1]
という数列のことを言います。
そして元の数列と階差数列との間には、
a[n]=a[1]+Σb[k](Σb[k]はk=1からk=n-1まで)
という関係があります。要するに元もとのa[1]にその増加分を全部加えたものがa[n]になる、ということを言っているに過ぎません。
B平方数の数列
まず、平方数とは、自然数の2乗である数を指します。即ち、平方数の数列とは、
1(1の2乗),4(2の2乗),9(3の2乗),16(4の2乗),,,,
という数列を指します。
この平方数の数列はどうやら算数ではしょっちゅう出てくるらしく、
わくわく算数100題にもこれを題材とした問題は相当数収録されています。
平方数の数列の階差をとると、
3(=4-1=1*2+1),5(=9-4=2*2+1),7(16-9=3*2+1),,,,
と、要するに奇数が並んだ数列になります。
これは一辺が1の正方形を並べて作った平方数の面積をもつ正方形を考えると、視覚的にも訴える形で理解することが出来ます。
基本的には算数レベルの数列では、これくらいのことを知っていれば殆どの問題に対応することが出来ます。
但し、綺麗な数列で表すことが出来ない場合、一般項をしらみつぶしに調べることが到底適わない場合は、
漸化式を利用する必要があります。
C漸化式
漸化式と言うのは、
a[1],a[2],a[3],,,,a[n]
という数列があった場合に、
a[1]とa[2]の関係、
a[2]とa[3]の関係、
----------------
a[n-1]とa[n]の関係
を式で表したものです。
例1:フィボナッチ数列
例えば漸化式を使うと上手く表すことが出来る数列に、
フィボナッチ数列があります。
フィボナッチ数列は一般に、
a[k]=a[k-1]+a[k-2] (k=1,2,3,,,)
という式で表されます。要するにk番目の数字はそれよりも1つ前と2つ前の数字を足すことで得られるよ、ということです。
具体的には1,1,2,3,5,8,13,,,,,
という数列であらわされます。
例2:交点の数え上げ
他にも例えば互に二本の円弧のみが交点を共有する交わる円の交点の数を求めたい場合、
2つの円では交点が2個、
3つの円では交点が6個、
4つの円では交点が12個、、、、
つまり、
2,6,12,,,,
と続く数列になるんですが、これだけ見ても何のことか良く分かりませんし、そもそも全部をこれ以上具体的に数え上げようとすること自体無謀すぎます。
そこで視点を変えて、何が変化するのかに着目するわけです。
n個の円がある状態で、さらにn+1個目の円が増えるとなると、それまでのn個の円と2n個の交点を持つことになるのが分かるので、
円の数がn個のときの交点の数をa[n]とおくと、
a[n+1]-a[n]=
2n
⇔a[n+1]=a[n]+2n
(変化分は2nであることを式にあらわした)
であることが分かります。これが漸化式です。
ちなみに個の場合、a[n+1]-a[n]の形をしていますから、2k(k=1,2,3,,,,)は数列a[k]の階差数列になっていることが分かります。
中学入試算数の場合、これを明示しないがために、逆に混乱を催すような問題が少なくないわけです。
算数レベルでは漸化式を解き、一般項を式として表すことはできませんが、n(またはk)の値の変化させ、そのつど代入して求めていくことで、具体的な数値を求めることが出来るわけです。
中学入試の数列や場合の数の問題は、この程度の予備知識があれば体系的に構造を理解することが容易に出来ます。
以下は基礎を学ぶ際の、お薦めの自習用問題集です。網羅している問題数は予習シリーズを凌ぎます。
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