★教室だより第27号(2009.12〜2010.1月号)より抜粋
(2)大きい出会い
□2004年ごろ、娘と一緒に2人で算数の勉強をしていて、知的
ハンディキャプのある子供に算数を教えるいい方法はないか
模索していました。そこで「水道方式」という算数指導法に
出会ったのです。算数の計算を水源→元管→枝管→蛇口とい
う太い管から細い管へ、きちんと流れるように配列して教え
る方法なのです。また、タイルを使って、「1」は1個、
「10」は10個集まって1本、「100」は10本集まって1枚という
ふうに、数を量(大きさ)としてイメージさせるという考え方
に、私は最初、大変感動しました。
□この考え方は、1958年頃に東工大名誉教授、数学者である遠山
啓先生(故人)が提唱されたものです。当時、先生を中心に大
学教授や小学校の先生方の集まりの「数学教育協議会」で研究
された算数の指導方法です。このタイルを使った指導法は、教
科書にも採用されることになりました。そして、現在は「数学
教育研究会」という組織がこの水道方式を使って教える教室を
運営しています(
http://www.lekton.co.jp/参照)
□そこで、私は、この組織に加入して教室を開きたいと思いまし
たが、平日週2日以上が条件で、平日は仕事を持っているため
加入することができませんでした。
□水道方式を使って千葉県幕張で算数教室<J算数教室>を運営
されている、おじいさん先生(京大卒)とネットで知り合い
ました。昔、ご夫婦で「数学教育研究会」に所属しておられ
ましたが、現在は独立して指導されていて、生徒さんも80名
を超えるほどの活気のある教室でした。
□数回、見学・指導助手をしましたが、3A(明るく、遊び感覚
で、アットホーム)
の環境で勉強し、頑張りに応じてハンコを押して学用品等を
子供たちにプレゼントしていました。教室の雰囲気は、子ども
がニコニコ顔でわいわい楽しくやっていて、私は「これだ!」
と思い、こういう教室をして子供に算数を教えたいと痛感した
のです。
□そこで、このおじいさん先生にプリントの作り方、指導方法、
教科書の欠点などいろいろ教えていただきました。これをお
手本にして2006年9月に「アプロ算数教室」を開設しました。
□2004年〜2005年に運営してました「たけのこ教室」は、知的
ハンディキャップのある子供(LD、ADHD、ダウン症、自閉症
など)に絞って、町田中央公民館(109ビル)と市民フォーラ
ムを拠点に算数・こくご指導の活動しておりました。そのと
きも水道方式を利用したり、特別支援教育関係の専門資料を
使って指導していましたが、指導の困難さ、スタッフが集ま
らない等の理由で1年半しか継続できませんでした。
□そこで、今度は、ハンディキャップある無しに関係のない算
数教室を作ろうと決心し「アプロ算数教室」を始めました。
おかげさまで皆さんの頑張りに元気づけられ、一度も休むこ
となく3年以上継続することができました。水道方式を活用し
て子供たちを一人でも多く、算数・数学が「わかる」、「で
きる」ようになってほしいと思い、日々頑張っています。
算数・数学ができるようになれば自信がつき、他の教科にも
いい影響を与えるでしょう。
□ただ、水道方式の「タイル」も万能でないことがわかりまし
た。まず3けたのタイルを使った乗除の計算です。とくに
割り算で、水槽を区分けしてそこにタイルを分けて入れる
方法がありますが、子どもには理解が難しいと思い採用しま
せんでした。
□また、水道方式は、暗算を否定しています。算数ぎらいを恐
れて、位どりをしっかりやる筆算のみやる方法です。もちろ
んアプロ教室でも、水道方式の推奨する筆算を土台として教
えていますが、私は「暗算」も重要だと考え採用しました。
□中学数学を教えていて、暗算ができないと、正負の数、方程
式の計算等がスムーズにできないことがわかったのです。暗
算を強要すると算数嫌いになると思い、10面体&20面体サイ
コロを使って楽しくゲーム感覚で暗算するという方法でやっ
ています。

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