2007/3/13
西武のアマチュア2選手への金銭授与は、高校時代から始まっていることが判明した。10日の東京ガス・木村雄太投手の記者会見で、高校3年1月から毎月30万円を受領したことが発覚していたが、当該選手の一人である早大の野手も、高校時代から金銭の供与を受けており、当時西武と選手側が交わした覚書に高校の指導者(当時)もサインしていたことが13日、分かった。
日本高野連は、西武が起こした裏金問題について、12日コミッショナー事務局から報告を受け、アマ2選手への金銭供与の流れを確認。誰がいつ渡したか、といった細部の情報は未確認の部分があるが「高校時代からの関与の疑いは極めて強い」と判断、関係者の処分を含めた、裏付け調査を進める。また、「(プロの)倫理行動宣言では止められない。3団体が一体となって(ドラフトを)改善することを申し入れたい」と大学、社会人と連携し、プロ側に希望入団枠の撤廃を強く求める姿勢を固めた。
アマチュア2選手に対する裏金問題で、西武の太田球団社長が12日、東京・内幸町のコミッショナー事務局を訪れ、スカウトの不正活動に関する報告書を提出したが、根来コミッショナー代行は2人の選手が選ばれた経緯のほか、渡した金銭の社内的な会計処理、責任分担などの説明に不備があると指摘し、再調査を命じた。同球団は今後、11日に西武グループトップの後藤高志・西武ホールディングス(HD)社長が示した第三者調査委員会で詳しく調べ、その結果を改めて報告することとなった。
その日(12日)の夜、根来コミッショナー代行とホテルで会食していたのが、読売球団の渡辺恒雄会長と滝鼻オーナー。会食後に取材に応じ、ドラフトの完全ウエーバー制に反対する意見で口をそろえた。一場投手への金銭供与問題で、オーナーを辞職した渡辺会長は「おれが腹を切って良くなると思ったが、そのころからやっていたなんて話にならん」と憤りを口にしたが、ドラフト制度に話題が及ぶと「一つのことで協約その他、すべてを変えるのはファッショ的。集団ヒステリーで制度を変えるのは反対だ」と話した。滝鼻オーナーも「すぐに完全ウエーバーの話が出てくるけど、今以上にメジャーへの流出が心配だ」と反対意見を示した。
ところが、希望枠存続派の読売・清武球団代表は、翌13日の代表者会議では一転して「日本版ウェーバー」構想を明らかにした。同代表によると、ペナントレースの順位をもとに、育成に主眼を置く高校生は上位チームから、即戦力として期待できる大学生・社会人は下位チームから順に指名する。希望枠撤廃により、入団先を選べなくなるため、フリーエージェント(FA)権取得までの年数を、現行の一律9年から大学生・社会人は5年、高校生は6年、海外移籍は9年とする。また、FA選手獲得に伴う補償金、人的補償は撤廃する。というもの。
根来コミッショナー代行も、同代表者会議で、不正なスカウト活動に対する明確な制裁案を提示した。根来氏の提案は「野球協約に定めるコミッショナー裁決とコミッショナー権限での制裁の明確化」と「新人選手獲得活動での違反行為での類型の明確化と制裁の明定」に分けられる。特に後者については、具体的な禁止行為(球団関係者からの金品の提供など)と制裁、処分対象者などを定めたもの。制裁は最も重いもので「2年以内のドラフト会議からの排除」で、上位指名権のはく奪なども含まれている。各球団代表者も大きな異論はなく、次回21日の代表者会議で合意される見通しとなった。

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