最近はそうでもなくなったような気がするけど、日本では年末になると耳にする
ベートーヴェンの第九。母親は年末に市のコンサートホールで聴いてきたと言ってたから、いまでもそうなんでしょうね。なんでだろ?
第九をCDで聴くならバーンスタインのがいい、いや今は古楽器で聴くべき、とかいろいろ意見はあるみたいだけど、やっぱり第九といえば
フルトヴェングラー。それも(フルトヴェングラーには9つの第九の録音が確認されているのだが)、1951年7月29日の
バイロイト音楽祭でのライブにかぎる。その評価はもはや神格化の域に達している。
前にも書いたけど、バイロイトの第九はEMIが権利を持ってるので、CD初期から国内盤・輸入盤含めてさまざまなリリースがされている。代表的なものだけを数えても、20を超えるCDのリリースが確認されている。
しかし、再発を重ねるごとに音質は悪化していて、全集TOCE 7530-34とTOCE6510のみが唯一聴くにたえうる音質を保っているとの評判がある。
全部を買って聴き比べるわけにはいかないけれど、とりあえず評判の良い2タイトルと最新のARTリマスターを比べてみた。
まず
TOCE6510。90年に「足音入り」との触れ込みでリリースされたタイトルだ。一聴すると音は非常に明瞭。さすがに「鮮明な音」と高評価を受けているだけのことはある。でも、聴いてて気になるのは、ティンパニの音が異常に浮き出ていること。もともとティンパニはマイクに入りやすい特性があるらしいんだけど、それにしても目立ってて、聴いてるうちにティンパニしか耳に入らなくなってしまうほどバランスが悪い。
次に
ARTリマスター。音色が漂白されているとの評判だけれど、聴いた感じはそんなに貶すほどではない。バランスは良好。でも、モワ〜ンとした聴感がするのは事実で、鮮度のよい音を聴いた後だと不満に感じるのは間違いない。
そして
全集TOCE 7530-34。これはスゴイ!さすがに評判通り。若干派手目の音処理がされてる感はあるけれど、それでも鮮度は保たれている。「初出LPもかくやと思わせる音質」ってのはダテじゃないのだろう。もちろんバランスもいい。音楽が迫ってくる。もうこれ以外聴く気にならない。
それにしても、歓喜の音楽とはよく言ったもので、これだけ力強く生命を感じさせる人間くさい音楽はないよね。
さて、上記はネットで見つけた貴重な写真。
左からブルーノ・ワルター、アルトゥーロ・トスカニーニ、エーリッヒ・クライバー(カルロスの父)、オットー・クレンペラー、そしてヴィルヘルム・フルトヴェングラー。20世紀前半のスター指揮者勢揃い。立ち位置やポーズ、表情などからそれぞれの性格がうかがわれて興味が尽きない。おそらくクラッシック界で最も貴重な写真の一つだろう。

0