2007/4/6
西武現金供与 新たにアマ5選手に計6160万円 調査委(2007年4月5日 毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070405-00000002-maip-spo
プロ野球・西武ライオンズのアマチュア2選手への現金供与問題で、球団が設置した調査委員会(委員長・池井優慶応大名誉教授)は4日、球団創立の78年10月から05年6月までの27年間に、入団した選手の高校、大学、社会人野球の監督ら延べ170人に謝礼として1人当たり30万から最高1000万円を支払っていたことを公表した。また、新たにアマチュア5選手に対し、契約金の前渡し金などの名目で同じ期間に計6160万円を支払っていたことも明かした。
調査委が同日公表した中間報告によると、アマチュアの監督らへの謝礼は、大半が1人当たり10万〜300万円の現金か商品券で年間約500万円に上った。中には1000万円や500万円、410万円の高額の支払いも1回ずつあった。高校、大学野球の監督や関係者への支払いは日本学生野球憲章に抵触するが、謝礼はアマ側から要求されることもあったと指摘している。
調査委は「個人を糾弾することを目的としていない」ことを理由に、5選手の氏名は公表していない。しかし、そのうち2選手は当時学生で、学生野球憲章に違反して計300万円を受け取っていた。5選手には契約金や報酬金の前渡し、海外渡航時のせんべつ金の名目で、1人当たり30万〜約2800万円を渡していた。
また、新人選手の契約金についても、球団が94〜05年に入団した15選手に対し、プロ野球実行委員会で申し合わせた最高額(1億5000万円)を超え、過剰に計11億9000万円を支払っていた事実も明らかにされた。学生を球団の練習に参加させるなどの学生憲章違反も数回あった。
球団側は社長や代表ら管理職が支払いなどの決裁をし、仮払金などの名目で帳簿処理していた。調査委の聴取に対し、スカウトは「他球団も同じようなことをやっているのではないか。後れをとるわけにはいかない」と話している。
調査委はスカウトら球団関係者22人への事情聴取と選手19人への書面による照会などで調査を進めていた。スカウトの不正活動を禁じた05年6月の倫理行動宣言後の新たな不正はなかったという。調査委は20日までに最終報告をまとめる。【立松敏幸】
◇指導者への謝礼の実態は?
指導者への謝礼。その実態はどうなのか。
早大や社会人のプリンスホテル(解散)の監督を務めた石山建一さんは「自分の時は『謝礼』うんぬんは一切なかった。また、プロ側がそうした行為を広く行っていたとは知らなかったし、今聞いてびっくりしている」と話す。
しかし社会人と高校で監督経験を持つ関係者は「社会人時代、自由獲得枠(当時)対象になった選手がいて、複数の球団から入団が決まった場合の謝礼の話を聞かされた。選手本人の問題だから私は関与しなかった」と話し、西武以外の球団からも謝礼をもちかけられた実態を明らかにした。
西日本の高校野球の元監督は「過去にプロ球団から現金をもらっていた指導者もいたと思う」と語る。そのうえで「プロからお金をもらうと高校野球はだめになる。情けない」と憤った。
別のアマ野球関係者は「決して良いことではないが、『営業』はどこの世界でもある」と話し、プロ関係者と会食したり、交通費名目による少額の現金の受け渡しはあると認める。それでも「数百万円単位となると、そうした次元を越えており、法外だ」と語った。
◇新人選手への契約金は1億円が「最高標準額」
新人選手に対する契約金は、94年入団の選手を指名する93年のドラフトから1億円が「最高標準額」に定められた。翌年には大学、社会人出身選手は3年以内、高校出身選手は5年以内に一定の出場選手登録日数を満たすことを条件に契約金の50%以内(最高5000万円)を後払いする出来高払い契約金も加えられた。現在もこの額は変わっていない。
最高標準額は、93年のドラフトから1、2位指名に大学、社会人出身選手の希望球団を優先させる「逆指名」制度が導入されたのに伴い、獲得競争が過熱し契約金高騰に拍車がかかることを抑える意図で設定された。同時に、ドラフト前の仮契約や事前交渉での金品の提供も禁止された。
しかしあくまでも目安であり、これを超える額を支払っても罰則がない。93年当時の吉国一郎コミッショナーは各球団に厳守を求めたが、各球団のスカウトらの間では標準額の導入当初から「逆指名獲得のために金額の高騰は避けられない」という見方が広がっていた。
◇金銭授受に関するアマ側の規定
日本学生野球協会では、日本学生野球憲章第13条で、選手本人がプロ球団やその関係者から金品や利益を受けることを禁じている。高校では選手の親が受け取ることも認めていない。
指導者の金品授受については明確な禁止規定はないが、学生野球憲章第20条は「部長、監督、コーチに学生野球の健全な発達を阻害し、又阻害するおそれが有ると認められる時」は処分の対象になると記されており、選手同様、禁止されていると解釈できる。
社会人を統括する日本野球連盟にはこのような規定はないが、登録規定でチームや選手が「連盟の名誉を傷つけ、または目的に違反する行為があったとき」は登録を取り消すこともできると定めている。
◇倫理行動宣言
05年6月にプロ野球12球団が採択した「倫理行動宣言」は次の通り。
(1)新人選手獲得活動において、利益供与は一切行わない(2)選手獲得には日本学生野球憲章の趣旨を尊重し、これに違背することがないように行動する(3)この宣言に反する疑いがある場合は、プロ野球実行委に調査委を設置するなどして事実関係を調査し、各球団はこれに誠実に対応する(4)これら申し合わせに反した場合には、コミッショナーの定める、いかなる制裁にも服する。
また、選手本人だけでなく代理人や親族らへの利益供与も禁止することも申し合わせた。
◇中間報告で新たに発覚した西武の現金供与や日本学生憲章違反行為など◇
(1)78年10月の球団創設から05年6月の倫理行動宣言前までの27年間で、清水勝仁元選手、木村雄太選手以外のアマチュア選手5人(1人は外国人)に、契約金や報酬金の前渡し、海外渡航時のせん別金として計6160万円を契約前に渡した。うち2人には学生時に支払われた(日本学生野球憲章13条に違反)。
(2)上記27年間に延べ170人の高校、大学、社会人監督やチーム関係者に対し、入団成立の謝礼として1人当たり10〜300万円の商品券や現金を年間合計約500万円を支払った。このほか1000万円、500万円、410万円の支払いが1回ずつあった(同憲章20条に違反)。
(3)ドラフト2位以内の「指定枠採用選手」との契約金について、プロ側が94年度以降、最高標準額を1億円以内、翌95年度には5000万円までのインセンティブ契約金を設定できるとする申し合わせを行った。しかし、94年から05年までの対象15人に対し、申し合わせ違反となる11億9000万円の超過契約金が渡された。
<(1)〜(3)について、いずれも倫理行動宣言後の支払い事実はない>
(4)03年ごろまで数回、学生をテストしたり、練習に参加させたりする接触行為があった。(同憲章10条に違反)

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2007/4/6
<西武現金供与>「古いしきたりから脱却を」…根来代行(2007年4月5日毎日新聞)
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=npb&a=20070405-00000091-mai-spo
プロ野球の根来泰周コミッショナー代行は5日、西武の調査委員会が前日発表した中間報告を受け、「野球界全体が旧思想や古いしきたりから脱却することが、将来への使命」と語った。今後の対応については、「西武からの最終報告が来たら、十分に検討して厳正に対処する」と語るにとどまった。
<西武現金供与>伊東監督「5人が特定されないように」 (2007年4月5日毎日新聞)
http://sports.yahoo.co.jp/hl?c=npb&a=20070405-00000082-mai-spo
西武の太田秀和球団社長は5日、球団の現金供与問題に関する調査委員会(委員長・池井優慶応大名誉教授)が4日に公表した中間報告の内容を伊東監督らに説明した。
報告では、新たに5選手への現金供与の事実が明らかになったが、伊東監督は「5人が特定されないようにしてほしい」と配慮を求めたという。伊東監督は「何か発表することがあれば言ってほしいと(球団側に)伝えていたが、会見が先行してしまった」とフロントへの不満をあらわにし、「チームに十分影響がある。これで最後にしてほしい」と話した。
選手会の佐藤友亮副会長は「社長からは『こんな時期に申し訳ない』という話があった。うみを出したいという思いでやっているのは分かる。ただ、シーズンが始まっているので、試合に集中したい」と語った。【立松敏幸】
◇関連高校の反応
今秋のドラフトで大きな注目を集める強打者、中田翔選手がいる大阪桐蔭の西谷浩一監督は「スカウトが選手に声を掛けることもないし、寮生活なので選手も接触できない。私も契約の席に入ったことはなく、入団発表の場にも行かない」と、“一線”を引く必要性を強調する。
今春センバツで4強入りした帝京の前田三夫監督は「選手は商品ではなく、選手とスカウトが接触するようなことは許されない。今後はきっちりと距離を置けるよう高野連で指示してもらえれば」と提案する。
甲子園で春夏計3回優勝の智弁和歌山・高嶋仁監督は「うちは極力進学を勧めている」としたうえで、「プロに選手が進むチームほど『カネをもらっているのでは』などと周囲から悪い目で見られるのではないか」と懸念する。
西武に松坂大輔投手(現レッドソックス)ら出身選手が入団した横浜の小倉清一郎部長は「ウチの場合そういうことはまったくないが、事実だとすればプロもアマも悪い。ただ、これで裏金のような風潮はなくなるのではないか」と話す。
高校野球は春季大会がすでに各地で開幕。問題となった選手の出身校である専大北上(岩手)、秋田経法大付(秋田)の処分内容は18日に開かれる日本高校野球連盟の審議委員会で協議されるが、岩手県では地区大会の組み合わせ抽選会を25日ごろ、秋田県も5月1日に予定している。両校が大会に参加できるかどうかの問題も残る。
岩手県高野連の藤沢義昭理事長は「今のところ報道以外の情報はないが、大変な問題。日本高野連の指示があり次第、学校関係者に調査することになる」と話している。

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2007/4/6
西武現金供与:「アマとしては遺憾」…中間報告に高野連(毎日新聞 2007年4月4日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/ama/news/20070405k0000m050099000c.html
西武の調査委員会が出した中間報告について、日本高校野球連盟の田名部和裕参事は4日、大阪市内で記者会見し、「驚くような記述もたくさんあるが、あいまいな部分も多く、アマチュアとしては遺憾だ」と述べた。
田名部参事はメールでプロ側から報告書を受けた。その中で、過去にアマチュア関係者延べ170人に入団の謝礼が渡っていたとの報告について、「ちょっとびっくりする。球界浄化のために一石を投じようとしているのだろうが、裏付けを取ったのか。こちらとしては調べようがない」と語った。新たに5人の選手に現金が供与されていたという記述にも「この報告をコミッショナー(根来代行)がどう判断するか。分からない部分が多いので、きっちりとした説明を待ちたい」とプロ野球コミッショナー事務局からの正式な説明を求めた。
日本高野連では、西武から現金を受け取った早大の清水勝仁選手(退部)、東京ガスの木村雄太投手が在籍していた岩手・専大北上高、秋田経法大付高の調査を、岩手、秋田両県高野連を通じて近日中に始める予定。田名部参事は「コミッショナー事務局から来た別の回答書に一部つじつまの合わない部分がある。その再調査を待った上で、両県高野連に調査を指示したい」と話した。【滝口隆司】
西武現金供与:プロとアマの癒着構造、改めて浮き彫りに(毎日新聞 2007年4月4日)
http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/ama/news/20070405k0000m050118000c.html
「他球団もやっているのではないか。だから、仕方なく自分もやった」。4日公表された西武の調査委員会の中間報告。西武からアマチュア野球関係者延べ170人に多額の入団謝礼金が支払われていた。そこに盛り込まれたスカウトの証言から、プロとアマチュアの癒着構造が改めて浮き彫りになった。
東京都内のホテルで開かれた調査委の記者会見。池井委員長が約30分間、A4判9枚の書面を読み上げた。新たな現金供与などの事実が次々と明らかになると会場が色めき立った。
アマチュア関係者への謝礼金などの支払いについて、中間報告はアマチュア選手側の関係者から支払いを要求されることもあったと指摘した。その額は最高で1000万円にものぼり、27年間にわたって年間約500万円がアマ側に渡っていたことになる。プロ・アマ双方とも金銭感覚がおかしくなっていたことは明らかだ。
報告によると、支払いは球団社長らが決裁しており組織的なものだった。委員の矢田次男弁護士は「全社的にコンプライアンス(法令順守)意識が低かったのではないか」と球団の体質を批判し、「お世話になったらお礼をしなきゃという贈り物文化を感じた」と語った。池井委員長も「野球界全体を覆う金の問題は、談合や天下りと並んで日本社会の構造に深く根ざしている問題だと思う」と話し、西武だけでなく、アマチュアを含めた球界全体の問題だと指摘した。
球団は不正な現金の支払いを帳簿処理していた。「受け取った側もきちんと処理しているのか」との質問に、矢田委員は「分からない」とし、脱税の証拠がないので告発はしないという。新たに判明した5選手については「かなり昔、昭和の時代からいる」と述べるにとどまり、西武への入団の有無も明らかにしなかった。
池井優委員長は「他球団や日本プロフェッショナル野球組織、アマチュア野球団体の権限とテリトリーに踏み入るつもりはないが、これを契機に信頼回復できるよう球界全体が必要な措置を講じてほしい」と注文をつけた。【立松敏幸】
西武現金供与:徹底調査はアマ側にも求められる 解説(毎日新聞 2007年4月4日)http://www.mainichi-msn.co.jp/sports/ama/news/20070405k0000m050085000c.html
西武の調査委員会の中間報告は、以前からうわさされていたアマチュア関係者への金銭供与が恒常的に行われていた事実を明るみに出した。
高校、大学、社会人の監督やその他の関係者に「入団謝礼」を渡していたという記述は、プロ球団、アマ指導者、入団をあっせんする仲介人が、選手の入団決定にかかわっていたことを示唆している。のべ人数で報告されたところを見ると、1人に複数回渡されたこともあるわけで、定期的な供与も考えられる。
スカウトは調査委の聴取に「アマ選手側関係者から支払いを要求されることもあった」と答えている。金で選手をがんじがらめにするシステムが、プロとアマの双方で構築されていたことになる。「希望入団枠は不正の温床」と、撤廃をプロ側に強硬に主張したアマ側だが、アマ側も深く絡むこのシステムが不正の基盤だという可能性が出てきたのだから、徹底調査はアマ側にも求められる。
さらに「他の球団は、どうなのか」と疑惑は広がる。確かに西武は初代監督の根本陸夫さん(故人)が編成を担当してから、独特のスカウト活動を繰り広げてきた。「プロ拒否」を宣言していた選手を強行指名して獲得したり、高校生を球団職員にして囲い込んだりもした。ルールぎりぎりで「根本流ウルトラC」といわれたドラフト戦略は、広く深いアマ球界人脈があればこそだった。人脈維持に金が介在したかどうかは不明だが、可能性はある。
しかし西武のスカウトは聴取でアマチュア関係者への謝礼も、契約金の最高標準額オーバーも「他球団もやっているから仕方がなかった」と答えている。西武が調査して発表した以上、倫理行動宣言以前の話だから関係ない、とは言えないはずだ。【冨重圭以子】

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2007/4/6
プロ野球・全球団の徹底調査が急務(2007年04月05日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070313/TKY200704050166.html
球界はどこまで深い闇を抱えているのだろうか。プロ野球界は「裏金は存在しない」と主張し続け、この事件が起こるまで、希望枠を含むドラフト制度を来年も継続させようとしていた。裏金問題が発覚し、世論に押される形で、やっと今年からの希望枠廃止を決めた。が、既に明らかになっていた西武球団の2選手への裏金供与問題は、球界に存在する悪弊の氷山の一角であることがわかってきた。
西武ライオンズ調査委員会の中間報告で公表された不正はいずれも、05年6月に制定された「倫理行動宣言」以前のものとされているが、それまで日本学生野球憲章は全く顧みられてこなかったことになる。
さらにこの問題が深刻なのは、担当スカウトが調査委員会に対して度々「このような行為は他球団でもやっているのではないか。他球団に後れを取るわけにはいかない」と発言していることだ。
西武球団だけではなく、プロ野球界全体が不適切な裏金を供与していたと「告発」していることになる。そして、それを受け取ったアマチュア関係者が存在する。アマ側も野球憲章に違反しており、彼らが受け取った金銭は適切に税務処理されているのか、という疑念も消えない。
プロ野球に対するファンの信頼はずたずたにされたといっていい。
調査委員会は違反者の実名をつかみながら、公表しないという。社会的な制裁を受けた清水、木村の2選手との不公平感は否めない。悪習を絶つには、すべてを公表するべきだろう。
根来泰周コミッショナー代行は、この問題が発覚したとき、「徹底的にうみを出し切った方がいい」と発言した。ならば、早急に第三者委員会を立ち上げ、西武だけではなく、全球団を徹底調査することが必要だ。(編集委員・西村欣也)
西武裏金報告 調査委「談合に似た構造」 (2007年04月05日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070313/TKY200704050159.html
再び球界に衝撃が走った。4日、西武の裏金供与問題を調査している西武ライオンズ調査委員会(委員長=池井優・慶応大名誉教授)が都内のホテルで中間報告をした。アマ関係者への多額な謝礼金や5選手への契約前の金銭供与が明るみに出た。不正な金を渡していた理由について、「他球団もやっているのではないか。後れを取るわけにはいかない」と言及している。
東京都内のホテルで午後4時に始まった西武調査委員会の記者会見。淡々とした口調で中間報告を読み上げる池井優委員長の口から、次々と新たな事実が明らかになる度にざわめきが起こった。
外部有識者による調査委とはいえ、球団も公表に同意した、という。なぜ、新たな不正の事実をつまびらかにしたのか。二つの意図が透けて見える。
一つは、プロ野球12球団が05年に行った倫理行動宣言前の不正を明かすことによって、宣言後の不正は、既に認めた清水選手(早大)への栄養費支給以外にはない、という主張だ。
池井委員長は選手や関係者の名前や所属を公表しなかったことについて、「いずれも倫理行動宣言前のことである」とした。「倫理行動宣言後の不正はないというが、裏帳簿はないという根拠は」との質問に委員の矢田次男弁護士は「こんなものがという支払いも、全部きちんと処理しているわけだから、これ以上裏にする必要性が考えられない」と根拠を語った。
もう一つは、裏金問題は西武だけではない、という主張だ。
中間報告で紹介された「他球団においてもやっているのではないか」というスカウトの話について、調査委の事務局に入った西武球団の依田龍也常務は「調査委のヒアリングの中のコメント」と説明した。ただ、中間報告をまとめた池井委員長は「野球界全体を覆うお金の問題が、談合のように日本社会の構造に深く根ざしている」と語った。

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2007/4/6
アマ側から要求も…「監督、長くやるほどおいしい」 (2007年04月05日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070313/TKY200704050155.html
「ほとんどの球団が裏金をやっている。契約金の上限も2億円が相場のようだ」。プロ球団のスカウトの一人が明かす。
このスカウトは、アマチュア側にも問題はあると指摘する。「謝礼はもらっているよ。彼らだって長く監督をやればやるほど、おいしい思いをするんだから」
「プロに行かせれば1000万円はもらえる」。学生野球の著名な監督が話したことがある。別の有力大学野球部の監督は「選手には変な小細工をせずに指名された球団に行けと指導する。だが、ある球団スカウトから『そういうことを話すと、契約金が少なくなりますよ』と言われたことがある」と話す。選手をスカウトするため高校に接触した際には「4年後にあるプロ球団に行く話になっている。その絡みで別の大学への進学が決まっている」と断られたこともあったという。
西武の調査委員会の報告で、アマチュア側からも金品を要求していた事実が明らかになった。日本高校野球連盟の田名部和裕参事は記者会見で「驚くようなことがたくさん書かれている。アマチュアサイドとしては非常に遺憾な内容だ」と戸惑いの表情をみせた。
プロ側も、西武側が明かした新事実に対応し切れていない。根来泰周コミッショナー代行は午後3時すぎに、東京都内のコミッショナー事務局で太田秀和球団社長から報告を受けた。「十数枚の報告書なので、まだ読み切れていない。よく検討してみないと分からない」と話すと、西武が会見を開いている時間に事務局を後にした。西武の会見後に応じた電話取材では、「西武からの最終報告書を待って吟味したい」と話すだけ。パ・リーグの小池唯夫会長も歯切れは悪く、「倫理行動宣言以前の件は反省材料として、球界全体としてエリをただしていかないといかん」と言うにとどまる。
04年に一場問題でオーナーを辞職した巨人の渡辺恒雄会長は「(一場問題の時)阪神と横浜もやってることは知らなかったし、おれは他球団のことは言わなかった。(いまの西武が)よそのことを言う資格はない。非常識だ」と厳しい口調だ。
一場問題を契機に出された倫理行動宣言では、以前のことは不問にされた。セ・リーグ球団の幹部も「(宣言は)以前はともかく、これからは絶対……、という趣旨だったと理解している」と、宣言以前の裏金が公表されたことに戸惑う。ただ、当時、きちんと調査せずに済ませてきたプロ側の責任も免れない。
プロ野球選手会の宮本慎也会長(ヤクルト)は「希望枠が撤廃されて、いい方向に一歩踏み出したところで。残念でしょうがない」と表情を曇らせた。裏金問題はドラフト制度だけでなく、契約金上限に関する申し合わせなど、曖昧(あいまい)な点が要因になっていると指摘。昨年、ドラフトでの裏金問題を指摘したことのあるロッテのボビー・バレンタイン監督は「非難を集中させるよりも、これから先に同じことが起きないようにすることが大事」と制度の整備を促す。楽天の野村克也監督は「この際だから徹底的にやればいい」と、膿(うみ)を出し切った方がいいとの考えを示した。
「徹底的に調べればプロ野球つぶれる」と井箟重慶氏(2007年04月05日 朝日新聞)http://www.asahi.com/special/070313/OSK200704050027.html
「全然驚かない。全球団同じとは言わないが、球界全体の問題だ」。元オリックス球団代表の井箟重慶(いのう・しげよし)・関西国際大教授は、アマ関係者延べ170人への金銭供与について、こう指摘した。
自身は公募に応じてオリックス球団に入り、90年から00年まで代表を務めた。こうした経験を踏まえ、「金に物を言わせて選手を獲得する球団の陰で、まじめなスカウトは悔しい思いもしてきた」と振り返る。有望選手がいれば、その高校の野球部全体の面倒までみる球団も過去にはあったという。
「もとをただせば少年野球まで金が動く現実があり、自ら要求するアマ関係者もいる。現役のスター選手も裏金と無縁でなく、徹底的に調べればプロ野球がつぶれるぐらい根は深い」
この際、一定以上の過去は不問にしてでも、スカウトOBらから聞き取るなど、実態を調査したうえで、新ルールを作る必要があると提言する。ルールを破った場合の罰則として、球団オーナーの永久追放▽選手のプロ資格を5年間剥奪(はくだつ)▽1球団あたり10億円の罰金――などを挙げる。
「経営が立ちゆかなくなるぐらい重い罰則でなければ、問題はなくならない。コミッショナーは本気で調査を主導すべきだ」と厳しい対応を迫る。
「西武だけの問題か」ファン釈然とせず 裏金問題(2007年04月05日 朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/070313/TKY200704040311.html
この日、西武の本拠・グッドウィルドーム(埼玉県所沢市)でのナイター観戦に訪れたファンたちは、「西武だけなのか」「他球団でもあるはず」などと釈然としない様子だった。
「球界全体が、裏金を払わなければ良い選手を獲得できない体質になっている。だから問題が起きる」と地元の男性会社員(24)。専門学校生の女性(19)は「もう一度、球界全体を調べてほしい」と話した。
東京都八王子市の会社員男性(27)は年間10試合以上観戦に訪れる。家から西武のユニホームを着て応援に来るという。「これからは、そんなことも出来なくなるかも。目の前でプレーしている選手の中にも、お金をもらったかもしれない選手がいたかと思うと怖い」
ショックを受けたのは西武ファンだけではない。巨人―中日戦があった東京ドーム。会社の同僚らと中日の応援に来た練馬区の会社員山本崇雄さん(33)は、西武も好きで子どものころからよく球場に行っていた。「西武は選手を育てるのがうまい印象があったのに。そういうことをしないとパ・リーグに選手は来てくれないのかな」
世田谷区のスタイリストの女性(27)は「スポーツの世界で裏金なんて最低で最悪。たぶん氷山の一角なんでしょうけど、(裏金は)なくなってほしいですね」と、あきれたように言った。

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