2007/3/29
希望枠廃止:プロ野球の決定、アマ3団体は歓迎の意向(毎日新聞 2007年3月28日)http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/pro/news/20070329k0000m050086000c.html
プロ野球が今年からドラフト希望入団枠の廃止を決めたことについて28日、アマ3団体は歓迎の意向を示した。
日本高校野球連盟の田名部和裕参事と全日本大学野球連盟の内藤雅之常任理事は28日、阪神甲子園球場内で記者会見した。田名部参事は今年のドラフトも分離方式で高校生は10月初旬、大学生・社会人は11月に行われるとプロ側から説明を受けたことを明らかにした。その上で「完全な意味でのドラフトが1日も早く実現することを願う。アマチュアの健全なフィールドが守られる制度をアマも協力して仕上げていきたい」と述べた。
内藤常任理事も「プロ側から申し入れがあれば、協議を受け入れたい」と話し、要請があれば、ドラフト制度の協議にアマ側も参加する意向を示した。
社会人を統括する日本野球連盟の松田昌士会長も「今回の決定は歓迎する。ただし、希望枠即時撤廃は第一歩であり、不適切な利益供与を根絶させることが重要。今後もプロ野球界全体で一致協力して取り組んでほしい」との談話を発表した。【滝口隆司、大矢伸一】
▽日本高校野球連盟・脇村春夫会長 アマチュア野球からの申し入れが理解されて良かった。今後はプロアマ双方が協力して絶対に違反行為が起きない仕組みを作らなければならない。
▽全日本大学野球連盟・八田英二会長 アマチュア3団体が要望した希望枠撤廃が決まったことは良かった。大学側も襟をただし、より良いプロアマ関係を築いていきたい
希望枠廃止:ファンや世間の支持なしにできず 解説(毎日新聞 2007年3月28日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/pro/news/20070329k0000m050132000c.html
21日のプロ野球代表者会議で「今秋からの廃止」を打ち出せなかったのは、巨人が「廃止はフリーエージェント(FA)権取得期間の短縮と一緒に行うべきだ。制度全体の設計を後回しにして、希望入団枠だけ廃止するのは良くない」と主張し、同枠廃止とFA論議を分けたい他球団と折り合いがつかなかったためだ。
巨人の主張も理解できる。しかし、裏金問題が明るみに出ながら、原因の一つとされる同枠の即時撤廃に踏み切れない球界を、世間は「自浄能力がない」「指名する選手と話ができているからでは」と不信の目で見た。マスコミの批判的論調に加え、コミッショナー事務局にはファンからの抗議の電話が相次いだ。もちろん、即時撤廃を求めていたアマ3団体や選手会は猛反発し、選手会の宮本会長はクライマックス・シリーズのボイコットさえほのめかした。
この状況では、仮に同枠が存続しても、使える球団などあるわけがない。ならば今秋から撤廃となるのは自然の流れだった。
代表者会議で「巨人に助け舟を出した」(球界関係者)とされる根来コミッショナー代行は「『世間が許さない』とか『ファンがやかましい』というようなことで議論を進めるべきではない」と語った。政治や法曹の世界なら正論だ。しかし人気商売であるプロ野球は「世間」や「ファン」の支持なしに論議を進めることなどできなかった。【神保忠弘】

0
1 | 《前のページ | 次のページ》