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m-louisさん、「団地」記事に対するコメントありがとうございます。このブログでは、1000字までしかコメントをかけませんので、ひとつの投稿にしてお返事いたします。このような建築物の保存に関して、「整理不能状態」ということ、この手の問題の難しさ、私もよくわかります。自分の仕事(専門)の立場から、少しだけ述べてみたいと思います。
■以下はあくまで一般論ですが…。建築関係や文化財関係の専門家は、あるいはその建物に深い関わりや関心のある人たちは、その建物や建物に付随する環境をも含めて、そこに価値を「見出す」ように思います。そこに、本質的に保全すべき価値が存在していると考えるのですね。ところが、世の中には正反対の人がいます。そういう人びとにとっては、団地もそうでしょうが、単なる不便で老朽化した建築物ということになり、そこに保全すべき価値を見出すことができません(現実には、両派を軸とする人たちのあいだには、様々な立場が存在しうると思います)。
■そうなとる、建築物をめぐって、様々な人たちが、それぞれの立場からその建築物を「定義」し、その「定義」がぶつかりあう状況が生まれます。お互いが批判(非難)をしあい、両派のあいだに問題解決にむけてのコミュニケーションがなかなか生まれません。事態は悪い方向にいってしまいます。ですから、m-louisさんが「その判断のつかなさぶりが加速」したとお書きになるのを読んで、「その通りだよな〜」と思います。
■通常、このタイプの問題は、当該の建築物が解体されることが決定してから、解体か保存すべきかをめぐってをめぐる争いがおきます。定義のぶつりかりあですね。しかし、解体をする当事者は、すでに解体をするだけの様々な事情を抱え込んでいて、その段階になると、保存派の主張に耳を傾けることができなくなっています。
■これはあくまで一般論でしかありませんが、このような建築物の保存に関する問題を見ていてつくづく思うのは、解体が決定される以前に、その建物に関して、ポジティブに評価し(「こんな建物を大切にしてくれてありがとう」)、そのような評価をするネットワークを社会的にも拡大し、またその関係者に対してもその評価のネットワークのなかに入ってもらうことが重要かと思います(そのような可能性を、ある自然保護運動で学びました)。事前のそのような一定の努力が必要になると思います。保存派にとって、エネルギーが必要になりますが…。ただし、ある保存運動が小さな突破口をあけると、それがきっかけとなって、その波紋が、様々なメディア(ブログ等を含む)を通して、全国のあちこちに運動が展開していく可能性はあります。
■以上の問題とは直接関係はしませんが、少し似たような事例について、以前、小論を書きました。もしよろしければ、ご笑覧ください。
http://www.aihc.jp/genba/morioka.html
【追記1】あまり、うまく説明できているように自分でも思えません。保存派としては、解体に対する社会的な抑止力を高めておくといいますか…。「ああ、これは下手に解体できないよ、いじれないよ」という形にしておくことでしょうか。また、ただ保存しろと主張するだけでなく、その建築物に公共的価値が存在すると主張するのであれば、その建築物の維持に必要な費用をどのように社会的に負担していくのか、そのあたりのことも同時に考える必要があるように思います。ただし、都城市民会館のように建築史的にも価値があると専門家からの評価がある公共建築物から、私企業のビルや個人の住宅にいたるまで、様々なケースがありますから、一律には対応できないとは思います。
【追記2】『
有楽町日比谷地区のまちづくり提案 三信ビル保存プロジェクト』という取組をしているグループがあります(m-louisさんは、もちろんご存知ですね)。三信ビルは、結局、解体されるようですが、このような保存運動に対して上記のサイトでの報告からは、敵対するのではなく、前向きな提案をも含めて相互に理解しあおうとする形でプロジェクトを進めてこられました。それは、次のようにも書かれていることからもわかります。
「保存をお願いする立場としては利益を優先せざるを得ないがゆえの解体かと考えてしまいがちですが、それに関しては応対くださった方もはっきりとノーをおっしゃってました。私たち保存プロジェクトと敵対関係にある、と世間から単純に見られてしまうのは残念であり、また三信ビルを大切に思う気持ちは皆さんと共有しています、ともお話くださいました。社としても三信ビルの重要性は認識しているからこそ、今後の方針には時間をかけて検討したいとのお返事を頂戴しました。」
「なんだ、結局、解体されるんじゃないか」とお思いになる方もいらっしゃるでしょうが、三信ビル保存プロジェクトの皆さんは、それでもこの三信ビルに関する社会的コミュニケーション(解体にもかかわらず、署名を再開)を維持しようとつとめておられます。解体について厳しい批判的なコメントをされる方たちにも、このプロジェクトの立場から粘り強くコミュニケーションを維持しようとされていることを強く感じました。私は、そのことに注目したいと思うのです。

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