2016/12/8

『フラット化する世界』11  お勧めの1冊

梵さんのところで外国人労働者を今後締め出す方向に中国政府が動きそうだとの話題が出ていた。これはどういう意図があるのか?
http://ameblo.jp/fang289196664/entry-12226167850.html

関係があるかどうか不明だが、例のごとく外電として「中国、労働人口が大幅減」とチャイナネットが伝える。「いえ、私が騒いでいるわけではないですよ、アメリカメディアがこんなこと言っています」という具合にだ。

この記事と先の規制になんらかの関係があるのだろうか?
http://japanese.china.org.cn/life/2016-12/07/content_39869358.htm

中国で労働人口が減れば、その分「移民が増える」ということにはそう簡単にならないと思うのだが??



『フラット化する世界』11
ここでようやく著者は国際テロリズムについて語り始める。曰く、

『(テロリスト予備軍が)ヨーロッパで、半分だけフラットな世界に住んでいること』 が原因だと云う。p164 イスラームは優れた教えであるはずなのに、なぜ異教徒に虐げられているのかという怒り、自尊心喪失だろう。テロは金銭的欠乏から生まれるものではなく、自尊心の欠如から生まれるというのが著者の持論である。p168

著者はその背景にアラブ世界の人口が世界のそれの5%なのに対し、出版される本の1%にすぎないことを挙げる。p166 しかもこれは随分昔からのことである。

別の本でも1994年当時、エジプト、このアラブ世界をリードする国で1年間に出版される本は375冊。それに対し同じ時期日本では53,890冊が出版されていた。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/676/trackback

それゆえ、ビンラディンをテロリストとしつつも、大多数の善良なモスレムですら、密かな支持があるのは、それだと。怒りと失望、屈辱がその根にあるとも。p171 これは実に納得できる。
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2016/12/7

『フラット化する世界』10  お勧めの1冊

東洋経済オンラインに「トランプ政権がイスラムとの戦いに邁進する」という記事が載っている。結論については納得するが、文章全体の流れについては全く意見が異なる。
http://toyokeizai.net/articles/-/148107

まずイスラーム過激派との戦いで、まず米国がしなければならないのはイランとの妥協だというのは昔からの一貫した考え。 もしまたトランプ氏がイランとの妥協を破棄し、時計の針を元に戻すようなことをすれば、さらに中東の泥沼化は続くだろう。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/1348/trackback

それとフクシマ氏の「歴史の終わり」とハンチントンの「文明の衝突」を天秤にかけることも賛成しかねる。共にその歴史認識は、傲慢を承知で書かせてもらえれば、かなり低いと感じた。これは両者共に政治学者で歴史学者ではないからだろうと思う。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/34/trackback
ただしハンチントン氏の予見には無視できないものを感じていたのも事実。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4273/trackback

両方の著作共に、このblogを始める前に読んだのでリアル・タイムでの感想を残していないことが、残念だ。


『フラット化する世界』10
著者は「世界がフラット化し、ぺしゃんこに潰されそうだと思ったら、スコップを持って内面を掘り起こせ。壁を築こうとするな」 p46 という。しかし今回米国は壁を築くことを選択した。それによる結果は有権者である米国民が引き受ければよい。

フラットな世界では、同じバニラ・アイスクリームを作っていても、もう食べていけない。チョコチップ・クッキー・ドウやチェリー・ガルシアを作れないといけない。それが壁を作り、同じバニラを売り出しても所詮ゼロサムゲーム、先はない。

12章に入り、ここでグローカリズムが話題になる。ただし著者の意味するところは一般に言われている『Think globally, act locally』というのとはちょっと違う。逆だ、local なものをglobalに広げるという。例えば味噌を世界中で活躍する日本人に直販するような考え方だ。味噌のような嵩張るものより、情報やマネーが簡単にほぼタダで送れるのでそうしたコンテンツがよいだろう。

14章でようやくネットの負の側面を描き出す。それまで著者は利点ばかしだけ挙げていたのでようやくか、という感じ。ここでまず話題になるのが、ネット中毒。←出ましたね!

「慢性注意散漫」p107 とか、「邪魔の時代」p110 とか名付ける。そして実感として、我々は『一度に1つの物事しか出来ないとき、頭が良くなったと感じる』という。そう! 創造的で付加価値の高いものはネット中毒者には生み出せない。p111

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2016/12/6

『フラット化する世界』9  お勧めの1冊

<慰霊>
安部さんがオバマさんと一緒に真珠湾に慰霊に訪れるとか。

いろいろなことが云われているようだが、私はそれなりに評価する。もちろん、トランプさんとの会談とのバランスを取るために行うということはあっただろうが、結果として良いこと。 やはりあの場所は日本人にとっての広島・長崎同様、アメリカ人にとって象徴的な存在だから。 

歴史的和解を本当に望むのなら、ついでに日本が一方的加害者であった南京にも慰霊の旅をすればよいと思うのだが、それは安部さん到底無理でしょう。

大陸の地に葬られた人は何も中国人だけではない、我らの同胞も沢山亡くなられたということに想いをはせる人は少ない。



2014年からの血圧変化。季節変動は綺麗にわかる。冬場は高血圧になりますね。

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『フラット化する世界』9
ではどうしたらこのフラット化した世界で発展できるだろうか? 著者は「教育とインフラの改善、それによき政府のガバナンスだという。p229

ここで具体的な国について議論する。まず中国、1990年に1日の生活費が1ドル以下の人が3億7500万人いた。2001年にはこの数字が2億1200万人に、2015年には1,600万人になるとこの時点で予測されているが、p230 実際の数字は今、なお5000万人の極貧層がいるとされている。たとえそうであるにせよ、素晴らしい改善結果であることは間違いない。これが共産党の存在基盤でもある。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/8272?page=3

しかし問題はこれから、果たしてこの進みをこれからも中国は継続できるだろうか? それについての悲観論は多い。

アイルランドの例もあげる。この国の歴史的イメージはこれまで「飢餓」「移民」「内乱」「妖精」ではなかったか? それが今では国民1人あたりのGDPはドイツ、フランス、イギリスよりも高いという。p239 これを可能にしたのは、著者によれば、国民が一団となり緊縮予算を受け入れ、法人税を引き下げ、大学教育を無料化したからだという。p240 この例を挙げて著者は、

『資本は必ずしも、世界一安い労働力を求めて移動するとは限らない、もしそうなら資本はハイチか、バングラディシュに行く』とも。p242

ここで、著者による各国の描写を紹介しょう。いろいろあるが、とりあえずヨーロッパとアメリカについて。

『ヨーロッパは、トルコ人看護師に世話をしてもらう贅沢のできる高齢者が住む介護施設が多い地区。 アメリカはゲートがある住宅地で、正面ゲートには金属探知機があり、庭に座っている連中は、他人はみんな怠け者だと文句を言っている。ところが裏のフェンスには穴が空いていて、ゲートで守られたコミュニティーを守っているメキシコ人労働者その他の元気な移民が入ってくる…』p232

最後に、イスラーム世界について彼はどのように語ったかが、非常に興味深い。曰く、

『イスラム世界ではイジュティハードの努力を実質的に禁じる宗教指導者が大勢を占めている』p246 これがイスラーム世界もいつまでもフラットな世界の「落ちこぼれ」にしているという。まさにこれは私のイランについての理解と同じだ! かって私は以下のように述べた。

 「シーア派(イラン)はスンニー派に比べ現代に適応出来る可能性が高い」 と考えているが、その根拠がこれ(イジュティハード)だった。 
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/345/trackback
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2016/12/5

『フラット化する世界』8  お勧めの1冊

内田樹氏は匿名によって発信された情報は信頼しないそうだ。『街場の憂国論』p340より。

それは1つの立場だと思う、しかし私はその立場には立たない。確かに文筆業の人にとって匿名性は意味がないが、普通の人にとっては匿名性により始めて真実を語ることができる場合がある。私の場合もそうで、公的立場でこのblogに書くような内容を喋ることはない。それは、個人にとってリスクがあるというだけでなく、特に教育関係にいる者としては注意しなければならない点でもあるからだ。

そして、そうした自分の立場からなのかもしれないが、匿名の情報源でも信頼できると判断すれば参考にする。そして、その場合の判断基準は匿名であるかどうかではなく、普段私がよく利用する「進化的淘汰法」による。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/4516/trackback

そして情報源は匿名・非匿名に関わらず、できるだけ多い方がよく、またできるだけ思想的色つけのない統計数字を参考にする傾向がある。それは全ての統計数字を誰かがすべて監視し、整合性を保つように検閲しているとはとても思えないから。勿論、そうした統計数字の中には虚偽や間違いも含まれているだろう、しかしそれは整合性をみていけば容易に排除できる。

将来、超優秀なAIの出現により、網羅的統計数字の監視も可能になる時代がやってくるだろうが、人類の英知はそれを避けるだろう。何故なら、我々人類は「経験知」として、集中管理型よりも分散型の方がリスク回避に有効であることを知っているからだ。



『フラット化する世界』8
アメリカの大学卒者の読み書き能力試験によると1992年時点で40%が上級、2003年には31%と低下している。この原因を教育省はテレビとネットだとしている。p161 特にネットについては日本の大学生も状況は同じだ。

ここでリチャード・クー氏が登場する。著者の論理は「天然資源が少ないほど、その国の人はフラットな世界で成功する」というものだが、それについてクー氏はその理論を証明するように、

『我々はアメリカ人のように生きて行くのは無理だ、資源がない。一生懸命勉強し、働いて、輸出しないといけない』と述べる。p167 

著者は同時にこうも言う、『思いやりのあるフラット主義』すなわち、社会保障の支援やツールを提供しないといけないと。p193 また、それを支援するものとして、ポータブルな社会保障制度を構築するべきとも。p198

著者は、『ある種の仕事は「アメリカの仕事」だから外国との競争から保護してもよいとか、思いやり=保護主義だというようなことを吹き込んでいる政治家がいる』と厳しく指摘するが、今度の次期大統領はまさにそれだ!p194 
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2016/12/4

『フラット化する世界』7  お勧めの1冊

<何かおかしくないか?>
4ヶ月ぶりに高血圧の薬を貰いに病院に行く(3ヶ月分もらい、毎日血圧を2回測り、130を超えた時のみ飲むようにしているので4ヶ月以上もつ)。初めてみる女医さん曰く、「主治医を決めてください、過去の経緯がわからないと正しい判断ができません」 

確かに一理ある。が、納得いかない。これまで10年間健康診断や高血圧の薬をもらいに同じ病院に通っている。そこには私のカルテが保存されている。そのカルテが「医師が変わると役に立たない」否、「カルテの存在そのもに意味がない」と云うのに等しい。第一、大学病院では教授以外の医師はよく配置転換になる。だから、きちんとしたカルテの確立、患者が持ち運びできるカルテの確立こそが必要なのではないか?  第一こうしたことはHealth Vaultなどで、すでに可能になっている。 大学病院さん、「アンタは後れているゼ」と言いたくなる。
https://www.healthvault.com/AS/ja/overview

問題はそちらにある」と言いたいところだ。

PS
書いた後で気がついた。女医さんが内心思っていたことは「カルテを読まないといけないじゃないの、診療報酬は変わらないのに面倒!」ということだったのだろう。それなら納得だ(笑)



『フラット化する世界』7
ここで将来どのような職業が新たに生まれ、またある職業はインドや中国にあうとアウトソーシングされるのか、子供にどのような勉強をさせたら失業しないで済むかという質問が出てきそうだ。

それについては既に個人的な答え(いつもの独断と偏見だが)を持っている。すなわち、

『それは判らない』 

ということ。10年後20年後にどのような技術革新や社会変化があるか容易に予測出来ないということもあるが、それ以上に重要なのは、

それが判れば、誰でもそれに向かって進むだろうから、その分野はコモディティー化する

からだ。当然だろう?! 実はこの著者も同じようなことを述べている。それが第7章の「理想の才能を求めて」まず、第一に色々な勉強をすること。第二にナビゲイションスキルを身につけること。つまり良いものと悪いものを分別し、篩にかける能力。p106(中巻)そして、第三に熱意と好奇心を失わないこと。(あるいはそんな気持ちを引き出す教師を選ぶこと)p110 そして第四に教養の重視ということらしい。最後のは分かり難いが、多分第一と重なるところがあるだろう。p113(中巻)

ここで非常に示唆的なことが書かれてあった。曰く、

『これまでのところ、アメリカは、仕事を外国に渡すまいとする保護主義者に屈していない。…アメリカはできるだけ、開放的かつ柔軟でなければならない』p131

ところが今、トランプ次期大統領の誕生により、それが危うくなっている。どうだろう? それに関連して著者は以下のマッキンゼーの役員、フォスターの言葉を引用している。

『中国やインドなどのアジア諸国のイノベーションは、リスクに晒されるリスクを保護する法律ができないうちは無理』 という言葉である。つまりコピー天国ではイノベーションは生まれないということだ。p135
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2016/12/4

『フラット化する世界』6  お勧めの1冊

出張時職場に届いたメールはすべて転送しているが、緊急内容を除き放置。そうすると復帰後、山のようにメールが溜まっている。今回は66通。うち半分は宣伝とFacebookからのお知らせ。宣伝は人材紹介とバイオ関連企業、それに最近流行りのOnline journalからの論文投稿のお誘い。すべてまとめて削除。残り半分のメール処理に土曜の午前中はまるまる潰れる。提出書類は3通、あと1通あるがこれは調整が必要なので来週まで持ち越し案件。

FacebookなどのSNSはいまは全くやっていないが、昔Facebookやmixiが出た時にうっかり入会したもの。全く利用価値がないわけではないが時間の無駄なので利用せず、また閉鎖せずにもいる。それでこうして連絡が来る。




<繰り返しになるが…>
『死者の棲む楽園』 を読んでいる途中でトランプ氏が次期大統領に決まった。

一瞬、 「もっと知るべきことがあるだろう!

という気になり、こうした浮世離れした本から一気に興味が失われた。 そして読みはじめたのが、『フラット化する世界』と『街場の憂国論』。 すぐこれらの本を引っ張り出したのはトランプ現象に関わるものであることを前々から感じていたから。

前者はトランプ現象を引き起こした社会の地殻変動をいち早くドキュメントタッチで描いたものだが、それでもこの著者、トーマス・フリードマン氏にとって、今日のトランプ現象は予想外だったにちがいない。

それに対して、後者の著者である内田氏は前からこうした潮流をトッド氏同様に予言していた。最近、トランプ大統領を予言したとしてマスコミの寵児になっている政治学者やジャーナリストいるがそれとはちょっと違う。世論調査の方法論の問題からではなく、トッド氏は米国人の生活水準の変化や、死亡率からの予想であり、方や内田氏はポストグロバリズムの世界へ行き着く先への眼差しから来たもの。 レベルが違う。


『フラット化する世界』6
フラット下、これからも生き残る職業とは? これについては、これまでアウトソーシングされた職業のリストが参考になる。組み立てラインの労働者、データー入力、セキュリティー分析、経理関係、放射線技術者などを挙げる。p69(中巻)

つまり、フラット化した世界に見合ったスキル(たとえ一時的でも)と地元に密着した民。p72 でもそれだけではダメ、それに「スイスアーミーナイフ」のように“何でも屋“であることが必要だという。p84 『数学や科学で高い技術的スキルを身につければ、就職はできるけど、それだけではずっと仕事をやっていくことは出来ない… 仕事を続けるには幅広い視野を育てることが必要』  

何故なら、『これまでやってきた仕事はみんな、無くなっているから』p87

そうした中、著者は『教育や競争の問題で、国中に不安の底流があることに愕然とした』と著者は言う。『(我々の世代は)親たちのように安楽な引退生活は送れないだろう』というものだったと。 p103

我々のように先が見えている者は怖いもの知らずだが、これからのお子さんを持つ親御さんは心配だろうな〜
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2016/12/3

『世界の野菜を旅する』4 & 『フラット化する世界』5  お勧めの1冊

いやはや驚いた。今『街場の憂国論』という本を読んでいるがその中で内田氏は、

『(次の大統領は)アメリカはアメリカのことだけを考えればよいではないか』 という国民の声に屈服するだろうと。

この文章が書かれたのは2012年であるが、今日のトランプ次期大統領の出現を予言するもの。しかも、これはこのところマスコミを賑わす「世論調査の問題点」から来たものではない。ポストグロバリズムの世界への眼差しから来たもの。流石と言う他ない。つまりトランプ氏はその意味でよくも悪くも現代米国人を体現する存在なのだろう。


『世界の野菜を旅する』4
人参の根が赤いのは17世紀、オランダで赤橙色の品種が開発されたことによるとか。p171

ここで山の神と水田での稲作に対する焼畑での根菜(タロイモ)作との闘争が語られる。確かにこうした民俗学的話は面白いが、それ以上のものではないな、と最近感じるようになった。それは多分自然科学的な実証的論拠に欠けていると感じているからだろう。p196

白菜は日清、日露戦争後、山東に出兵した日本軍によってもたらされた新しい野菜。p205 これについては、以前に『東アジア地図帳』 という本で始めて知ったが、普段鍋料理とかで日本食材として感じていた者にとっては意外なこと。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/2923/trackback



『フラット化する世界』
『フラットな世界ではパロアルト(昔ここに私は住んだことがあるので、面白く読んだが)の住民は上海やバンガロールの住民と利害を共有している』p40 という。つまり、国家という枠にとらわれない世界が動き始めているということだろう。またこうも著者は言う。

『フラットな世界では、商品だけではなく、サービスの貿易が格段に増える、このサービスはアメリカの中産階級を支えており…』p47 

そう、すなわち彼らから仕事がアウトソーシングされるということだ。 だから、子供たちに今何を伝えるべきか? 昔は、

『ご飯をちゃんと食べなさい、中国とインドの人たちは食べるものもないのよ!』 

だったのが、今ではその代わりに、

『宿題を済ませなさい、中国とインドの人たちがお前の仕事を食べようとしているぞ!』 だそうだ。p65

この本が書かれたのは10年前である。従って、言われた子供たちは今や大人になり、実際に彼らの仕事が中国やインドの人たちに食べられていることだろう。
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2016/12/2

『世界の野菜を旅する』3  お勧めの1冊

2日目木曜は雨だし。関連分野がないので午前中はゆっくりし、昼から異分野勉強。

<異分野学習の日>
「最先端の化学と生物学のミックス」というシンポジウムで本当に異分野の先生が招待講演をされた。講演の先生は自ら化学合成屋を自称。曰く、

『これまでの化学合成はステップが多いので回収率が低くなる、だから1ステップでの合成を目指すというもの、称して:C-H coupling』

確かに私も昔、薬学部の先生に入門して有機合成を試みたことがあるが、回収率がいつも問題だった。例えば回収率が各ステップで50%として、合成に4段階あれば最終産物は(1/2)^4=1/16=6.25%。もし、合成ステップを1コで済ませることができれば、これが50%になる。先生曰く、「優秀な触媒を使えばそれが可能になる」とのこと。こうした先端的研究センターが名古屋大学に設立されたらしい。ITbM、今後の進展が楽しみだ。
http://www.itbm.nagoya-u.ac.jp/index-ja.php



『世界の野菜を旅する』3
三段鍋=最初はポン酢で、2回目は牛乳を入れてクリームシチュー、3段目はトマトとカレー粉を入れてカレー。

ナスの原産地はインド北部というのが定説とのことで、
インドでは、   サンスクリット語でヴァタン・ガナ
ペルシャへ伝わり、 バディン・ガン بادمجان
アラブに伝わり、 アル・バディン・ガン باذنجان
スペインのカタラン語で アル・ベルジニア albergínia
フランス語で、 オーベルジーヌ aubergine


英語では、実をオーベルジーヌaubergine、木はその卵のような実の付き方からエッグ・プラントeggplant 米語では、どちらもエッグ・プラントと呼ぶようになったとか。

ちなみに英語でエッグ・プラントと呼ばれるきっかけは最初に伝わったナスが小ぶりで白く、実がついていたからだとか。p137〜8

最初の頃は苦味が強い品種で、9世紀頃アラブ人が塩をふりかけ、苦味分を出して食するようになったからではあるが、それでもその苦味はこのナスに悪い印象を与えていたようだ。p138 それで、ヨーロッパでは確か、魔女の薬草の中にもこのナス(ナス科のマンドラゴラ)が含まれていた記憶がある。これについてはいずれ調べてみたい。

流石、もともと東大仏文科を卒業後、パリ大学言語学研究所に留学し、翻訳業をされた著者ならではの解説。
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2016/12/1

『世界の野菜を旅する』2  お勧めの1冊

<異分野学習>
今年も網羅的検索法シリーズがマイブーム。 某WS招待講演者に北京大学の若い研究者のtalkを聞く。Webで同氏のいままでの仕事を確認。 初めて知ったが北京大学はBeijing Univ.ではなくPeking Univ.とのこと。意外でした。
http://www.chem.pku.edu.cn/sfbc/webcontent/default_en.asp?ID=1355&pageID=44

化学修飾法を取り入れ、生体内に存在するmRNAの修飾塩基を網羅的に解析する手法を開発。ここでのポイントは網羅的ということ。mRNAのコーディング領域に頻繁(とは云え〜0.3%程度)に見つかる修飾。あるいは5‘側の非翻訳領域に頻繁に見つかる修飾。何かしらの生物学的意味がありそうだ。こうした微量の修飾を網羅的に解析するのはお金がかかるし、Big Data を上手に扱うことも必要。こうした分野はお金も人手もある中国が得意。tRNA上の修飾塩基が重要な生物学的意味を持つことは昔からよく知られているし、関連する病気があることも知られているがmRNAではまだ判っていないことが多い。この分野も近いうちに全貌が明らかになるだろう。



『世界の野菜を旅する』
バイキングの主要な収入源は略奪だけでなく、タラの干物の交易。だから降って16世紀にはバスク、スペイン・ポルトガル・フランス・イギリス・オランダが入り乱れての「タラ戦争」もあったとか。p66 

スープというのはもともとパンのことらしい。12世紀末に現れた言葉で、どうやら硬くなったパンを汁に浸し柔らかくなったものを食べたことから。p73 その後、ポタージュという言葉が生まれたが、これはこのスープにパンの他に様々な具材、野菜や肉を入れたもので、時代が進むにつれて豊かになってきていることを示す現在フランス語でも家庭菜園のことをpotager(ポタージェ)というらしい。

新大陸からきた主要な野菜に先のジャガイモの他に、トマトや唐辛子がある。今日、ジャガイモ抜きのドイツ料理、トマト抜きのイタリア料理。そして辛くないカレーや四川料理、キムチが考えられないが、全て近世になってからのもの。そういえば中華的な「炒める」というのも鉄鍋が普及した宋代以降の料理だと前にも出てきたね。
http://blue.ap.teacup.com/applet/salsa2001/3822/trackback

ちなみに、15世紀以前のインド人は辛くないカレーを食べ、唐辛子が伝わる前の朝鮮半島では野菜を水に沈めた(沈菜)赤くも辛くもないキムチが食されていたとか!p89

人は30年以上前からあるものは、「昔からある」と無意識に考えている節があるということを聞いたことがあるが、数世紀前ならなおのこと。
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2016/11/30

『世界の野菜を旅する』  お勧めの1冊

分子生物学会に出席のため、朝から神戸へ。今回はWSとかのオルガナイザーでもなし、発表も個人ではないので気楽に参加できる。

朝から快晴で富士山が美しい。

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羽田から直接ホテル(Intercontinental YOKOHAMA Grand hotel)に直行するリムジン(東急バス、みなとみらい地区行き、720円)があることを羽田に到着してから知る。豪華すぎるホテルでもったいない感じもするが、パックだとそれほど高くもないし、会場にホテルがあるのはとても便利。

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この巨大学会、専門外のセッションが多く、時間を持て余すことがあるのでその間、休憩もできる。ま、普通はテーマを決めて専門外の勉強に当てるが… 今年はハイスループットがマイブーム。 ハイスループットというのは、数万、数十万の候補化合物とか、遺伝子を網羅的に検査、分析する最近流行の技術。何か面白い発表があるかな?

飛行機の中で気楽に読める本として選んだ1冊が以下に紹介する、『世界の野菜を旅する』。行きの飛行機内で半分くらい読んでしまう。流し読みできるタイプ。『フラット化する世界』は始まったばかりだが、順序を変えて紹介する。

『世界の野菜を旅する』
講談社現代新書2055、玉村冨男著、2010年初版。

キャベツはもともと結球する野菜ではなく、ポルトガルとかではタバコのように生えるキャベツが今でも主流。p14 キャベツはアブラナ科だが、キク科のレタスも同様。p16 なおレタスの「レ」はカフェオレの「レ」と同じで「乳」の意味。切ると乳状の細胞液が出る。これが美味らしいが、収穫してから時間が経つとこれが枯れてしまうので、畑で採れたばかりのもとと市場に出ているものでは味が違うらしい。p21

saladのsalは「塩」からきたもの。ドレッシングの語源は「ドレス」、だから塩は表面だけ、漬け込むと「マリネ」となる。塩・油・酢のドレスを纏うには水分をよく切る必要がある、それでないと油分がうまく表面にまとわりつけない。p28

ジャガイモは新大陸原産だが、今では旧大陸の主要な食源となり、これなしではすまない。とりわけ、飢餓に襲われたアイルランドでこの食材が人々を救い人口を倍まで増やし、それが同時にベト病で100〜150万人以上の餓死者を1845〜51年にかけて出したのは有名。昔の同居人のKellyもそうしたアイルランド移民の子孫であることを自認していた。
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