2012/11/21
月光の矢
射こまれし
わが脊髄に炎
(も)える
冷たき
炎
(ほむら)

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2012/11/21
後戸の
暗
(やみ)より
炎耀
(かぎろいかがよ)う
ひまわりの
闇

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2012/11/15
わたくしを作っている細胞
死にゆくものも
生まれでるものも
ひとつひとつが
三十八億年の花

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2012/11/13
言霊をやどした
声が
噴出し
魂
(こころ)と言
(ことば)の世界を
往来し往還する
ありとある存在が
ひびきあいひびきかわしている
この交響は
いつでもどこでも
真実在のあらわれである

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2012/11/13
死は最高のハレゆえ
死に向かって
時時刻刻を生きる
という人の
獅子吼のようなウタ

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2012/11/7
あるとき
永遠とであって
しばらく
この世の時を
喪失す
ことば果てる渚に
揺蕩
(たゆた)えば
風ささめき 艸そよぎ
耳は受信する
声字
(しょうじ)ならぬウタ未生
2012.11.17.AQ歌会出詠歌

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2012/11/5
手をさしのばせばとどく
空華
(くうげ)
心奥に秘かにひらいている
真実在の
瓣
(はなびら)

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2012/11/5
かぎりなくゆたかで心地よいところから
幽かな波動のようにつたわってくる
ぜんぜん人間したりちょらんきに
もそっと人間しちょり
という声

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2012/11/4
帰るといって
逝ったひとの文
(ふみ)
文底
(もんてい)にたぎる魂が
光の槍となって
心
(しん)の臓をつらぬく
焰の舌を蔵して引き結んだ唇
悲しみと怒りに血しぶく双眸
朱金の光背を負った憤怒相の
あなたの歌は
剣である

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2012/11/4
龍女は即身成仏されたとか
ならば
汝も吾も仏と成らん
有情無情 山川草木
国土悉皆 仏と成れ

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2012/11/4
涅槃に入らず
これだけは
確かだ
わたくしの裡なる
阿闍世/釈迦

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2012/11/3
空が 海が 大地が
産土
(うぶすな)の土地
(つち)が哭いている
この慟哭を
回生の陣痛となすこと
できるか

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2012/11/3
生きものとしてのわたくし
死のおとずれるその時まで
この世界を
慈しみ
愛しみぬくことができるだろうか

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2012/11/3
只管
(ひたすら)
直面
(ひためん)で
生きぬき
生ききる
というささやかな心願

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2012/11/3
振りきれた振り子の錘のように
還ってこない半身
妙に軽くなった
残
(ざん)の半身でこぐ
虚空の鞦韆
(ブランコ)
* 2013年4月 改作

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