12月21日、自宅を5時に出発し現地に向かう。日立付近でやっと明るくなってくる。今日は福島茨城県境の東端の部分だ。いままでこの部分は2回ほど偵察したが、急峻な地形と家並みが混んでいて、どこから入山していいか分からない部分がある。私は県境を反時計回りに歩いているので、この部分も反時計回りに歩きたいという拘りがあった。解決策として、逆方向から入山し、同じルートを戻る方法をとった。国道6号線から西に300m入った、いわき市九面の住宅地に車を止める。
7時30分、まず西方面、つまり「勿来の関」方面に向かう。稜線には木が生えているが、かなり細い尾根で、足を滑らせると落ちてしまうほど両側は急である。常磐線の真上のピークで一休み。良く見ると稜線直下に古い道形がありこれを進む。ヤブや倒木があり決して歩きやすくはない。すぐに「勿来の関公園」に出、歩きやすくなった踏跡を県境沿いに市道まで歩き、そこから車に引き返す。今日はバイクを持参していないので面倒だが、歩く訓練と思えば苦にならない。
車に戻り、今度は東方面、つまり県境伝いに太平洋まで歩く。黒浦の集落に出る所が2度の偵察でも分らなかった場所だが、県境沿いに行くと切通しで行き止まりになっている。懸垂下降でもしなければ降りるのは無理だ。少し戻りお墓の所から「海徳寺」というお寺の裏を通って市道に出た。お寺までは偵察済みだったが、裏手のお墓の中にルートがあるとは考えもしなかった。わからない筈である。鵜ノ子岬の少し手前を、県境に沿ってコンクリート階段を登っていくと人家に出てしまった。他は大きな切通しになっているのでこれしかルートは見いだせない。黙って通るのも気がひけるので「すみません、通らせてください」と声をかけると「はい、でもどこに行くんですか」「岬まで行きます」「この先は行けませんよ、岬なら少し下のトンネルから行かないとダメですよ」などの会話をする。トンネルから行くルートは偵察で既に知っている。この家の人は道がないという意味で話してくれているのは百も承知している。私は道なんかなくてもいいのであり、県境に拘る気持ちもあったが、家の人に従うことにしてトンネルに向かう。
岬はオーバーハングになって海に落ち込んでいた。先端に県境の杭が打ち込んであり、多分この真下は海中だろう。ドーンドーンという潮騒が聞こえ、広い海原も私は大好きだ。ここから西方面に向かって縦走開始。といっても、先ほど歩いてきた道を忠実に戻るだけだ。すぐに「八幡宮」という結構立派な神社に出た。歴史ある趣のある神社でお参りをする。
料亭のわきの小さなトンネルから市道に出て、細い道からお寺に出、裏のお墓から国道6号線のトンネルの上を進む。古い道形があるもヤブがうるさい。この付近には不明瞭ながら土盛があった。最後は祠が2つあるピークから車に降りた。10時30分着。
家に帰ってから思うことだが、やはり県境に拘るべきだったと後悔している。八幡宮から稜線上を人家のすぐ上まで来て、また八幡宮に戻るというルートで、もう一度行ってみようと思う。
蛇足だが、黒浦の市道に出たところに「大黒水産」っていう名前だっけかなあ、「さつま揚げ」などを製造販売している店があった。お客の車が何台も止まっており、人気の店のようだった。興味が湧き私も覗いてみた。袋に入ったものを指差して「これは何ですか」と聞いたら「イカゲソ揚げ」だと言う。食べたことないので一袋(1000円)買って食べたらこれが大当たりで、とても美味しかった。さつま揚げの中にイカゲソが入っているような物で、量もたくさん入っており、家族にも好評で、私は高いと思ったがカミさんは安いと言っていた。
歩行時間 約3時間 歩行距離 約8、5km

鵜ノ子岬先端から勿来方面を望む

八幡宮

海徳寺に続く細い道につけられた切通し、というよりトンネルに近い

国道6号線の上を渡る

JR常磐線の上を渡る

誰もいない勿来の関公園

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