実地テストは大成功
「海賊版DVD探知犬」を登場させたのは、海賊行為撲滅を目指す業界団体「FACT」(Federation Against Copyright Theft)で、米国の映画業界団体MPAAが協力している。FACTによると、初の海賊版DVD探知犬となったのは「ラッキー」と「フロー」という名の2頭の黒いラブラドールで、8カ月間の訓練を受けて、箱やパッケージの中に隠されたDVDをにおいで見つけ出すことができるようになったという。
「ラッキー」と「フロー」はさきごろ、初めての実地テストをロンドンのスタンステッド国際空港で行い、英国内向けの荷物室の中から、DVDの入ったパッケージや梱包を即座に見つけ出したという。「これは偽造ディスクの探知に世界で初めて犬を使ったものであり、結果はすばらしいものだった」(FACT総ディレクター)、「われわれは、偽造ディスクを発見するための新しい、そして非常に効果的な方法を手に入れた」(MPAAの光ディスク対策担当者)など成果を強調している。
海賊版DVDは、海賊版CDに代わってメディア型違法コピーの主流になりつつある。FACTは2005年1年間に200万枚の海賊版DVDを押収したといい、DVD探知犬もその活動に一役買うことになる。
驚異の探知能力
嗅覚で特殊な仕事をする犬では、麻薬探知犬が有名だ。日本では1970年代に導入されて、全国の空港などで活躍している。探知犬の訓練は、麻薬のにおいをつけたタオルを探させて、みつけたらほめて、ご褒美を与える。これによって犬はゲーム感覚で麻薬を探すようになるのだという。性格的には好奇心が強く、遊び好きな犬が向いている。犬を麻薬中毒にするという俗説があるが、これは誤りで、そんな必要はなく、また、探す時ににおいをかぐ程度では悪影響もないのだそうだ。
また、最近では、患者の呼気から、その人がガンにかかっているかと判別する「がん探知犬」の研究が進められている。犬はガン患者特有のわずかな成分を、その息のなかから識別して判断するもので、その的中率はきわめて高いのだという。
このように犬の優れた嗅覚は、人や機械でなかなか分からないようなものも見つけ出すことができる。ただ、FACTは、海賊版のDVDをどうやって正規版と区別するのか、あるいは区別しないでただDVDを見つけ出して、調べるのかは説明していない。
海外で買った正規版DVDを持っているだけで取り調べを受けることになっては旅行者も大変だが、それよりも違法行為の発見に優先度を置くということかもしれない。また、心理的な抑止効果も期待できそうだ。
(MSN 毎日インタラクティブより)