2017/5/15

『虚構のアベノミクス』  お勧めの1冊

先日ダイヤモンド社の雑誌で久しぶりに野口氏の記事を見たので、最近の本を探してみる。少し前のだが今でもアベノミクスは進行中だ、十分に話題性のある内容だろう。


『虚構のアベノミクス』
野口悠紀雄著、ダイヤモンド社、2013年初版。

著者はいう、

『「リーマンショック後の急激な円高が日本の輸出競争力を弱め、それが日本経済回復の障害になっていると」言われた。しかし、急激な円高の時代に、日本の実質輸出は(大震災の影響を除外すれば)減ったのではなく増えた』ことを指摘し、こうした議論が事実に反することを示す。p37

こうしたことは以前から見聞きしていたので、何も目新しいことではないが、こうした議論はなぜか話題にならない。その代わりに「諸悪の根源は円高」という声の方が大きい。
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実際に円安と株高は設備投資も、賃金上昇にも結びつかず、外国のヘッジファンドに利益を与えただけという指摘に対し。p261 円安至上主義の経済評論家はまともに答えるのを聞いたことがない。円安にしておけば、輸出企業は売り上げが変わらなくても為替レイトだけで、ドルから円に替えれば利益が<計算上>上がるのは高校生でもわかる理屈だ。著者によれば、それでも円安輸出主導成長が実現したため危機感が薄れ、本当にしなければならない経済改革が遠のいたことを心配されている。p219

そのあとに続く議論も何度か聞いたような話が続くので、最後の日本経済を立て直す処方箋として野口氏が何を提言するかに興味を持ち、最後の章を先に読み始めた。予想されたことだが、同氏の結論は「日本経済の立て直しの第一歩は教育」という1点だ。そしてその点で大学の責任は大きいという。日本の大学、特に工学部は「ハードからソフト」という1980年代の技術変化に対応できなかったと指摘。p241 また大学院教育を英語以外の言語で(=日本語)行うのは世界の常識から外れているという。p243 まさに同感。私自身英語は得意ではないが、大学院教育は英語が基本だと思う。

実は留学生むけの特別授業で何度か英語での授業はしたことがある。準備にもちろん多大な時間を取られるし、英語の下手さを補うために図表や動画を多用して誤魔化した部分もある。しかしどうだろう、その方がむしろわかりやすくなったかもしれない。それだけの工夫をやはり日本語での授業でもすべきだと考え、今では動画や図表をたくさん取り入れている。もちろん自分で作るのは大変なので全てインターネットに接続してのことだが、それも効果があると今では考えている。


話を元に戻すと、著者は最近日本人のノーベル賞受賞が多い点についても、野口氏は山中氏を除き、すべて過去の成果、過去の栄光で現在の科学力とはずれがあるという。これもよくこのblogで議論するところ。あと20年もすれば、否10年で今後は中国から、ノーベル賞受賞者が出てくるだろう。

所謂、中国通という人でも、まだ中国の科学技術は日本に比べ遅れていると公言する人が多いがそれは上を見ていないだけだ。あれだけ大きな国だから下ばかり見ていたらめダメだ。というか上をみる能力がないだけの人たちなのではないか?
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