2007/4/7
カネとコネのプロアマ関係 時代の変遷で転換期へ (共同通信社 2007年4月6日)
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/baseball/npb/headlines/20070406-00000052-kyodo_sp-spo.html
選抜高校野球大会の最中に、恒例の日本高野連とプロ野球スカウト会の懇親会が開かれた。高野連の田名部和裕参事は「いい関係を築こうと確認し合った」。大会前には西武の裏金問題が発覚していたが、スカウトへの嫌悪感はうかがえなかった。
プロ側が強引にアマ選手と契約した1961年の「柳川事件」でプロ、アマの関係は断絶した。雪解けといわれるのが90年代後半。実に30年以上の空白があったが、“冷戦時代”もスカウトとアマの関係は悪くはなかった。
「大学の派閥とかで、ずっと仲がいい者はいい」と東京六大学出身のスカウト。スカウトの担当地区を決める際も出身大学が重要視される。スカウトの先輩である監督、後輩である選手という関係なら親密になりやすい。合宿所に自由に出入りするスカウトもいた。元大学監督は「教え子に担当され、今考えたら(日本学生野球憲章)違反だったなということもあった」。ルールより人間関係。そんな土壌では裏金が生まれるのは必然だった。
エスカレートしたのは93年、一部選手が球団選択の自由を得た逆指名制の導入からだった。「監督への車代が実際は1万もかからないのに10万とかに跳ね上がった」とセ・リーグ球団スカウト。契約金は高騰し、ある現役スター選手獲得には20億円超の大金が動いたという。高額な人件費は球団経営も圧迫していった。
そして2004年に球界再編騒動、プロ経営者側の閉塞(へいそく)感が頂点に近づく中で「一場問題」が起きた。ある球団幹部は「戦後大変な生活をしていた国民が自立し、(栄養費など)人の援助で大学に行くなんてけしからんとか、そういう社会になった」と語る。そこに近年のコンプライアンス(法令順守)意識の高まりが重なり、日本球界はあしき慣習からの脱却を求められていた。
時代は明らかに変わった。年配スカウトが言った。「西武みたいに過去のこと言い出したらきりないわ。(前首相の)小泉さんじゃないけど、未来志向でいくしかないやろ」。カネとコネにまみれたプロ、アマ関係は転換期を迎えている。

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2007/4/7
球界改革・現金供与:プロ野球 高校指導者は困惑 「周囲から悪い目で見られる」
(毎日新聞 2007年4月6日 東京朝刊)
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/pro/news/20070406ddm035050179000c.html
アマ選手だけでなく、高校、大学、社会人の監督らへも現金などを渡した事実を発表した西武の調査委員会による中間報告から一夜明けた5日、プロへ多くの選手を輩出しているアマの監督らから話を聞いた。
今秋のドラフトで大きな注目を集める強打者、中田翔選手がいる大阪桐蔭の西谷浩一監督は「スカウトが選手に声を掛けることもないし、寮生活なので選手も接触できない。私も契約の席に入ったことはなく、入団発表の場にも行かない」と、“一線”を引く必要性を強調する。
今春センバツで4強入りした帝京の前田三夫監督は「選手は商品ではなく、選手とスカウトが接触するようなことは許されない。今後はきっちりと距離を置けるよう高野連で指示してもらえれば」と提案する。
甲子園で春夏計3回優勝の智弁和歌山・高嶋仁監督は「うちは極力進学を勧めている」とし、「プロに選手が進むチームほど『カネをもらっているのでは』などと周囲から悪い目で見られるのではないか」と懸念する。
西武に松坂大輔投手(現レッドソックス)ら出身選手が入団した横浜の小倉清一郎部長は「ウチの場合そういうことはまったくないが、事実だとすればプロもアマも悪い。ただ、これで裏金のような風潮はなくなるのではないか」と話す。
高校野球は春季大会がすでに各地で開幕。問題となった選手の出身校である専大北上(岩手)、秋田経法大付(秋田)の処分内容は18日に開かれる日本高校野球連盟の審議委員会で協議されるが、岩手県では地区大会の組み合わせ抽選会を25日ごろ、秋田県も5月1日に予定している。両校が大会に参加できるかどうかの問題も残る。
岩手県高野連の藤沢義昭理事長は「大変な問題。日本高野連の指示があり次第、学校関係者を調査することになる」と話している。
◇「問題は根深い」−−関係者声ひそめ、全部調べたら…
西武の中間報告書では、高校、大学、社会人の監督らのべ170人に、1人最高1000万円もの「謝礼金」が支払われていた。なかにはアマ側から支払いを要求されることもあった、とのスカウトの証言も報告されている。「選手を育てたのだから見返りを要求するのは当然」という風潮が、アマ関係者の一部にあるとの指摘は多い。
プロ側からではなく、契約金の一部を、選手が監督らに渡すケースもあるといわれる。
首都圏にある大学の監督は「カネの問題は、有望選手なら中学3年生のころから始まり、プロまで継続していく」と根深さを指摘する。「まず高校の強豪校間で争奪戦となり、学費免除などの特典で勧誘するケースもある。大学へ進む時も同じ。親は少しでも条件のいいところに入れたいから、条件はどんどんつり上がる。だからプロからの金も悪いと思わなくなる」。指導者が介在するケースも少なくないという。
社会人チームの監督は「全部調べていったら、プロ野球やアマ野球はどうなってしまうか、というくらい広く深い問題」と声をひそめた。
◇指名拒否禁止も含めた対策必要−−社会人監督
JR東日本の堀井哲也監督は「アマ球界のほとんどの人は問題と無関係のはず。しかし、プロとの関係をめぐって、アマのイメージが傷ついたのは否めない。アマとしてもしっかり検証して、個々が襟を正していくことが必要と思う」と話した。
昨年の都市対抗を制したTDKの船木千代美監督は「希望入団枠をめぐる各球団の競争がエスカレートした結果、起きた問題。こんな制度を二度と作らないようにすることが大事だ」と指摘する。
一方、近鉄、横浜でプロ経験もある新日本石油ENEOSの大久保秀昭監督は「希望枠を廃止しても、指名を拒否することで選手が事実上の逆指名をできるわけだから、根本的な解決にはならない。指名拒否を禁じるなどの対策も考えるべきだ」と提言する。
◇規制化も視野に、検討委で論議へ−−新人選手契約金
プロ野球の根来泰周コミッショナー代行は5日、西武の調査委員会が前日発表した中間報告を受け、「野球界全体が旧思想や古いしきたりから脱却することが、将来への使命」と語った。
今後の対応については「西武からの最終報告が来たら、厳正に対処する」と語るにとどまった。ただし報告書の中で、西武が94〜05年に入団した15選手に対し、実行委員会で申し合わせた最高額1億5000万円以上の契約金を支払ったことについて「申し合わせでなく、しっかり規則化したほうがいいのかなど、来季以降のドラフト制度を検討する委員会で論議したい」とした。
また、パ・リーグの小池唯夫会長は同日、「全日本野球会議のような場を活用し、信頼を取り戻さなければいけない」とプロとアマ一体で改革に取り組む必要性を強調した。アマ関係者に謝礼金などが支払われていた問題については、「球団関係者やスカウトがしっかりすれば、介在できなくなる」と語った。【神保忠弘】
◇滝鼻オーナーが西武を強烈批判−−「報告はアンフェア」
巨人の滝鼻卓雄オーナーが5日、前日に発表された西武の調査委員会の中間報告を受け、強烈な西武批判を繰り広げた。
東京ドームで観戦した中日戦の後、報道陣から感想を聞かれた。報告書の中でスカウトが「他球団もやっているから」と説明していることに触れるとヒートアップ。「スカウトの言い分をそのまま載せるのはアンフェアだ。04年の問題の時、ウチは他球団のことは、知っていても一切言わなかった」と怒りをにじませた。
さらに「無責任な報告書を出す西武が問題だ。(代表者)会議にも出てこないんだから。堂々と出てきて主張すればいい」と断罪。報道陣に「何でもっと『アマの170人の実名を出せ』と言わないの?」と話すなど、なかなか怒りは収まらなかった。【神保忠弘】

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2007/4/7
裏金問題 パ会長は氏名公表に否定的 ( 2007年04月06日 スポーツニッポン)
http://www.sponichi.co.jp/baseball/flash/KFullFlash20070406055.html
プロ野球西武による新たな裏金発覚で、小池唯夫パ・リーグ会長は6日、謝礼を受け取っていたアマチュア野球関係者の氏名公表について、否定的な考えを示した。西武の調査委員会は新たに高校、大学の監督など延べ170人のアマ関係者が謝礼を受けていたことを発表したが、実名は明かさなかった。
アマ側は氏名公表を求める可能性を示唆したが、小池会長は「調査委も公表しない前提で言っているし、球団も出さないと言っている。170人全員を呼んで事情確認したわけではないだろう。軽々しく扱えないのではないか」と慎重な姿勢をみせた。
アマサイド 不正徹底追及の構え
http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2007/04/06/07.html
学生野球を統括する日本学生野球協会の内藤雅之事務局長(45)は5日、新たに発覚した西武の裏金問題に関与したとされる選手、関係者の氏名の公表を求める可能性を示した。西武は公表を控える方針だが、同協会は不正根絶へ徹底追及していく構え。一方、日本プロ野球組織(NPB)の根来泰周コミッショナー代行(74)は05年「倫理行動宣言」以前の不正は追及しない考えを明かした。
西武調査委員会の衝撃の中間報告から一夜明け、東京・渋谷の事務所で取材に応じた内藤事務局長は「コミッショナーの判断でアマ側の対応が決まっていく。その内容次第では、氏名の公表を要求する可能性はある」と語り、強い姿勢で疑惑の徹底解明に臨む決意を示した。
既にアマ側は東京ガス・木村雄太投手、早大・清水勝仁元選手の氏名を公表、謹慎などの処分を科している。4日も「氏名がなくて中途半端」と話した内藤事務局長。アマチュア野球関係者延べ170人が入団謝礼金を受け、5選手が裏金を受け取っていたことが判明したことに「アマ側から要求したという話もあるし、あっただろうと推測されるが、謝礼金の名目でスカウトらが着服した可能性はゼロなのか。その可能性もあるから(氏名を)発表できないのでは」と調査結果に疑問を呈した。
また同事務局長は倫理行動宣言以前の不正は深く追及しないとする根来コミッショナー代行の意向に「それはプロ側の意見。ウチには(日本)学生野球憲章がある」と憲章違反者は、規律にのっとって処罰する構え。問題にかかわったとされるアマ関係者のリストがNPBから提出された場合は「確認作業をしていく」方針を示した。
加えて大阪市内で記者会見した日本高野連・田名部和裕参事も「氏名公表を求めていく考えはある。こちらも徹底的にやりたい」と同調。さらに社会人を統括する日本野球連盟の後勝専務理事は日本学生野球協会に足を運んで今後の対応を話し合うなど、アマ側として一致団結して、今回の問題に対処していきたい方針だ。
西武の調査委員会の最終報告は20日にも行われる。そこでどういった球界の汚染の実態が明るみに出るのか。プロ、アマ双方を巻き込んだ不祥事はさらに拡大する可能性もある。両者の思惑の違いも絡み、いまだ着地点は見えない。

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2007/4/6
西武現金供与 新たにアマ5選手に計6160万円 調査委(2007年4月5日 毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070405-00000002-maip-spo
プロ野球・西武ライオンズのアマチュア2選手への現金供与問題で、球団が設置した調査委員会(委員長・池井優慶応大名誉教授)は4日、球団創立の78年10月から05年6月までの27年間に、入団した選手の高校、大学、社会人野球の監督ら延べ170人に謝礼として1人当たり30万から最高1000万円を支払っていたことを公表した。また、新たにアマチュア5選手に対し、契約金の前渡し金などの名目で同じ期間に計6160万円を支払っていたことも明かした。
調査委が同日公表した中間報告によると、アマチュアの監督らへの謝礼は、大半が1人当たり10万〜300万円の現金か商品券で年間約500万円に上った。中には1000万円や500万円、410万円の高額の支払いも1回ずつあった。高校、大学野球の監督や関係者への支払いは日本学生野球憲章に抵触するが、謝礼はアマ側から要求されることもあったと指摘している。
調査委は「個人を糾弾することを目的としていない」ことを理由に、5選手の氏名は公表していない。しかし、そのうち2選手は当時学生で、学生野球憲章に違反して計300万円を受け取っていた。5選手には契約金や報酬金の前渡し、海外渡航時のせんべつ金の名目で、1人当たり30万〜約2800万円を渡していた。
また、新人選手の契約金についても、球団が94〜05年に入団した15選手に対し、プロ野球実行委員会で申し合わせた最高額(1億5000万円)を超え、過剰に計11億9000万円を支払っていた事実も明らかにされた。学生を球団の練習に参加させるなどの学生憲章違反も数回あった。
球団側は社長や代表ら管理職が支払いなどの決裁をし、仮払金などの名目で帳簿処理していた。調査委の聴取に対し、スカウトは「他球団も同じようなことをやっているのではないか。後れをとるわけにはいかない」と話している。
調査委はスカウトら球団関係者22人への事情聴取と選手19人への書面による照会などで調査を進めていた。スカウトの不正活動を禁じた05年6月の倫理行動宣言後の新たな不正はなかったという。調査委は20日までに最終報告をまとめる。【立松敏幸】
◇指導者への謝礼の実態は?
指導者への謝礼。その実態はどうなのか。
早大や社会人のプリンスホテル(解散)の監督を務めた石山建一さんは「自分の時は『謝礼』うんぬんは一切なかった。また、プロ側がそうした行為を広く行っていたとは知らなかったし、今聞いてびっくりしている」と話す。
しかし社会人と高校で監督経験を持つ関係者は「社会人時代、自由獲得枠(当時)対象になった選手がいて、複数の球団から入団が決まった場合の謝礼の話を聞かされた。選手本人の問題だから私は関与しなかった」と話し、西武以外の球団からも謝礼をもちかけられた実態を明らかにした。
西日本の高校野球の元監督は「過去にプロ球団から現金をもらっていた指導者もいたと思う」と語る。そのうえで「プロからお金をもらうと高校野球はだめになる。情けない」と憤った。
別のアマ野球関係者は「決して良いことではないが、『営業』はどこの世界でもある」と話し、プロ関係者と会食したり、交通費名目による少額の現金の受け渡しはあると認める。それでも「数百万円単位となると、そうした次元を越えており、法外だ」と語った。
◇新人選手への契約金は1億円が「最高標準額」
新人選手に対する契約金は、94年入団の選手を指名する93年のドラフトから1億円が「最高標準額」に定められた。翌年には大学、社会人出身選手は3年以内、高校出身選手は5年以内に一定の出場選手登録日数を満たすことを条件に契約金の50%以内(最高5000万円)を後払いする出来高払い契約金も加えられた。現在もこの額は変わっていない。
最高標準額は、93年のドラフトから1、2位指名に大学、社会人出身選手の希望球団を優先させる「逆指名」制度が導入されたのに伴い、獲得競争が過熱し契約金高騰に拍車がかかることを抑える意図で設定された。同時に、ドラフト前の仮契約や事前交渉での金品の提供も禁止された。
しかしあくまでも目安であり、これを超える額を支払っても罰則がない。93年当時の吉国一郎コミッショナーは各球団に厳守を求めたが、各球団のスカウトらの間では標準額の導入当初から「逆指名獲得のために金額の高騰は避けられない」という見方が広がっていた。
◇金銭授受に関するアマ側の規定
日本学生野球協会では、日本学生野球憲章第13条で、選手本人がプロ球団やその関係者から金品や利益を受けることを禁じている。高校では選手の親が受け取ることも認めていない。
指導者の金品授受については明確な禁止規定はないが、学生野球憲章第20条は「部長、監督、コーチに学生野球の健全な発達を阻害し、又阻害するおそれが有ると認められる時」は処分の対象になると記されており、選手同様、禁止されていると解釈できる。
社会人を統括する日本野球連盟にはこのような規定はないが、登録規定でチームや選手が「連盟の名誉を傷つけ、または目的に違反する行為があったとき」は登録を取り消すこともできると定めている。
◇倫理行動宣言
05年6月にプロ野球12球団が採択した「倫理行動宣言」は次の通り。
(1)新人選手獲得活動において、利益供与は一切行わない(2)選手獲得には日本学生野球憲章の趣旨を尊重し、これに違背することがないように行動する(3)この宣言に反する疑いがある場合は、プロ野球実行委に調査委を設置するなどして事実関係を調査し、各球団はこれに誠実に対応する(4)これら申し合わせに反した場合には、コミッショナーの定める、いかなる制裁にも服する。
また、選手本人だけでなく代理人や親族らへの利益供与も禁止することも申し合わせた。
◇中間報告で新たに発覚した西武の現金供与や日本学生憲章違反行為など◇
(1)78年10月の球団創設から05年6月の倫理行動宣言前までの27年間で、清水勝仁元選手、木村雄太選手以外のアマチュア選手5人(1人は外国人)に、契約金や報酬金の前渡し、海外渡航時のせん別金として計6160万円を契約前に渡した。うち2人には学生時に支払われた(日本学生野球憲章13条に違反)。
(2)上記27年間に延べ170人の高校、大学、社会人監督やチーム関係者に対し、入団成立の謝礼として1人当たり10〜300万円の商品券や現金を年間合計約500万円を支払った。このほか1000万円、500万円、410万円の支払いが1回ずつあった(同憲章20条に違反)。
(3)ドラフト2位以内の「指定枠採用選手」との契約金について、プロ側が94年度以降、最高標準額を1億円以内、翌95年度には5000万円までのインセンティブ契約金を設定できるとする申し合わせを行った。しかし、94年から05年までの対象15人に対し、申し合わせ違反となる11億9000万円の超過契約金が渡された。
<(1)〜(3)について、いずれも倫理行動宣言後の支払い事実はない>
(4)03年ごろまで数回、学生をテストしたり、練習に参加させたりする接触行為があった。(同憲章10条に違反)

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2007/4/6
<西武現金供与>「古いしきたりから脱却を」…根来代行(2007年4月5日毎日新聞)
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=npb&a=20070405-00000091-mai-spo
プロ野球の根来泰周コミッショナー代行は5日、西武の調査委員会が前日発表した中間報告を受け、「野球界全体が旧思想や古いしきたりから脱却することが、将来への使命」と語った。今後の対応については、「西武からの最終報告が来たら、十分に検討して厳正に対処する」と語るにとどまった。
<西武現金供与>伊東監督「5人が特定されないように」 (2007年4月5日毎日新聞)
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=npb&a=20070405-00000082-mai-spo
西武の太田秀和球団社長は5日、球団の現金供与問題に関する調査委員会(委員長・池井優慶応大名誉教授)が4日に公表した中間報告の内容を伊東監督らに説明した。
報告では、新たに5選手への現金供与の事実が明らかになったが、伊東監督は「5人が特定されないようにしてほしい」と配慮を求めたという。伊東監督は「何か発表することがあれば言ってほしいと(球団側に)伝えていたが、会見が先行してしまった」とフロントへの不満をあらわにし、「チームに十分影響がある。これで最後にしてほしい」と話した。
選手会の佐藤友亮副会長は「社長からは『こんな時期に申し訳ない』という話があった。うみを出したいという思いでやっているのは分かる。ただ、シーズンが始まっているので、試合に集中したい」と語った。【立松敏幸】
◇関連高校の反応
今秋のドラフトで大きな注目を集める強打者、中田翔選手がいる大阪桐蔭の西谷浩一監督は「スカウトが選手に声を掛けることもないし、寮生活なので選手も接触できない。私も契約の席に入ったことはなく、入団発表の場にも行かない」と、“一線”を引く必要性を強調する。
今春センバツで4強入りした帝京の前田三夫監督は「選手は商品ではなく、選手とスカウトが接触するようなことは許されない。今後はきっちりと距離を置けるよう高野連で指示してもらえれば」と提案する。
甲子園で春夏計3回優勝の智弁和歌山・高嶋仁監督は「うちは極力進学を勧めている」としたうえで、「プロに選手が進むチームほど『カネをもらっているのでは』などと周囲から悪い目で見られるのではないか」と懸念する。
西武に松坂大輔投手(現レッドソックス)ら出身選手が入団した横浜の小倉清一郎部長は「ウチの場合そういうことはまったくないが、事実だとすればプロもアマも悪い。ただ、これで裏金のような風潮はなくなるのではないか」と話す。
高校野球は春季大会がすでに各地で開幕。問題となった選手の出身校である専大北上(岩手)、秋田経法大付(秋田)の処分内容は18日に開かれる日本高校野球連盟の審議委員会で協議されるが、岩手県では地区大会の組み合わせ抽選会を25日ごろ、秋田県も5月1日に予定している。両校が大会に参加できるかどうかの問題も残る。
岩手県高野連の藤沢義昭理事長は「今のところ報道以外の情報はないが、大変な問題。日本高野連の指示があり次第、学校関係者に調査することになる」と話している。

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