荒海山の冬期一般ルートは、南会津八総のチェーン着脱場から始まる。この場所はライブカメラが設置してあり、パソコンや携帯電話で常時様子を見ることができる。
3月20日、例年だと、いつも付き合ってくれるS子は、今年は都合悪く単独行となった。
ルートは、戸坪沢〜戸坪沢右岸尾根〜夏道尾根(仮称)〜頂上、のピストンである。
今回の予定は、天気予報から20日は夏道尾根までラッセルし、一旦車に戻り、21日早朝アタックする方法をとった。19日23時前には現地に到着し、一人寂しく宴会(?)をする。
20日4時50分、目覚まし時計で目を覚ますと小雨が降っている。寝直す。すると、その後大降りになった。9時に再び起きだすと雨は上がっているものの雲の様子は悪い。どうせ今日は夏道尾根までのラッセルなのだからと、少しの雨は覚悟して10時ジャストに出発する。
一週間くらい前のものと思われるトレースが残っている。ライブカメラで知ってはいたが、それにしても今年の会津はひどい寡雪である。地面が所どころ出ている。ワカンを使うこともなく順調なペースで夏道尾根に11時45分に着いた。
ここで考えた。天気はガスと風で良くないが予報では回復傾向のはず。ラッセルは、去年の高妻山と比べたら天国と地獄の差と言ってよいほど楽。このまま頂上に向えば3時間くらいで着くのではなかろうか。同ルート下降だから下りはヘッドランプでも降りられる。万が一ビバークになっても装備は持っている。頂上に向うことにした。
狭い尾根に加えて、不安定な雪なので稜線通しに歩ける所は少ない。尾根は少しのア
ップダウンがあり、巻くときはすべて西側にルートをとる。アイゼンをブッシュに引っかけながらも頑張って歩き14時30分頂上に着いた。時おりガスが晴れるが視界はない。使えるかどうか疑問なほど古い避難小屋があったが、雪に埋もれて入ることができなかった。
時間も押しているので早々に下山開始、忠実に自分のラッセル跡を追う。予報通り天気回復傾向で、青空も覗いてきたが、頂上方面は相変わらずガスに包まれていた。なんとかヘッドランプのお世話にならなくて済みそうに思えてきたら、急に疲れを感じスピードがダウンした。車着17時40分。
100年に一度と言われる不景気。明日をも分からない零細企業経営者。山登りをしていないときは仕事をしていないと落ち着かないという悲しい性。今から帰って明日は仕事をしよう。
歩行距離 10km 歩行時間 7時間40分

夏道尾根へ合流、2本の大きな立ち枯れがあった

だれもいない荒海山頂上

となりの太郎(次郎?)山はすぐそこ

雪に埋もれて、さらに古くて使えそうも無い頂上避難小屋

ヤブの上に不安定な雪が乗る細い夏道尾根(仮称)

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