2006/1/13

夜歩く  

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

クリックすると元のサイズで表示します

どっかの推理小説みたいなタイトルですね : )

先日、いつも遊んでもらってる白馬のとあるペンションに出掛けてきました。
毎年恒例となった、かまくら作りのお手伝いです。

一日目で雪を積み上げ、二日目で穴を掘る、定員十五人以上(!)という結構本格的なものなのですが、今回は都合により穴掘りだけのお手伝い。
今の時期としては例年になく雪が多いこともあってか、設営地であるペンションの裏山に登ってみると、その頂には身の丈をはるかに越える巨大な雪山が!
これを掘れってかい!
でもさすがに人手が多いと作業も早く、陽が傾きかけるころには見事なかまくらが完成しました(巻いてます巻いてます)
かまくら祭りなどやる地方では、効率良くたくさん作るためにバルーンを使ったりするようですが(膨らませて雪をかぶせて空気を抜いたら出来上がり)やっぱりひとの手で積んで掘った雪の家は、スコップの削り跡ひとつ取っても味があっていいですね。

そのかまくらのコケラ落としは、真夜中みんなで集まっての新年会。
これがまた全国各地の名産品が一堂に集まるゴーカな宴会で、左から松前漬が回って来たと思ったら、右からは神戸のチョコレートケーキが来るといった具合で頂く側もなかなか大変です(味覚が)
でもどれもこれもみな美味しいものばかりでした。
久しぶりにフナ鮨も食べられましたし : )
ごちそうさまでした。

僕は翌日が仕事だったこともあり、お酒も呑まず、途中で抜け出して一人で山を降りることにしました。

雪というのは音を吸収してしまう性質のようで、鬼の住処と化したかまくらからほんの少し離れるだけで、風音ひとつしない夜の森にぽつねんと放り出されてしまいます。
その日は少し山沿いに雲が多かったのですが、見上げれば空はとてもよく晴れていて、星が本当に近くに見えました。
月は木立を挟んで遠く西の山の上にあり、それが雲の間に間に見え隠れするたび、足元から広がる滑らかな雪面が、青白く浮かび上がったり、暗く沈んだりしています。
月明かりの中、森に棲んでる動物が雪の上を歩いていく場面って、むかし何かの絵本で見たことありませんか?
冬枯れの木立の間を月がずっと追いかけてくるような、あんな感じです。
そういう風景を歩いてるのは、僕の場合やっぱりオオカミですね。銀色の。
(心理テスト?)

と、歩きながらつらつらそんなことを考え始めたら、さっきまで何の不安もなかった、夜の森の中にひとりきりというシチュエーションがなんだか急に怖ろしいことのように感じられてきて、月がまた雲に隠れた次の瞬間、思わずこぶしを握ったまま早足で駆け出してしまいました(笑)
もちろんオオカミなんていませんから、何かに襲われるとか、そういう具体的なコワさはないはずなのですが、自分の中のどこかずっと深いところから“降りよう降りよう”という声が聞こえたように思えたのです。
気がつくと、月に掛かる雲がずいぶん厚くなっています。
周りの暗がりが自分に迫ってくるようで、もう振り返ることもできません。
怖ろしいというよりも、何かのプレッシャーを感じて気持ちが昂ぶり、自分が緊張しているのが分かります。
これは何へのコワさなんでしょう?

しばらくするとペンションの明かりも見えてきて、気分も落ち着き、あとはだんだんと歩を緩めながら、登ってきたときの踏みあとを逆に辿って雪道を降りました。
暗がりがコワかったなんて我ながら情けない話ですが、街角や部屋中での夜に感じるコワさとはまた違った感情の湧き上がり方に、なんだか懐かしいものを思い出したような気がして、窓明かりの下に戻ってからもしばらく苦笑いが止まりませんでした。

ああ、でもおもしろかった。
また歩きに行こう。


本日の一枚
せっかく作ったかまくらも、使わないままだと、これからどんどん雪に埋もれて小さくなってしまいます。
なので、時々メンテを兼ねて使わせてもらいますね。
でもまずは酒の匂いの染みついた内壁を一皮むかないと...
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ