血と骨と肉より生(な)れる
人
永遠(とわ)のいのちは神のものなれば
死の息は
汝に翼をあたえたり
あうらのあとすら
残らない
残さない
という生きかた
できますか
〈生存可能〉限界に
挑むかのような
日日の営み
残の一生(ひとよ)を懸けて
貫きますか
孤といい
独という
魔
ナノオーダーほどのやさしさに
崩おれそうな
趣味の文芸はやらぬ、と別に思い定めたわけでもないのにいつしか歌を詠まなくなっていた。いや、詠めなくなっていた。歌詠みであろうとするほどの覚悟もないまま、全生歌会の末席にあった約三年ほどの間に詠めた歌はごくわずかであった。それも〈歌〉といえるかどうかわからぬ。多分、赤人さんという人を知り得たからこそうたえたのであった、と今は思う。
虚事(そらごと)をうたわなかったといえば、噓になろう。虚をまじえねば滴る血に塗れそうな自分がいるということを、歌を詠みだしてからおもい知った。
さびしいか、と問われれば、さびしい、と、孤独か、と問われれば、孤独だ、と、赤人さんが向こうがわから問いかけてくれたなら、……私は今もそうこたえるだろう。

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