2007/2/26
欧米か
「欧米か」という突っ込みがタカandトシのギャグで流行っているが、「欧米か」といわれると、思わず「欧米といっても、英米と大陸欧州(ヨーロッパ)は違うよ」と突っ込みを入れたくなる。「欧米か」と一口に言っても、実はアングロサクソン系の英米と大陸ヨーロッパに二分されるのだ。
大陸ヨーロッパとは、ヨーロッパのうち英国を除く諸国、いわゆるヨーロッパ大陸の諸国を指す。英国の政治・経済・社会はいずれも大陸ヨーロッパ諸国とは乖離し、むしろ米国をはじめカナダ、オーストラリア、ニュージーランドと似通った性質を持つ。国際比較にはまとめてアングロサクソン諸国(英米諸国)として、大陸ヨーロッパとは別ものとして扱われる。
例えば、近代法は、判例主義に基づく英米法と成文法を中心とした大陸法に分かれる。英米法は、イングランドのコモンローに由来し、英米のほか、旧英領だったアングロサクソン諸国で主に採用されている。これに対し、大陸法の起源は、東ローマ帝国皇帝ユスティニアヌス帝が編纂したローマ法大全を元にしたローマ法で、大陸ヨーロッパ諸国で広く採用され、日本をはじめ世界の多くの国で採用されている。
英国は、ヨーロッパ大陸北西部の周縁部に位置する島国で、大陸ヨーロッパとは異なる独自の文化圏を有している。ただし、英国と大陸を隔てるドーバー海峡の幅は、35〜40qしかないため、大陸から隔絶してるわけではなく、ローマ軍の侵攻、ノルマン・コンクウェスト、英仏百年戦争と絶えず直接的な影響を受けてきた。このため、英国と大陸ヨーロッパとの関係は、つきず離れずの関係にあり、現在も、英国はEU(ヨーロッパ連合)に加盟しているが、ヨーロッパ通貨であるユーロへの通貨統合が未だに見送られている。
現代ヨーロッパの起源は、800年のフランク王国カール大帝による西ローマ皇帝戴冠にある。カール大帝に戴冠により、ゲルマン世界とキリスト教世界とギリシア・ローマ文明の融合による中世西ヨーロッパ世界が成立する。このときのフランク王国の領域が、現代ヨーロッパの礎となった。カール大帝のフランク王国の領域が、EUの母胎となったEEC原6カ国の領域と重なることはよく知られた事実であり、英国のあるブリテン諸島は、旧フランク王国の領域に含まれない。

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