高橋健一郎研究室BLOG

言語や音楽(主にロシアのピアノ音楽)、大学での仕事などに関する雑文、読書日記などのBLOGです。
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投稿者:Takahashi
passionbbbさま

Дунай=дуновениеという説は、ロシアでも一部の研究者が唱えているだけで、定説というわけではないようです。挙げてくださったチャイコフスキーの第5曲のは、確かにドナウ川っぽいですね。まあウクライナの一部も流れていますから、民謡でドナウ川が歌われること自体はそれほど不思議ではないのかもしれません。

この歌をチャイコフスキーがなぜ1812年に使ったか、私も興味がわいてきましたので、時間ができましたら調べてみたいと思います。
投稿者:passionbbb
お忙しそうなのにまたしても
ご丁寧にご迅速なるコメ返し、
いたみいります。

<ドゥナーィ=ドゥナヴィェーニエ>!
そういうことなんですね。ただ、
チャイコフスキーが編んだ「50曲のロシア民謡集」には、第5曲にも、
"Не разливайся, мой тихой Дунай
というのが収められてます。
これはその詞の意味からどう考えても、
「ドナウ川」ですが、しかしまた、ここにも、
[На свадьбу приду ?
всех гостей взвеселю,
Паче всего ? невесту твою]
というように、スヴァーヂバやニヴィェースタなんていう語がでてきます。

<パローィ=パラーの造格>!!
に気づかず、よけいなお手数をおかけしました。

<紅茶とコーヒーを飲ませろと>は、
[В светлой горенке держать,
Чаем-кофеем поить.
Чаем-кофеем поить,
И конфетами кормить.]
という最後のくだりですね。で、その
「紅茶とコーヒーを」の
「チャーィム=コーフィーェィム」というのが、
「Чайковским(チィコーフスキム)」に似てる、
という語呂合わせも、チャイコフスキーがこの民謡を
使ってみようと思った理由かもしれませんね。それから、
конфетаはキャンディとか菓子などという意味のようですが、
イタリア語のconfettoはドラジェであり、
結婚式で花嫁が客に配る風習があるので、
そういう意味でも「花嫁選び」なんですね。

しかしながら、
「花嫁選び」と「門」がなぜ結びつくのか、
そして、
チャイコフスキーはなぜこの民謡を「1812年」に採り入れたのか、
難解きわまりません。

また長々とすみませんでした。
投稿者:Takahashi
passionbbbさま

この民謡には、(Дунай мой...)というリフレインがあるんですね。

@まずこのリフレインは非常に古くからあるロシア民謡の中でたまに使われているもので、もしかしたら特に意味はないかもしれません。これは川の名前ではなく、дуновениеと同じ「風のそよぎ」という意味だと主張するロシアの研究者もいるそうです。

A「父の門」というのは私も良く分かりません。

B「гудочек под полой」
のполой は「低湿地」ではなく、
пола「裾」の造格ですので、「裾の下に
グドークを持っているという意味になり、
これはよくあるフレーズです。

C調べてみたところ、この歌詞の続きもあって、

グドークが私に結婚しろと命じる、
年取った女をめとって、散財し、キセーリを食わせ、ミルクを飲ませろと。
グドークが私に結婚しろと命じる、
美しい乙女をめとって、散財し、紅茶とコーヒーを飲ませろと・・・(全訳ではありません)

というような感じで続いていくので、だから「花嫁選び」の歌なのだそうです。

民謡の歌詞に関しては私は勉強不足で良く分かりませんが、特に踊り歌の場合、深い意味もなく、単に語呂合わせで歌われている部分もあるかと思います。日本語の歌でも例えば「ずいずいずっころばし」とか「おちゃらかほい」のように、もともとは意味があっても、その後ただ語呂の面白さだけが残って、意味が意識されない歌詞もありますが、このロシア民謡もそれに近い部分があるかもしれません。
いずれにしても、近いうちにロシア人にきいてみます。
投稿者:passionbbb
唐突にぶしつけなお伺いをしてすみませんでした。
"門前"払いでもおかしくないのに、
お忙しい中、早速にコメント返ししてくださり、
ありがとうございます。"У ворот"は、
バラキレフの「30のロシア民謡集」には入ってなかったと
思いこんでました。ともあれ、
歌詞の概要を教えてくださり、大変に助かります。ただ、
「花嫁選び」にしてはずいぶんと無関係な言葉が羅列されていて、
裏の意味がかけられてるのではないかと勘繰ってしまいます。
歌詞のはじめのほうでは、
・なぜ「ドナウ川」なのか?
・「父の門」とはどういう意味なのか?
など、釈然としません。
「1812年」を作曲した1880年の初頭に
チャイコフスキーは父を亡くしてますが、
それが何か関係してるのかどうかはともかく、
後半の、
身につけるものと体の部位を並べるくだりで、
・なぜ<И гудочекъ подъ полой>の、
グドーク(グドーチキというのかグダチェーキというのか解りませんが、
指小辞でしょうか)だけには、
<полой(低湿地?)>
というような「体の部位でない語」が並べられてるのか、
というあたりが判然としないのです。
полойはドナウ川の河口のことなのか、гудокには
楽器の意味と船の汽笛の意味がかけられてるのか、など、
私には非常に難解な"民謡"です。
何かのおりにでもまた、ご示唆をお与えいただければ幸いです。
投稿者:Takahashi
passionbbbさま

拙著を呼んでくださり、ありがとうございます。

ロシア民謡の"У ворот"ですが、私もそれほど詳しいことは分かりません。ロシアのサイトの情報によれば、もともとはバラキレフが採譜したもので、スコモローヒ(旅芸人)の歌が起源の、花嫁選びに関する踊り歌だそうです。チャイコフスキーの「1812年」の中でこの曲はロシア兵の勇敢さを象徴しているとされています。

歌詞の概要は「門の前でみんなは良く遊び、楽しんだが、自分だけは調子が悪い。こっそり抜け出して遊びに行こう。長靴をはき、外套を羽織り、帽子と手袋を身に着け、そして銀色の弦のついたグドーク(ロシアの弦楽器)をもって」というような感じですが、それがどうして上で記したような意味合いが出てくるのか、正直私には分かりません。もう少し丁寧に調べて、分かりましたら、またお知らせします。
投稿者:passionbbb
新年、おめでとうございます。
貴殿の著書「アレンスキー 忘れられた天才作曲家」、
購入して拝読いたしました。
内容豊富で、しかも、とても読みやすくまとめられていて、
有意義に読ませていただきました。
これまでアレンスキーはそれほど多くの作品を知らないまま
あまり重視してなかったのですが、この書籍で
興味を持つに至りました。ありがとうございます。
ところで、
Аренаскийには関係ないので恐縮なのですが、
チャイコフスキーが1868年から69年に編んだ
「50曲のロシア民謡集」の第48曲に採られ、
ムソルグスキーも1878年に「5曲のロシア民謡合唱集」に加えたという、
1880年にチャイコフスキーが「1812年」に採り入れた
"У ворот"の詞の意味がロシア語やロシア史のドシロウトである私には
まったく解らず困っております。
図々しいお願いとは存じますが、以下の詞の意味、背景など、
急ぎませんのでお時間が空きましたおりにでも、
何らかの示唆をお与え下されば幸甚に存じます。
よろしくお願いいたします。

У ворот-ворот,
Ворот батюшкиных,
Разыгралися ребята,
Распотешилися.
Еще мне ли, молодцу,
Плохо можется,
Нездоровится,
Гулять хочется.
Я украдуся,
Нагуляюся;
Я сапожки на ножки,
Смуръ кафтанчикъ на плечахъ,
Черна шляпа на кудряхъ,
Перчаточки на рукахъ,
И гудочекъ подъ полой,
Подъ правою стороной,
Подъ правою стороной,
Со серебряной струной.

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