ザラメの北アルプスを縦横無尽に走り回ってやろうと双六池に4泊の欲張りな計画であった、、、が、雨にたたられて入山を一日延期、さらにその入山日に双六まで辿り着けず、空身の行動日は中一日だけとなった。とはいうものの、その貴重な1日は快晴に恵まれ人もわずかで静かな山を楽しめるものであった。またいつか、十分な日程をとって思う存分に行きたいものである。
4月26日
新穂高発5:20 大ノマ乗越ビバーク地点着16:00
雨の中、ザックの重量18kg+スキー板とブーツを背負って林道歩きから入山。
ワサビ平からシール歩行を開始できた。

<左俣谷の小池新道入り口付近、高い方はガスの中>。
ガスの中、小池新道に沿ってスキーアイゼンを着けてシール登行していく。大ノマ乗越直下の急斜面は膝までのツボ足ラッセル、これで消耗し、乗越に到着するとすでに午後4時を回っていた。暴風雪のビバークは雪が吹き込んでつらく長い夜となった。
4月27日
ビバーク地点発5:50 双六BC着10:00
双六谷へ新雪雪崩を警戒しながら下降。双六谷をシール登行して双六小屋に入る。濡れて凍ったものを乾かしたり、昨夜ろくに食えなかったので飲み食いに明け暮れ、昼寝までする休養日となった。天候は午後遅くには回復。
4月28日 快晴
双六池ー三俣蓮華岳ー三俣蓮華小屋ー弥助沢下降ーモミ沢登行ー双六岳ー南カール下降ー双六池 <累積標高差 1502m, 所要 9:30 (7:00BC発-16:30BC着)
稜線上はいったんザラメになった雪面が凍ったアイスバーンとシュカブラでスキーでは楽しくなく進行速度も遅い。沢にはややモナカっぽいものの適度に積もった新雪があった。

<三俣蓮華岳から望む黒部五郎岳。行きたいと思ったが、時間を考えて断念>

三俣蓮華岳頂上から北東面を滑降。東に回り込んで三俣蓮華小屋に出る。鷲羽岳南側コル(上の写真)から弥助沢を下る。沢の中はややモナカっぽいが、滑落の心配もなくアイスバーンよりもずっと楽しい。

弥助沢を標高2100m付近まで下り小休止。ライチョウに出会う。モミ沢を登り返して双六岳東面の台地に上がる。さきほど下った弥助沢が鷲羽岳の南面に見える。

そのまま東斜面を直登して双六岳頂上に達する。南岳圏谷からつづく谷へ豪快に滑り込む。最後は双六谷をたらたらと登って今日の行程はおしまい。
4月29日 今日も快晴。もっと何泊もして遊びたかったが下山日である。
5:40発、12時新穂高下山。
カリカリの双六谷を大ノマ乗越の下まであっというまに滑る。乗越まではスキーのメリ込む雪質と先行者のラッセルのおかげもあって、シールのまま上がることができた。

大ノマ乗越からの下りは豪快、雪面はモナカとウインドクラストだが、滑落の心配のないのがありがたい。ときどきコケテ重荷を背負って起き上がるのが難儀だけど、こんな景色の中を下れるのが嬉しい。左俣谷底に着くと季節はすっかり春になっていた。

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