「地域づくりとソーシャル・キャピタル=社会関係資本」
環境/まち・岩手

■前回のエントリー「
座敷童子の里の地域づくり」に引き続き、岩手県は二戸市からの報告です。前回のエントリーでもお伝えしましたが、18日は、二戸市・金田一温泉にある「
緑風荘」で、「
NPO法人カシオペア連邦地域づくりサポーターズ」から助成金を受け、現在もこの地域で活躍されている地域団体の皆さんが集まり、「サポーターズOB会」が開催されました。そのとき、OB団体の皆さんといろいろお話しをさせていただきました。とても印象の残ったのは、次のようなことです。「
活動資金が欲しくてNPOの助成事業に応募したが、結果として、良かったと思うことは、今まで知らなかった人たちと知り合えたことだ。」
■このことを聞いて、すぐに思い出したのは、ずいぶん以前(2005/9/15)に、函館の地域づくり活動に関連して投稿したエントリー「
函館の「バル街」と社会関係資本(その4)」です。そのなかで、私の先生(師匠)でもある鳥越皓之さんの文章を引用させていただきました。以下のようものです。
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「日本の各地で行なわれているまちづくりや、あるいは最近の地域通貨などが行なわれている現場に行き、関係者に聞いてみますと、このような活動をしていて何がもっとも得る価値のあるものかというと、今まで知り合うことのなかった人々とのコミュニケーションができることだという指摘を、しばしばされます。これこそが実は、ソーシャル・キャピタル育成のプロセスであり、わが国にも自発的に求められはじめた現象だと言うことができるのです。」
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「サポーターズOB」の皆さんは、
ソーシャル・キャピタル=社会関係資本などという言葉はお使いにはなりませんが、NPOの助成事業に関るなかで、この地域のなかに、少しずつ社会関係資本が形成されてきていることが窺えます。
■そもそも、この「
NPO法人カシオペア連邦地域づくりサポーターズ」が設立された背景には、地域で活動されていた人びとの切実な思いがありました。「ああ、もうちょっとだけ資金があれば、もっと幅のある活動ができるのになあ〜」。そこで、このような地域活動をされてきた人びとが集まりNPOを設立し、会費・寄付・補助金等で活動助成資金を用意して、様々な活動団体に、公開の場での審査を通して助成金を交付する、助成事業を始められたのです。今年度で、この助成事業は6回目になります。
■助成金事業を通じて、団体の活動に幅と深みが出て、団体のまわりの地域社会や人びとの意識が変化していくことが大切なのですが、同時に、「
活動資金が欲しくてNPOの助成事業に応募したが、結果として、良かったと思うことは、今まで知らなかった人たちと知り合えたことだ」という点を、助成事業に応募した皆さんが自然に強く意識するようになってきたことが、とても重要だと思うのです。団体が地域づくり活動をしていくうえで、たしかに、「お金」(資金)は重要な存在です。しかし、社会関係資本は、一般の財やサービスのように貨幣で市場から調達することはできません。それは、自分たちで時間をかけて構築していくしかないのです。もちろん、審査員である我々は、他の団体との連携の重要性を常にアドバイスしてきましたが、実際に他の団体と交流し協働していくなかで、そのような貨幣では得ることのできない、もっと別の価値の存在の重要性を、身をもって感じておられるのでしょう。

■さて、冒頭の写真、このブログに何度もご登場いただいた、「どんぐり村」の村長さん・赤屋敷信一さんです。「どんぐり村」については、「
2つの『森』の思想(その4)『どんぐり村』」、
「2つの『森』の思想(その5)『続・どんぐり村』」、
「生きる×2 どんぐり村」、
「めざせ、カシオペア連邦の大地!!」(pdf)といったエントリーやpdfファイルでご紹介してきました。写真は、19日(日)に開催された「第6回地域づくり助成事業中間報告会」のときのものです。今年度、「どんぐり村」は3年目の助成(3年で助成は終了します)です。信一さんは、今年度、「どんぐり村」内部に作った足湯の施設について報告されました(左上の写真)。今年の夏、「どんぐり村」を訪問したときには、すでにこの足湯の施設は完成していたましたが、夏にゆっくり入ろうという気持がおきなかったので、雪の降る冬に、再訪して足湯“デビュー”したいと考えています。
■信一さんの「どんぐり村」には、今年の夏、私が勤務する大学の学生たちとともに体験学習をさせていただき、大変お世話になりました(詳しくは、
こちら)。また、そのときにはテレビ局からの取材があり、その時の様子は、早朝の全国番組「生きる×2」で放映されました(詳しくは、
こちら)。信一さんのお話しでは、この番組をご覧になった四国は高知県の皆さんが、訪ねてこられたというのです。それも、たまたま岩手県にいく用事があったとか、なにかのついでに「どんぐり村」を訪問したというのではなく、「どんぐり村」の訪問を目的にやってこられたというのです。いや〜すごいですね。
■信一さんに「あんなに早朝の番組でも、ちゃんとご覧になっておられる方がいらっしゃるのですね〜」とお話ししたところ、「そりゃ、100人いれば、1人くらいは見ていますからね」(ご本人は岩手弁)とのことでした。あらあら、おっしゃる通りですね。信一さんのお話しでは、学生とともに番組のなかに登場したことで、結果として、少しは「どんぐり村」のお役に立てたようです。安心しました。

【左】二戸市浄法寺町で活動される「
岩誦坊クラブ」の田口さん。昨年度で3年間の助成金が終了しました。中間報告会のあと、OBとしてスピーチをされました。【右】前・審査委員長である東京大学の北澤猛さんが「カシオペア連邦のこれからの地域づくりについて」に関して講演を行ないました。

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