2007/3/14
希望枠存続か、撤廃か。結論は先送りされた。選手会(宮本慎也会長=ヤクルト)は13日に開かれた球団側との拡大選手関係委員会で「スカウト不正の温床といわれる希望枠撤廃を」と主張したが、球団側は現行制度維持の合意を白紙撤回する、と回答するにとどまった。
選手会からは宮本会長のほか、西武の赤田選手会長、佐藤副会長も出席した。宮本会長は「アマ選手の人生を狂わせるような問題が起きたのだから、フリーエージェント(FA)やポスティングなどの問題よりもドラフト制度改革を最優先すべきだ」と主張し、希望枠の撤廃を訴えた。
球団側の「フリーエージェント(FA)権取得期間の短縮とリンクさせるのが目的か」との勘ぐりには、「ファンの信頼が落ちている中で、第一に話すべきはドラフト。FAの話はしないでいい」とくぎを刺したという。
選手会との交渉の前に開かれた球団代表者会議でも撤廃論が大勢を占めた。ロッテの瀬戸山代表は「希望枠制度は裏金などの温床になりやすい」と問題点を指摘。ヤクルトの倉島専務は「明らかにプロ側の行為がアマ側に迷惑をかけたのだから。白紙撤回しかない」と、「けじめ」に言及した。
一方、ソフトバンクの角田代表は「(ドラフト制度問題には)メジャー流出の問題、職業選択の自由、アマの要望など、いろんなことが含まれる。撤廃反対、というわけではないが、不正行為と制度は別に考えたい」、読売の清武代表は、「ドラフト制度は選手の自由を確保しなければいけない」と話すなど、一部の球団が、即時の撤廃決定に疑問を示し、16日アマチュア球界の意見も聞いてから判断するということで、「現行制度維持の合意を白紙撤回する」に止まった。
とは言っても、希望枠存続の中心だった読売が希望枠を廃止した場合の代案を出すなど軟化。同じくソフトバンクの角田代表も「アマがダメというなら撤廃でいい」と語った。
そのアマチュア側は、希望枠撤廃で足並みがそろっている。「不正の元凶は希望枠。撤廃を求める」というのは、日本高野連の田名部和彦参事。2004年に大学生だった一場投手(現、楽天)が金銭を受けていたのとは違い、今回の当該選手は高校時代から金銭供与を受けていることが判明した。
それだけに高野連がアマ側の結束を呼びかけた。全日本大学野球連盟の内藤理事も「希望入団枠の撤廃には賛同する」。日本野球連盟の鈴木副会長も「今回の裏金問題はドラフト制度そのものに問題がある」と話す。
ただし、選手会側が「結論はスピーディーに出すべきだ」と主張したことに対して、球団側も同意。21日の球団代表者会議では具体的な新ドラフト制度の骨子を決める方針となった。

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