素人からみても明らかに呼吸法に変化がみられました。主治医の先生に聞いたところ、死前〇〇という症状で、あと数時間から数日という状態だそうです。
私とゆきこは毎日、病院のコンビにで買った食事を食べているので、おばあちゃんが心配して夜食をたくさん作ってきてくれました。
夕方、ひでゆきさん(ゆきこのだんなさま)から電話があり、これから車で行きます、との事。
「これから車で来るっていうことは明日は会社、休むの?」と聞いたら「はい」。
悪いなと思ったけど、せっかく来てくれると言ってくれているので甘えることにしました、夜10時ごろには着くそうです。
夜7時近くになったので、みんなが来てくれる前に食事をしてしまおうと思って食べ始めようとしたところ、ダンナさまが声を出したのです。
びっくりしてベッドの傍に行ってみたら、しっかり目を開けていました。
私とゆきこは夢中でいろいろなことを話しました。
ダンナさまは声は出ないし、クビも動かさないのですが、聞かれたことには目でしっかり反応してくれました。
私の事も分かる、ゆきこの事も分かる。
嬉しくて嬉しくて喋りたい放題喋りました。
私が「ゆきこにだってそのうちに赤ちゃんが出来るんだよ、ゆきこの赤ちゃん、見たいよね」と言ったら、目で「うん」とうなずきました。
ゆきこは「早く良くなってね、約束だよ、分かった?」と言ったら、目でしっかりうなずいていました。
ゆきこは「分かったって」と言って泣きながらベッドから離れました。
そしたらダンナさまは目でゆきこを探すのです。
「ほら、探してるよ」と言ってゆきこを呼び戻しました。
7時から8時15分くらいまで、そうやって3人で話していました。
そしたら徐々に親戚の人が来てくれました。
みんなの顔も分かるようで、みんなもびっくりしていろいろなことを話していました。
そんなこんなで2時間以上喋り続けました。
さすがにダンナさまも疲れてきたみたいで、だんだん反応が鈍くなってきました。
私が「少し疲れたよね、少し休もうよ、またあとでひでゆきさんが来るからそれまで休もう」と言ったら、ゆきこが「泣いてるよ」と言うのです。
みたらダンナさまは涙を流していました、もっと喋っていたいのでしょう。
でももうかなり反応しなくなってきたので、「ひでゆきさんが来たら必ず起こすから少し休もうね、絶対にまた起きてね」と言いました。
ダンナさまは寝て、9時も過ぎたので、親戚の人はみんな帰りました。
ひでゆきさんが来るまでの間に食事をしてしまおうと思い、食事の用意をし、さあ食べるぞと思ったら、なんとひでゆきさんが来ました。
車が空いていたので、思ったより早く着いたとの事、9時半ごろでした。
ダンナさまは今寝たばっかりなんだと、今までのことを話しました。
とりあえず食事をしてしまうことにしました。
そして食べ終わって片付け終わった10時ごろ、ダンナさまがまた声を出したのです。
あっ、目が覚めたんだと思い、「ひでゆきさんを待っていたんだよ」とひでゆきさんに言いました。
ひでゆきさんが「お父さん、ひでゆきです」と声をかけた時には、ダンナさまは今までにこんな反応はみせたことがないというくらいの反応をしました。
クビを左右に激しく振って、酸素マスクの中で口を動かしたのです。
ダンナさまは、ひでゆきさんとは、話したいことがいっぱいあるのでしょう、可愛い一人娘をお嫁にあげた人ですから。
ひでゆきさんの顔を見て、声を聞いて、ダンナさまはとても安心したようでした。
ひでゆきさんと少し話しをしていて静かになったので、10時半ごろひでゆきさんはすぐ近くの実家に帰りました。
明日からは会社を休んで付き添ってくれるそうです。
「心配で仕事にならないから」との事、嬉しかったです。
今夜は私とゆきこは30分交代で寝ることにしました。
私は自分の付き添いの順番の時には、ずっとダンナさまに話し掛けていました。
「早く元気になってマンションに帰ろう、マンションでまた二人で生活しよう」って。