今回は少しだけ、まじめなお話です。
バレンタインデーの前日である昨日2月13日、オーストラリアでは、歴史に残る出来事がありました。
現オーストラリア首相ケビン・ラッド氏が、過去にオーストラリア政府が先住民アボリジニに対して行った、「アボリジニの子どもたちを親から引き離し【野蛮な】アボリジニ文化ではなく【進んだ】ヨーロッパ式教育で育てる」という政策は間違いだったと認め、コミュニティから引き剥がされた被害者であるいわゆる「盗まれた世代(Stolen Generation)」とその周りの人々に対して、公式に謝罪しました。
実はこのネタは、昨日、書こうかどうかとても迷って結局やめました。
聞きかじった程度の知識ではとても書けない、書いてはいけない内容だと思ったからです。
そして何より、
昨日のブログ投稿の最後にちょこっとだけ書きましたが、オーストラリアに住んでいる限り、私も部外者ではなく、アボリジニ側からみれば「加害者」です。
何をどんな風に書いても偽善者にしかならないように思えて、結局「ちょこっと」しか書けませんでした。
でも、昨日の演説とその報道には、何だかすごく心地よい感動を覚えてしまったので、偽善は承知の上でやっぱり書きます。
「金は出すけど謝罪はしない」と言い張っていた前政権よりも、「謝罪はするけどこれ以上の金は出さない」と明言した現政権の方が、より現実的で正しい判断だと私は思います。
現在アボリジニは政府に手厚く(かどうかわかりませんが少なくとも金銭面では)サポートされていて、働かなくても生きていけてしまうので一日中何もせず酒を飲んでは暴れて問題を起こす人も多い(かどうかはわかりませんが「多くいる」と思えてしまうほどそういう人たちが目立っている)といわれています。
私が初めて「盗まれた世代」と呼ばれる人たちのことを知ったのは、2000年のシドニーオリンピックで金メダルを獲得し、日本でも一躍有名になった陸上競技選手、「キャシー・フリーマン」がきっかけでした。
キャシー・フリーマンのおばあさんは、「盗まれた世代」の犠牲者だそうです。
彼女が金メダルを獲得したレースの後のウィニングランで、オーストラリア国旗と一緒にアボリジニの旗を持って走ったことで、オーストラリアでは賛否両論の議論が巻き起こりました。
「賛」はともかく、「否」の反応に、私はびっくりしてしまいました。
それまでもアボリジニに対する差別があることは知っていましたが、こんなに根強いものだったんだとクラクラしました。
ですが、実は最近は、私の身近では、アボリジニ関連の話はまったく聞かなくなりました。
それは「差別が無くなった」ということではなく、アボリジニの人たちがいなくなってしまったからです。
前述のとおり政府からの手厚い保護で、働かなくても生きていけると言われている彼らですがやっぱりどちらかというと貧困層に属する人が多いように思います。
貸家に住んでいた彼らは、ブリスベンの急激な不動産の高騰で、出て行かざるを得なくなってしまいました。
息子のタカヒロには、小学生の頃、二人のアボリジニ系の友達がいました。
でも、現在小学生の娘のモモカには、一人もいません。
そもそもクラスにアボリジニの子がいません。
アボリジニの血を受け継いだ子はいるのかもしれません(※現在のオーストラリアでは「純粋なアボリジニ」は多くはありません)が、少なくとも、公言している子は、モモカの周りには一人もいません。
そんな中で、モモカは学校で、アボリジニ文化の教育だけは受けてきます。
「エアーズロック」は俗称で、正式名は「ウルル」ということも、学校で習ってきました。
でも、なぜ二つの名前が存在するのかまでは習ってきません。
今まで自分たちがしてきたことを否定すれば、自分たちが信じて築き上げてきたものを足元から救われる危険性を現代のオーストラリア社会ははらんでいます。
でも、これはオーストラリア国家特有の問題ではありません。
いろんな国が、同じような問題を抱えています。
きちんと「謝罪」した現オーストラリア政府に、何だかすごく好感を感じた私です。
愛を贈りあう日の前日に、いいニュースがあってよかったなぁ、という思いです。(※余談ですが、
オーストラリアのバレンタインデーは「女子が好きな男子にチョコレートを送る日」ではありません!)
謝罪演説にもありましたが、これは「最初の一歩」です。
小さな一歩かもしれないけれど、「最初の一歩」を踏み出さなければ、物事は進みません。
着実に、前に進む歩みであってほしいです。
なお、今回のケビン・ラッド首相の謝罪演説は下記のリンクから全文が読めます。
http://www.news.com.au/couriermail/story/0,23739,23208304-952,00.html
新聞記事なので数日中には消えてしまいますが、それまではこのページから実際の演説のビデオ映像や関連項目も参照できます。
それぞれの記事には読者のコメントがついていて、そうか本音ではこんなことを考えている人もいっぱいいるのだなぁと暗くなったり、逆に嬉しくなったり・・・。
キャシー・フリーマンがたたかれたように、そのうちに、アボリジニの人たちがそれ以外の人種のオーストラリア人を脅かすくらい台頭してきたら、きっとまた新たな問題が勃発してくるのでしょうね。
それはもしかしたらそんなに遠い未来のことじゃないかもしれません。
でも、キャシーを非難した人以上に、あの時にも、オーストラリアにはキャシーの味方もたくさんいました。
私も含めて、オーストラリアに住む人々(だけじゃなくて、同じような問題を抱える国の人たち)の心が、その日までにもっともっと成長しているといいです。
以上、エラそうに語ってみました。
長々と長文にお付き合いありがとうございましたm(__)m
メモ:
アボリジニについての説明とその問題の概要は、wikiにコンパクトにまとめてありました(日本語です)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8B
「盗まれた世代」についての説明はこちら(もちろんこれも日本語)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%97%E3%81%BE%E3%82%8C%E3%81%9F%E4%B8%96%E4%BB%A3
どなたがまとめたのか存じませんが、すごくわかりやすい導入です。ありがとう!>まとめてくださった方!

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